インテグリティな技術コラム(7) ―― スタブの反射はSSTLで回避

碓井 有三

tag: 実装

コラム 2010年10月14日

●スタブ抵抗の有無で波形が変わる

 図5に,スタブが4個で,スタブ抵抗がない場合のメモリ入力の波形を示します.データ周期で反射波が収束してないため,データ幅が異なると反射波形もさらに変化します.異なるデータ幅を考慮すると,アイ・パターンによる評価が必要となりますが,これについてはまた別の機会に触れます.


図5 スタブ抵抗なし

 

 図6に,信号の立ち上がり時間trを,スタブ長の遅延時間τに対して変化させたときのメモリ入力波形を示します.遅い立ち上がりに対しては,スタブの影響がそれほど現れていないことが分かります.昔の遅いシステムはこのような状態で,スタブに対する対策はそれほど考えられていませんでした.


図6 立ち上がり時間とスタブ長の関係

 

 図7に,スタブ抵抗を入れたときの波形を示します.スタブによる多重反射が軽減されて,きれいな波形になっていることが分かります.


図7 スタブ抵抗あり

 

 ここでは,コントローラからメモリへの信号,すなわちWrite時の波形を示しました.メモリからコントローラ,すなわちRead時についても,ほぼ同じような傾向を示します.

●メモリ増設の利便性とスタブ問題にはトレードオフがある

 スタブのほとんど存在しないメモリ・バスはあるのでしょうか.それは,メモリ素子をメイン・ボードに直付けすれば実現できます.ただし,メモリの増設が難しいので,汎用性が求められるパソコンには不向きです.一部分をメイン・ボードに直付けして,増設分だけをDIMMにしている例はありますが,相性問題(本コラムの第6回を参照)がよく発生するようです.配線がより複雑になるからでしょう.

 そのほかの解として,Direct Rambusがあります.Direct Rambusではメモリ・バスがモジュール上を通るので,スタブはほとんど存在しません.そのため,波形乱れは少なく,伝送路としてみれば理想的なバスを形成します.ただし,バスを利用する際のもう一つの利点である,モジュールの増設は基本的には不可能なので,パソコンへの適用は限られたものに終わりました.増設が不要のゲーム機ではよく用いられています.

 

うすい・ゆうぞう
シグナル インテグリティ コンサルタント
http://home.wondernet.ne.jp/~usuiy/

 

«  1  2
組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日