触感フィードバックやリアルタイム画像伝送など,ユーザに臨場感をもたらす技術に注目 ―― 第14回 組込みシステム開発技術展(ESEC)レポート
2011年5月11日~13日,組み込み技術の総合展示会「組込みシステム開発技術展(ESEC)」が東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).本展示会は,今回で14回目を迎える.多くの企業のシステム設計者や開発技術者,応用技術者が来場し,出展企業と活発な商談を行う光景が見られた.また,新たに追加された「パワーエレクトロニクスゾーン」,「Android開発ゾーン」を含めて,10の特設ゾーンが設けられていた.「Android開発ゾーン」では,Android開発サービス,Android対応ソフトウェア,Android対応ハードウェア,Android開発支援ツール,Android向けセキュリティ・ソリューションなどが一堂に展示され,来場者の関心を集めていた.本展示会の主催はリード エグジビジョン ジャパン.
このほか,「第20回 ソフトウェア開発環境展(SODEC)」,「第16回 データウェアハウス&CRM EXPO(D&C)」,「第13回 データストレージEXPO(DSE)」,「第8回 情報セキュリティEXPO【春】(IST)」,「第6回 RFIDソリューションEXPO(RIDEX)」,「第5回 ダイレクト マーケティングEXPO(DME)」,「第5回 Web&モバイル マーケティング EXPO【春】(Web-mo)」,「第3回 グリーンIT&省エネ ソリューションEXPO(GRIX)」,「第2回 クラウド コンピューティングEXPO【春】(クラウドジャパン)」,「第1回 スマートフォン&モバイルEXPO(スマートフォンジャパン)」が同時開催されていた.
●双方向IP通信で臨場感のあるリアルタイム画像伝送を実現
サンリツオートメイションは,距離を感じさせない遠隔操作/制御を双方向IP通信で実現した「遠隔操作IPシステム(Telepresence over IP System)」を展示した(写真2).インターネットや無線LANなどを利用してコンピュータの遠隔操作を行える.騒音計測ローバや無線LANテレメトリ,レスキュ・ロボットなどに利用できる.展示ブースでは,本システムを組み込んだ車載カメラを,Andoroid搭載のスマートフォンやタブレットから操作するデモンストレーションを行っていた.
キャプチャと画像圧縮は並行処理を行い,無線LAN使用時で100ms以下の遅延時間を実現している.例えばVGAサイズの画像を30フレーム/sのフレーム速度で伝送可能.また,伝送遅延分の予測画像を算出することで,遅延が生じていない画像に補正する機能を備えている.これにより,遅延を感じさせない臨場感のあるリアルタイム画像伝送を実現しているという.
入出力インターフェースとして,サーボ出力,CAN,USB,オーディオ入出力,アナログ入力,ディジタル入出力,パルス(エンコーダ)入力,NTSC入出力,Ethernet,RS-232-Cなどに対応する.
●タッチ・パネルに触れた感触を指にフィードバック
東芝情報システムは,フィンランドのSenseg社が開発した,タッチ・パネルに触れた感触を指に伝える触感フィードバック技術「Senseg E-Sense」のデモンストレーションを行った(写真3).この技術は,機械的に動く部品を必要とせず,電界を利用してタッチ・フィードバックを実現しているという.
触感は,帯電フィルムと制御モジュール,ターゲット・デバイス向けのソフトウェアを組み合わせて実現している.フィルムを帯電させ,タッチ・パネルに触れた指に感触を伝える.いわば超弱電の電気ショックである.帯電のさせ方を時間的に変えることで,デコボコなどさまざま感触を与えることが可能.
同様の触感フィードバック技術に圧電素子やモータを利用したものがある.これらの方式と異なり,既存の機器の回路構成や機構をほぼそのまま利用して実現できるという.また,フィルムなので機器の筐体のどこにでも貼り付けられる.例えば携帯端末から大きな壁まで,さまざまなサイズで利用できる.さらに,曲面にも貼り付けられる.展示ブースでは,触感開発キット「Mini Salamander」を触感用デバイスとして利用したデモンストレーションを行っていた.