携帯事業者から印刷会社,ネット企業,総合電機まで,電子書籍に触手を伸ばす企業が続々 ―― 第15回 国際電子出版EXPO(eBooks)
●テレビやBlu-rayディスク・レコーダと連携
東芝は,10.1型(1280ドット×800ドット)のタッチ・パネル付きTFTカラー液晶ディスプレイを搭載したタブレット型端末「REGZA Tablet AT300」を展示した(写真5).本タブレット型端末はOSとしてAndroid 3.0を,CPUとして「NVIDIA Tegra 2」を搭載する.
写真5 東芝デジタルプロダクツ&サービスの「REGZA Tablet AT300」
また,「レグザAppsコネクト」を標準装備しており,液晶テレビ「レグザ」やBlu-rayディスク・レコーダ「レグザブルーレイ」の無線式タッチ・リモコンとして利用できる.本タブレット型端末で閲覧したインターネット動画や電子書籍コンテンツを「レグザ」に表示することも可能.
低解像度の映像を高画質化する超解像処理「レゾリューションプラス」や,液晶ディスプレイの輝度や画面の色を周囲の環境に合わせて自動調整する「アダプティブ ディスプレイ」などの機能を備えている.さらに,スピーカ音質を向上する「Audio Enhancer」,騒音の中でも聞き取りやすい音質に変換する「Noise Equalizer」などのソフトウェアを備えている.これにより,電子書籍ストア「ブックプレイス」で提供する音声読み上げ機能に対応した電子書籍コンテンツを,音質の良い自然な音声で聴くことができるという.音声読み上げ機能に対応した電子書籍コンテンツを楽しむためには,電子書籍閲覧ソフト「ブックプレイスリーダー」と音声読み上げソフト「東芝スピーチ シンセシス」が必要となる.
●カラー画質にこだわった電子ペーパを展示
富士通と富士通フロンテックは,色再現範囲が広く,明るさやコントラストを改善した次世代カラー電子ペーパ・モジュールを参考展示した(写真6).これは独自技術のコレステリック液晶型カラー電子ペーパで,RGBコレステリック液晶 を3層積層した構造となっている.本モジュールの色再現範囲はNTSC比で20%.明るさは,従来製品と比べて34%以上改善した.また,8:1のコントラスト比を実現している.
写真6 富士通/富士通フロンテックが展示した次世代カラー電子ペーパ・モジュール
画面サイズは8型,画素数は1024ドット×768ドット,解像度は157dpi,表示色は4096色.JPEG,PDF,EPUBのフォーマットに対応する.外形寸法は245mm×106mm×5.5mm,重量は220g.
●ペンの軌跡を認識して書いた文字をディジタル・データ化
オーリッドは,ペンで書いた文字をそのままテキスト・データに変換するシステムを展示した(写真7).このシステムは専用のペンとノートを利用する.ペン先の根元にカメラが組み込まれており,小さなドット・パターンが印刷されたノートに文字を書くと,ペン先の動きをカメラが捉えてペンの軌跡を認識する.
写真7 オーリッドの手書き文字認識システム
ノートの右端には1cm四方程度の「センド・エリア」があり,書き終わったらここをペン先でタップする.これでBluetooth通信によりタブレット型端末にデータが転送される.データ転送後は,タブレット端末側でOCRソフトを実行し,手書き文字をテキスト・データに変換する.
きたむら・としゆき