MicrosoftのKinectの技術概要やIBMの次期スパコン用プロセッサなどが登場 ―― Hot Chips 23

福田 昭

tag: 組み込み 半導体

レポート 2011年9月 2日

●パソコン向けにCPUとGPUを統合

 パソコン用プロセッサでは,グラフィックス処理ユニット(GPU)を内蔵した大規模プロセッサの技術内容を米国Intel社と米国AMD(Advanced Micro Devices)社がそれぞれ発表した.いずれもCPUのほかにGPUと2次キャッシュ,DDR3メモリ・コントローラ,PCI Expressインターフェースなどを1チップのシリコン・ダイ上に集積している.

 Intel社は第2世代のCoreプロセッサ(開発コード名「Sandy Bridge」)の概要を説明した(図8図9).4個のCPUコアと4ブロックの2次キャッシュ,システム・エージェント(メモリ・コントローラや入出力インタフェースをまとめた回路),GPUで構成されている.


図8 前世代のプラットフォームと「Sandy Bridge」世代のプラットフォームの違い
前世代ではCPUとGPUが別のシリコン・ダイになっており,両方のダイを一つのパッケージに収納することで一つのLSIに見せていた.Sandy Bridgeでは,それが完全に1チップのシリコン・ダイにまとめられた.


図9 「Sandy Bridge」の内部ブロックと要素技術
製造技術は32nmである.


 特徴は,CPUコアと2次キャッシュ,GPU,システム・エージェントの間をリング状のバスで結んだことである(図10).リング状バスのノード間が最短距離で結ばれるので,データの転送による遅延時間がきわめて短くなるという.


図10 リング状バスの概要


 電源ドメインは三つに分かれている.システム・エージェント,CPUコアおよび2次キャッシュ,GPUである.消費電力を低減するため,それぞれの電源ドメインは独立に電源をシャットダウンできる(図11).


図11 電源ドメインの概要


 AMD社は「AMD A-シリーズ」プロセッサ(開発コード名「Llano」)の概要を説明した(図12図13).4個の2次キャッシュ内蔵CPUコア,GPU,DDR3メモリ・コントローラ,ビデオ・デコーダなどで構成されている.製造技術は32nmのSOI CMOS技術,トランジスタ数は14億5,000万トランジスタ,シリコン・ダイ面積は227平方ミリ.


図12 「AMD A-シリーズ」プロセッサの概要と内部ブロック図


図13 「AMD A-シリーズ」プロセッサのシリコン・ダイの写真とレイアウト図


 特徴は,強力なGPUを搭載していることである.VLIW(Very Long Instruction Word)方式のコアを数多くならべることで,高いグラフィックス演算性能を実現した.1個のコア・ユニットは,4個のストリーム・コアと1個の特殊ストリーム・コア,分岐ユニット,汎用レジスタで構成されている(図14).このコア・ユニットを16個使って,1個のSIMD(Single Instruction Multiple Data)プロセッサ・コアを構成する.そして最大5個のSIMDプロセッサ・コアでGPUを実現している(図15).このときのピーク演算性能は,480GFLOPSに達する.


図14 GPUを構成するVLIWコアの概要


図15 GPUの構造.最大で80個のVLIWコアを使う

 

ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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