CoaXPressやフルHDなど,高速・高画質に対応した画像処理技術が続々 ―― 画像センシング展 2011 レポート

北村 俊之

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2011年6月23日

 2011年6月8日~10日,画像処理技術の総合展示会「画像センシング展 2011」がパシフィコ横浜(横浜市西区)にて開催された(写真1).主催はアドコム・メディア.

写真1 会場受付の様子


 画像処理機器は,製造現場において外観検査,位置決め,識別,計測などに使われている.近年では処理速度や画像認識技術が向上し,ロボットやITS,セキュリティ関連,医療機器,アミューズメント機器などに応用されている.

●モニタに接続するだけでフルHD映像を出力

 東芝テリーは,1/2.8型単版CMOSセンサを採用した,一体型フルHDカラー・カメラ「CSDW2M60CM28」を展示した(写真2).本カメラの映像出力画素数は1920×1080.映像出力はDVI-Dであり,モニタに直接接続するだけで映像出力が可能.原色モザイク・フィルタを採用しており,色再現性に優れるという.また,パソコンからカメラを制御することも可能.縦横各2本の電子ラインや格子状のグリッドをモニタに表示する機能を備えている.さらに,被写体の明るさに合わせて,レンズの絞り(アイリス)を自動で調節できる(DC方式の自動アイリス・レンズでのみ動作する).

写真2 東芝テリーの「CSDW2M60CM28」

 

●CoaXPressを利用して映像データを6.25Gbpsで伝送

 アバールデータは,CoaXPress(CXP)対応の画像入力ボード「APX-3662」を展示した(写真3).CoaXPressは,オランダAdimec Advanced Image Systems社とベルギーEqcoLogic社が開発したディジタル・インターフェースであり,日本インダストリアルイメージング協会(JIIA)のもとで規格がまとめられ,2011年3月に欧州(EMVA:European Machine Vision Association),北米(AIA:Automated Imaging Association)との3協会間定例会議(3G会議)にて承認された.

写真3 アバールデータの「APX-3662」


 本ボードを利用すると,カメラから取り込んだ画像を1本の同軸ケーブルを使って,6.25Gbpsの速度で伝送できる(CXP Dualの規格にも対応しており,同軸ケーブル2本で最大12.5Gbpsで伝送できる).ケーブルの長さは最長40m.画像バッファとして512MバイトのDDR3メモリを搭載する.また,エンコーダ信号入力(RS-422)による画像入力制御が可能.

●画素の数だけ温度情報を保持できる携帯型の赤外線サーモグラフィを展示

 フリアーシステムズジャパンは,操作が簡単な携帯型の赤外線サーモグラフィ「FLIR iシリーズ(i3/i5/i7)」を展示した(写真4).対象物に照準を合わせ,熱画像を表示・記録できる.

写真4 フリアーシステムズジャパンの「FLIR iシリーズ」


 撮影した熱画像は,画素の数だけ(i3:3,600画素,i5:6,400画素,i7:14,400画素)温度情報を保持している.専用の解析ソフトウェア「FLIR Quick Report」を利用することで,取得済みの画像の温度を確認することもできる.2.8型液晶ディスプレイの画面に表示される画像をベースにした温度計測で,計測する「点」による温度情報をもとに,周囲の状態を含めた「面」による計測を実現した.用途としては,配電盤・分電盤などの電気接続の異常チェック,空調ダクト・配管,天井の空調機器などの温度や異常チェック,製造ラインにおける移動物体の表面温度チェック,食品の保管・流通における保存温度チェック,床暖房・IHヒータなど建物内電気機器の異常チェック,各種機械,自動車,船舶,電車などの異常チェックに適している.重量は340g,価格は140,000円から.

●1.5GHz動作のAtom搭載スマート・カメラ,防水・防塵機能も装備

 キヤノンITソリューションズは,CPUとしてIntel Atom(1.6GHz動作)を搭載したスマート・カメラ(プロセッサを搭載し,画像処理も内部で行えるカメラ)「Matrox Iris GT」を展示した(写真5).本カメラは,30万画素,120万画素,190万画素のCCDのラインナップを用意しており,モノクロおよびカラーに対応している.筐体はIP67準拠の防水性能とIEC60529準拠の防塵性能を有している.

写真5 キヤノンITソリューションズの「Matrox Iris GT」


 外部機器との接続は,Ethernet,ディジタルI/O,RS-232通信に加えて,PLC(Programmable Logic Controller)などで利用されているModbusにも対応している.画像処理アプリケーション・システムをフローチャート形式で開発できる統合開発環境「Matrox Design Assistant」が付属する.

●映像と電圧,電流などを同期取得

 シナノケンシは,最高32,000フレーム/sの高速度カメラとデータ・ロガー,モニタをセットにしたビジュアル・データ・ロガー「PLEXLOGGER(プレクスロガー)」を展示した(写真6).本データ・ロガーは8インチ・モニタを搭載しており,高速度カメラで撮影した画像をその場で解析できる.映像だけでなく,アナログ・データを同期取得することが可能.例えば開発現場や生産現場で,映像と電圧,電流,圧力,振動などのデータ波形を同期記録し,その場で解析できる.最大4チャネルのアナログ信号を取得し,映像との同期により現象を視覚的に確認できる.また,いつ起こるか分からない現象も,データ要素の変化を検知して自動的に記録可能.記録トリガがかかる前の映像を収録できるプリ録画機能を搭載している.

写真6 シナノケンシの「PLEXLOGGER(プレクスロガー)」


 付属の解析ソフトウェア「PLEXLOGplus」を利用すれば,撮影した映像とデータから,長さや角度の測定,動体解析など,より詳しい解析を行うことが可能.

 

きたむら・としゆき

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