放送機器も標準規格が重要,新製品はMPEG HD422やマイクロフォーサーズに対応 ―― Inter BEE 2010(国際放送機器展)レポート

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2010年11月19日

●報道やスポーツの現場でも安定した映像を撮影できる防振機能を内蔵

 キヤノンは,同社が開発した防振機構「バリアングルプリズム」を搭載したポータブル・ズーム・レンズ「HJ15e×8.5B」を展示した(写真5).広角端から望遠端までのズーム全域で高い防振性能と幅広い補正角を実現したという.全長は240mm,重さは1.99g.


写真5 キヤノンの「HJ15e×8.5B」

 

 撮影状況に応じて,4通りの防振モードを装備する.例えば,肩に担いで撮影する際の低周波の振動や,自動車などに搭載して撮影する際に発生する高周波の振動などの影響を補正できる.また,像面湾曲やコマ収差などの諸収差を補正することで,防振機能を使用している際にも良好な光学性能を実現できる.

 焦点距離が8.5mm~128mmの領域において,画面周辺までの高解像度と高コントラストを実現している.また,構成する光学部品や機構部品,電気部品などは,各国の環境規制に対応する.

●フル機能RAIDを手のひらサイズで実現

 米国CalDigit社は,手のひらサイズの映像制作向けRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)「CalDigit VR mini」を展示した(写真6).2台のハード・ディスク・ドライブをリムーバブル機構を備えたトレーに収納している.


写真6 CalDigit社の「CalDigit VR mini」

 

 RAIDの方式は,スピード重視のRAID 0(ハードウェア・ストライピング),常に2台のドライブに同一データを書き込むことでデータを保護するRAID 1(ミラーリング),ドライブを個別に扱えるJBOD(ジェイボッド)の3種類から選択できる.アルミニウム筐体そのものを冷却に利用しており,騒音と熱の問題を解消しているという.

 FireWireバス・パワー駆動に対応し,FireWireケーブル経由で電源供給を受けられる.ケーブルを複数接続した場合,自動的に高速な接続インターフェイスを選択する.

 また,詳細な設定・監視が行えるソフトウェア「RAID Tool」が付属する.このソフトウェアにより,動作状況の詳細な表示や分析レポート,電子メールによる障害通知,ファームウェアの更新などが行える. 

●多様なフォーマットに対応する携帯型のHD/SD-SDI波形モニタを展示

 テクトロニクスは,携帯型のHD/SD-SDI波形モニタ「WFM5000」を展示した(写真7).重量は1.56kg,サイズはハーフ・ラック幅で奥行きの短い3RU.本波形モニタは,ビデオ信号観測やオーディオ信号観測に利用できる.


写真7 テクトロニクスの「WFM5000」

 

 電源電圧は12Vで,バッテリまたは100VAC~240VACの電源アダプタから電源を供給する.標準16チャネルのエンベデッド・オーディオ(同時に8チャネルまで表示可能)とAES(Audio Engineering Society)オーディオ(1系統、2チャネル)に対応する.

 波形とベクトル,またはライトニングを同時に表示できるTandemVu機能を備えている.使用用途に合わせて個々に拡大率や表示位置を設定することが可能.さらに,コンテンツのRGBガマットの適合性を示すガマット表示の機能を備える.ダイヤモンド表示やスプリット・ダイヤモンド表示を行える.

 このほか,サムネイル表示,表示フリーズ機能,コンテンツの適合性(コンプライアンス)検証を行える10,000イベントのエラー・ログなど,波形のモニタリングに必要な基本機能がそろっている.HD/SD-SDI用パッシブ・ループスルー入力により,非動作時でも信号をスルー・アウトして,放送システムの安全性を確保できるという. 

●放送局向けフラッシュ・メモリ・サーバがXMFファ イルに対応

 東芝は,放送局向けフラッシュ・メモリ・サーバ「VIDEOS neo」を展示した(写真8).本メモリ・サーバはSMTPE(Society of Motion Picture and Television Engineers) http://www.smpte.org/home/ のMXF(Material Exchange Format)フォーマットに対応する.データ転送速度は700Mbps.同社が開発した高速通信プラットホーム「NPEngine」を採用した.


写真8 東芝の「VIDEOS neo」

 

 サーバ内に広帯域の伝送路を備え,最大40ポートのHD映像を同時出力できる.64Gビットのフラッシュ・メモリを搭載している.メモリ・ボードの容量は,0.25Tバイト,0.5Tバイト,1Tバイトの3種類.これらを組み合わせて,最大60Tバイトまで拡張可能.それぞれのボードはホット・スワップ(活線挿抜)に対応しており,システムの変更・拡張や保守に柔軟に対応できるという.

 制御インターフェースは,SEC-NET LAN(東芝の制御LAN)に対応するほか,Ethernet系APIを使った通信やVDCPプロトコル(オプション)にも対応している.

 

きたむら・としゆき

 

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