「草食系」と呼ばないで ―― 明日の組み込み業界を支える若者を育てよう

舘 伸幸

tag: 組み込み Interface

コラム 2010年12月24日

●エンジニアにはコミュニケーション能力が必要

 ときどき「人間相手のコミュニケーションが苦手なので,エンジニアになりたいです」という人がいますが,どっこいエンジニアにとっても,コミュニケーション能力は重要な能力の一つです.私たちは社会の中で活動しています.たとえ上司部下のないしごとはあっても,お客さまのいないしごとはありません.人とかかわらずに活動することはありえないのです.何かの技術を使いこなすことも大切ですが,そのせっかくの能力を生かすには,何にも増してコミュニケーションする能力が必要です.以下に代表的なものを三つ紹介します.

1)報告・連絡・相談

 いわゆる「ほうれんそう」と言われている能力です.簡単なように見えて意外と難しいというのは,やってみて初めて分かることです.社会人になりたての人は,ぜひ「新人」として見てもらえるうちに身につけるようにしましょう.学生の間に身につけられれば,それに越したことはありません.

 多くの人が一番悩むのは,行うタイミングや頻度,その内容です.忙しそうにしている上司や先輩に声をかけるのは勇気がいります.聞かずに考え込んでいれば,どうして聞かないと叱られ,聞きに行けば,そんなことをいちいち聞くなと叱られという経験は誰もが持っています.習得のコツは,きちんと考えてから発言をするように心がけることと,めげずに周囲へのアプローチを続けることです.

 ただし,同じ質問を繰り返すのはいただけません.上司も先輩も,忙しい時間を割いて対応してくれています.わざわざ書くことでもないかもしれませんが,質問にはメモ持参で行くというのは常識です.

2)インタビュー能力

 報告・連絡・相談がどちらかというと内向きなのに対し,こちらは外向きの能力です.相手からどのように要件や問題の本質を引き出すか.これはすべてのしごとの開始点です.これが不十分だったり間違っていたりすると,その後のすべての作業に支障を来たします.

 一番危険なのは,分かったつもりになることです(これは特に頭の良い人にありがち).同じ日本語を使っていても,同じ単語を使っていても,ところ変わればなんとやらで,相手は全く逆のことを意図していることもあります.

3)プレゼンテーション能力

 インタビューが相手のことを聞き出すのに対し,こちらは自分のことや,自分たちの技術や製品を知ってもらうための能力です.嘘や誇張ではなく,優れた面や主張したいことを効果的に相手に伝える力が必要です.

 日本にはもともと,男は黙ってなんとやらという沈黙の美学のような文化があります.国内ではそれなりにかっこいいのですが,世界を舞台にしたビジネスの現場では無力です.インタビューが難しいのは相手にとっても同じことです.であれば,こちらから主張したいことを,効果的に伝えることが必要です.

* * *

 直近の業績にいっぱいいっぱいのマネージャさん,ぜひ貴社の若手エンジニアに有意義な刺激を与えるべく,背中を押していただきたいと思います.きっと5年後10年後に,何倍にもなって実るはずです.

たち・のぶゆき
SESSAME(組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会)

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