地球温暖化問題で再び脚光を浴びる鉄道システム ―― 鉄道技術展2010
●線路と道路の両方を走行できるデュアル・モード・ビークル
次世代の鉄道システムではこのほか,北海道旅客鉄道(JR北海道)が線路と道路の両方を走行できる動力車「デュアル・モード・ビークル(DMV;Dual Mode Vehicle)」をパネルと動画で紹介していた(写真10).DMVは市販のマイクロバスをベースに開発した車両で,道路走行時(道路モード)では前後輪ともゴムタイヤで走行する.線路走行時(線路モード)では前輪は鉄道車両と同様の車輪(ガイド輪)で走行するが,後輪はゴムタイヤとゴムタイヤ駆動の車輪(ガイド輪)で走行する.この独特の車両構造により,道路モードと線路モードのモード変更に要する時間をわずか10秒~15秒と短くしている.

写真10 線路と道路の両方を走行できる動力車「デュアル・モード・ビークル(DMV)」の説明パネル
DMVの試作車両は2004年に初めて作られた.2009年~2010年には乗車定員を増やした新型DMVを3台ほど試作し(写真11),走行試験や連結走行試験を実施した(写真12).

写真11 新型デュアル・モード・ビークル(DMV)試作車3両の説明パネル

写真12 新型DMVの連結運転の様子(展示していた動画を撮影したもの)
●本物の運転台と実写映像を使用した運転シミュレータ
富士通は大画面実写映像を使った運転シミュレータを展示し,来場者の足を止めていた(写真13,写真14).東武鉄道伊勢崎線の実写映像と実車両の運転台を組み合わせている.実写映像は回送電車を運行して撮影したもの.ディスプレイはシャープのマルチディスプレイ・システムで,60型のフルHD液晶パネル4枚を組み合わせている.パネル間の幅が6.5mmと狭いので,視聴したときの違和感が少ない.

写真13 実写映像をマルチディスプレイに表示した運転シミュレータ

写真14 運転シミュレータの運転台の横に置かれた情報表示モニタ
ふくだ・あきら
テクニカル・ライタ/アナリスト
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