激論! 宝となるインシデント・レポートの作り方 ―― WACATE2011 夏プレビュー

加瀬 正樹

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レポート 2011年5月 9日

 2007年に誕生したワークショップ・イベント「WACATE(Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers)」は,年2回の合宿形式ワークショップを通じて,前回の「WACATE2010 冬 ~温故知新~」までで述べ300名を超えるエンジニアに参加いただいています.このたび2011年6月25日~26日に,通算8回目となるワークショップ合宿「WACATE2011 夏 ~誰がためにレポートはある~」をマホロバ・マインズ三浦(神奈川県三浦市)にて開催します(写真1).ここでは,まだWACATEのことをご存じない方を対象に,本ワークショップ合宿の魅力やテーマについて紹介します.

写真1 会場からの眺め

 

●参加者も「若手」,運営側も「若手」

 WACATEは「ワカテ」と読みます.文字通り「若手」のソフトウェア・テスト技術者が中心となって運営しているワークショップ・イベントです.最近はやりのエンジニア勉強会では,発表者のプレゼンテーションを聴講する形式のものも数多くありますが,ワークショップでは基本的に参加者が手を動かすことが重要です.手を動かすことで,知識だけではなく経験という形で自分を磨くことができるのです.付せん紙や模造紙,カラフルなボールペンを使ってグループでディスカッションしながら課題に取り組むWACATEは,一種の「サークルの夏合宿」といった雰囲気を持つ大勉強会なのです(写真2).

写真2 WACATE2010 冬の演習風景


 WACATEでは,運営側の実行委員も参加者と同世代の「若手」です.現在の実行委員の多くは,過去のWACATEの参加者だった方々です.ある実行委員に「参加者と実行委員の違いは?」と聞いてみたところ,「参加者にとっては,グループ内で熱い議論ができることや,同世代のエンジニアと貴重な経験ができることが大きな楽しみ.そして,実行委員になると"何かを伝える"ことの難しさを感じつつも,それに挑戦することが楽しみ」とのことでした.

 会場となる「マホロバ・マインズ三浦(神奈川県三浦市)」は,元々リゾート・マンションとして建てられた施設であるため,宿泊する部屋は非常に広々とした作りになっています.そのため,参加者はお互い親睦を深めながらゆっくりと休むことができます.また三崎港が近いというその立地条件から,マグロをはじめとする海の幸に舌鼓を打ち,さらには地下1,500mから湧き出る上質の天然温泉で疲れを癒やし,まさに非日常にどっぷりと浸かりながら1泊2日のテスト漬けの日程を過ごすことができるのです(写真3).

写真3 WACATE2010 冬の宴会風景

 

●今すぐ使えるインシデント・レポートの改善ワザを編み出す

 「WACATE2011 夏」では,2日間にわたってインシデント・レポート改善ワークショップを実施します.インシデント・レポートとは,発生したあらゆるインシデント(テストの最中に調査を必要とする事象など)を報告するドキュメントのことであり(1*),ソフトウェア・テストの経験がある方はみな作成した経験があるかと思います.しかし,どのように書けば活用され,修正がスムーズに行われるのかなど,悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか.

 ソフトウェアの不具合などを適切な形で報告することは,開発者だけでなくプロジェクト・マネージャ,エンド・ユーザ,そしてテスト・エンジニア自身のためにもなります.本ワークショップでは参加者が疑似プロジェクトのメンバとなり,2日間にわたってグループ・ワークを実践します.1日目は主にディスカッション中心で,2日目はグループごとに発表していただきます.各グループの発表内容に対して,今回も先輩エンジニアから講評をいただく予定です.どんなキビシイ突っ込みが待っているのでしょうか?

 そして,2日間の最後を締めくくるセッションとして,次代を担うべき若手に向けてこの業界の先輩よりメッセージを頂きます.今回は森崎 修司氏(奈良先端科学技術大学院大学,静岡大学)をお迎えして,バグ報告に関する「すぐに使えるtips」や,研究事例を紹介いただく予定です.このクロージング・セッションは,若手に向けた熱いメッセージを込めていただくため,ほかのセミナやイベントでご講演いただくときとはちょっと違うWACATEならではのセッションであり,毎回,参加者にご好評をいただいています.既にプログラム上で参考書籍という形でいくつかの資料が掲示されているので,当日参加されない方々もぜひ確認してみてください.

●実行委員のゴールデン・ウィークの過ごし方

 さて,プログラムの話はこれぐらいにして,せっかくなのでここだけの話を少しばかりしたいと思います.本稿を書いているのはゴールデン・ウィークの始まりのころですが,実行委員の面々はコンテンツ作りの缶詰合宿真っ最中!(写真4) ときにはスライドやテスト対象のプログラム作成に励んだり,ときには各セッションのリハーサルをしたり,たまに写真を撮ってブログに掲載したり.参加者とともに運営側も成長するというのがWACATEの真骨頂です.我々実行委員も合宿を経て,大きく成長し,参加者が満足できるワークショップを作っていこうとしています.当日をどうぞご期待ください!

写真4 WACATE 2011 夏に向けた実行委員の缶詰合宿の様子


 ここでご紹介した以外にも,いくつかのショート・セッションを用意しています.ご興味のある方はWebサイトにて既に公開されている開催概要や,プログラムを参照してみてください.また,申し込みについては専用のWebページからお願いいたします.申し込み〆切は5月25日を予定していますが,定員になり次第締め切りますので,何卒ご了承ください.


参考・引用*文献
(1*)Erik van Veenendaal(編),JSTQB技術委員会(翻訳);ソフトウェアテスト標準用語集(日本語版),Version 2.0.J02 (2011年04月19日).
 http://jstqb.jp/dl/JSTQB-glossary.V2.0.J02.pdf


かせ・まさき
WACATE2011 夏 実行委員会

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