10nm技術のSRAMセルや48コアCPUの低消費電力技術などが登場 ―― VLSI Technology 2011 / VLSI Circuits 2011

福田 昭

tag: 半導体

レポート 2011年7月 7日


●太陽電池を内蔵したCMOSチップを開発

 米国University of Texas at Austinと台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.)の共同研究チームは,CMOSセンサと太陽電池セルを1枚のシリコン・ダイにまとめたICチップを試作した(S. Ayazianほか,講演番号14-4).人体の皮膚組織に埋め込み,電源なしで生体信号を計測し,出力するようなチップを狙った研究の一環である(写真10).

写真10 CMOSセンサ回路と太陽電池(フォトダイオード)を集積した人体埋め込み用チップ


 太陽電池セルはpn接合フォトダイオード・アレイで,CMOSセンサ回路の周囲に作り込んだ.CMOSセンサ回路は外部センサ(サーミスタや圧力センサなど)の信号をリング発振器に取り込み,センサ信号の変化を発振周波数の変化に変換して出力する.

 太陽電池セルが発電に利用するのは,700nm~1000nmの光である.700nm以下の短波長領域は皮膚や筋肉,脂肪などの生体組織によって遮られる.1000nm以上の長波長領域ではpn接合ダイオードが太陽電池として機能しない.

 試作したCMOSチップの大きさは2.5mm角で,発電能力は1.36mW/平方mmである.直射日光によってμAオーダの電流を出力するので,CMOSセンサ回路の駆動には十分だとしている.製造技術は0.18μmのCMOS技術である.

 

●1mm角,0.66μW,2Mビット/秒の無線トランスポンダを試作

 University of California at Berkeleyは,1mm角の小さな無線トランスポンダ・モジュールを試作した(M. Markほか,講演番号16-4).人体に埋め込んで神経回路の信号を外部に出力する用途を想定して開発した(写真11).試作したモジュールの大きさは1.1mm×1.1mm×0.8mmである.送信回路,RF信号を直流信号に変換する電源回路,基準電圧源回路などを集積したCMOSシリコン・ダイと,アンテナをまとめた.シリコン・ダイの製造技術に65nmと微細なCMOS技術を使うことで,消費電力を低減している.送信動作時の消費電力は,データ転送速度が2Mbpsのときに660nW(0.66μW)と低い.

写真11 1mm角の小さな無線トランスポンダ

 

 

ふくだ・あきら
フリーランステクノロジーライター
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