10nm技術のSRAMセルや48コアCPUの低消費電力技術などが登場 ―― VLSI Technology 2011 / VLSI Circuits 2011

福田 昭

tag: 半導体

レポート 2011年7月 7日

 半導体のデバイス技術とプロセス技術に関する最新の研究成果が披露される国際会議「Symposium on VLSI Technology」(VLSI Technology)と,半導体の回路技術に関する最新の研究成果が披露される国際会議「Symposium on VLSI Circuits」(VLSI Circuits)が,京都府京都市でそれぞれ6月14日~16日と6月15日~17日に開催された.

 VLSI TechnologyとVLSI Circuitsは毎年6月に同じ会場で,日程を少しだけずらして開催されてきた.このため,両者をまとめて「VLSI XXXX」(XXXXは西暦)と総称することが多い.開催地は偶数年が米国のハワイ州Honolulu,奇数年が日本の京都となっている.2011年の今年(VLSI 2011)は京都で開催された(写真1).

写真1 VLSI Symposiumの受付の案内看板

 

 

●VLSI Technology,デバイス技術の投稿は漸減

 VLSIをはじめとする国際学会では会場設備の制約から,発表枠(発表件数)がおおむね決まっている.発表を希望する研究者や技術者などは,発表内容をまとめた論文(投稿論文)をあらかじめ国際学会の論文選考委員会に送付する.論文選考委員会では寄せられた投稿論文の中から,発表にふさわしい優れた論文(採択論文)を選ぶ.従って,投稿論文の数や性格などから,国際学会の傾向がある程度は読み取れる.

 VLSI Technology 2011の投稿論文数は185件である(写真2).2004年~2006年には300件前後の投稿論文があった過去から見ると,最近は漸減傾向が目立つ.採択論文数は76件,採択率は41%である.

写真2 VLSI Technologyの投稿論文数と採択論文数,採択率の推移(2001年~2011年)

 

 発表機関別の採択論文数を見ると,ベルギーの研究機関であるIMECが前年と同様にトップで,7件の発表があった(写真3).2位は米国IBM社,3位は東京大学で,それぞれ6件と5件.4位は韓国Samsung Electronics社,韓国Hynix Semiconductor社東芝ルネサス エレクトロニクス,米国Stanford Univsersityでいずれも4件である.2003年~2006年にはSamsung社が断トツで,15~20件もの発表を繰り返していたが,最近では突出した発表件数を誇る機関は出ていない.

写真3 発表機関別の採択論文件数推移(2003年~2011年)

 

 

●VLSI Circuits,回路技術の投稿は活発

 VLSI Circuits 2011の投稿論文数は409件である(写真4).昨年のハワイが409件,一昨年の京都が313件であり,回路技術の研究成果に関する投稿は最近,非常に活発であることが分かる.採択論文数は115件.採択率は28%で,VLSI Technologyに比べるとかなり低い.VLSI Circuitsは例年,京都よりもハワイの方が採択率が高い傾向にある.今回は,京都開催の中では最も低い採択率となった.

写真4 VLSI Circuitsの投稿論文数と採択論文数,採択率の推移(2003年~2011年)

 

 発表機関別の採択論文数を見ると,IBM社がトップで8件の発表がある(写真5).2位は国立台湾大学で6件,3位は米国University of California at Berkeleyと米国University of Michiganでいずれも5件である.昨年と一昨年は米国Intel社がトップだったが,今年は9位に後退した.

写真5 発表機関別の採択論文件数推移(2009年~2011年)

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