子どもたちがLEGOとLabVIEWでロボット開発やスマート・ハウスを体験 ―― 日本NI 職場見学イベント「未来のエンジニアへ!!職場探検をして,節電について学んでみよう!」レポート
2011年8月11日,日本ナショナルインスツルメンツは小学校3年生から中学生くらいの子どもを対象とした夏休みの特別企画として,職場見学イベントを行った(写真1).LabVIEWによるLEGO MINDSTORMS NXTロボットのプログラミング体験や,電気や節電についての講義,職場見学を実施した.
本イベントは,子どもたちにもの作りに興味をもってもらうことや,節電および環境問題への意識を高めることなどを目的としている.初開催となる今回は対象を日本ナショナルインスツルメンツの社員の子どもとその友達に限定したが,今後,対象を一般に広げて同様のイベントを行うことも検討しているという.
写真1 「電気について考えよう」の講義を行っている様子

●アイコンを並べてロボットの動きをプログラミング
まず最初に,LEGO MINDSTORMS NXTで作ったロボットのプログラムを2人1組で作成した(写真2).LEGO MINDSTORMS NXTは中核となるパーツにARMマイコンを内蔵しており,モータ・パーツやタッチ・センサ・パーツなどと専用のケーブルで接続してロボットを組み立てることができる.LEGO MINDSTORMS NXTには開発ツールとしてLEGO MINDSTORMS NXT対応のLabVIEWツール・キットが付属している(写真3).このツールは,動作を表したアイコンを並べることによって,ロボットの動作をプログラミングできる.
写真2 協力してプログラミングを楽しむ様子

写真3 LEGO MINDSTORMS NXT対応のLabVIEWツール・キットの画面

自分で作ったプログラムを動かして試した後に,講師がLEGO MINDSTORMS NXTで作った倒立ロボットを取り出して実演した(写真4).垂直にそっと立てると,その後はバランスを取って立ち続ける.指でつついても傾きをうまく調整して倒れない様子に,子どもたちから感嘆の声が上がった.
写真4 倒立ロボットのデモンストレーション

●LEGOで作ったスマート・ハウスで発電や売電を疑似体験
続いて,「電気について考えよう」という講義が行われた.家の中で電気を使っている製品を考えたり,停電になったら街がどうなるのかを考えた後,電力や電力量の単位,および発電のしくみについて簡単に学んだ.「電気ってどうやって作られるの?」と講師が質問したところ,子どもたちから「ソーラ・パネル」,「地熱」という答えがいきなり返ってきて,講師がたじたじとする場面があった.ちなみに,日本のエネルギー発電量の内訳は,火力発電62%,原子力発電29%,水力発電8%,新エネルギー1%である注1.
注1:この数字は講義の中でも挙げていたが,レポート執筆にあたっては,電気事業連合会が提供している「原子力・エネルギー図面集 2011」 1-19内の2009年のデータを参考にした.
その後,発電状況に応じて電力の売買を制御するスマート・ハウスのデモンストレーションを体験した.LEGOで組み立てた家にLEGO用のソーラ・パネルや風車を取り付けてある(写真5).太陽に見立てた白熱電球が点灯したり,指で風車を回したりすると,太陽光発電システムや風力発電システムで発電が行われ,家で余った電気を送電線に売電する様子が接続されたパソコンの画面上に表示される(写真6).また,電球が消灯すると,送電線から電気を買う様子が表示される.
写真5 スマート・ハウスのデモンストレーション
ソーラ・パネルや風車のパーツは,LEGO社の「レゴ エネルギーセット」に含まれているものを使用している.

写真6 風車を回しているところ

この後,子どもたちは実際の職場を見て回り,技術者の仕事や楽しさについて話を聞き,職場見学イベントを満喫した.
なお,今回のイベントには,就学前の幼児も会場の後方で2名ほど参加していた(写真7).プログラミングや講義にはさすがに参加できなかったが,同社の社員である親と一緒に,完成したロボットを動かしたり,LEGOのパーツで遊んだりと楽しんでいた.このような体験が技術への興味をはぐくみ,未来の技術者を生み出すのかもしれない.
写真7 就学前の子供たちもLEGOを楽しんでいた

●ボランティア活動や地域貢献活動としてロボット体験教室を実施
本イベントでLEGO MINDSTORMS NXTプログラミングの講師を務めた見目 ルツ氏は,同社のアプリケーション・エンジニアである.業務に携わる傍らで,社内のボランティア部のリーダも務めているという.最近の活動としては,2011年のゴールデン・ウィークに東日本大震災の避難所となっていた等々力アリーナ(川崎市中原区)にて,子ども向けにLEGOを使ったロボットの体験教室を行った.また,この夏休みの8月21日には,港区のイベントとして「夏休みロボット体験教室―ブロックロボットを作って動かそう!―」をみなと図書館(東京都港区)にて行う.ボランティア部はメンバが確定しているものではなく,見目氏が呼びかけ,そのつど有志が集まるのだという.