マイクロソフトやSCEが体感型ゲーム機を披露,任天堂を追撃 ―― 東京ゲームショウ 2010
●ゲームPCはグラフィック・ボードとCPUの選定にこだわる
日本エイサーは,グラフィックス・ボードとCPUの選定にこだわったユニークな構成のゲーム用パソコン「Aspire Predator G5900」を展示した(写真7).
写真7 日本エイサーの「Aspire Predator G5900」
本ゲーム用パソコンは,グラフィックス・ボードに「NVIDIA GeForce GTX 470」を採用する.液晶ディスプレイのフレーム速度の上限である60フレーム/sを常時維持することで,高画質と滑らかな動きを実現しているという.
CPUには,LGA 1156プラットホームのCore i7シリーズの上位品種である「Intel Core i7-857K」を採用している.同CPUは,「ターボ・ブースト」と呼ばれるオーバクロック機能を装備しており,CPUの冷却状況に応じてCPUの動作速度の倍率を自動変更し,処理能力を向上させられる.
電源ユニットには,出力750Wの「80 PLUS」認証取得モデルを採用している.
●iPhoneやiPadで操縦できるラジコン・ヘリが登場
フランスParrot社は,iPhoneやiPad,iPod Touchで操縦できるラジコン・ヘリコプタ「AR.Drone」を展示した(写真8).同社は,主に携帯電話の周辺機器を手がけているベンチャ企業である.ラジコン・ヘリコプタの機体には,四つのプロペラがついている.大きさは約50cm四方,総重量は420g(ボディはウレタン製).飛行高度は最高6m,最高時速は18km(写真9).
写真9 「AR.Drone」の飛行デモンストレーションの風景
機体にはカメラを2台内蔵しており,機体から見た映像(前方と真下を撮影)がWi-Fiを介して,iPhoneに送られる.プレーヤは送られてきた画像を確認しながら,iPhoneを傾けたり,画面内のボタンをタッチすることで機体を操縦する.コックピットに乗って操縦しているような臨場感が味わえるという.飛行中にiPhoneに電話がかかってきた場合,ホバリングしたあと,数秒後に着陸するオート・パイロット機能を搭載している.
内蔵カメラがタグ(マーカ)と呼ばれる目印を頼りに,周囲の位置を認識する機能も備えている.将来的には,例えば自宅の庭でスピードを競ったり,リビングでエイリアンと戦うなどのゲーム的な競技も楽しめるという.2台のiPhoneを使って2台のヘリを飛ばせば,互いを敵機と見立てて対戦することも可能.
開発プラットホームはオープン・ソースとなっている.日本では2010年9月16日から,アマゾン・ドットコムと一部のソフトバンクモバイルショップで販売が開始されている.機体本体の価格は43,800円.ヘリを操作するアプリケーション・ソフトウェア「AR.FreeFlight」は,AppStoreから無償でダウンロードできる.
●組み込み機器にも適用可能なサウンド制作環境とCODEC
CRI・ミドルウェアは,ゲーム・サウンド制作のためのオーディオ・オーサリング環境「CRI ADX2」のデモンストレーションを行った(写真10).本環境は,家庭用の据え置き型ゲーム機(Wii,Playstation 3,XBOX360)や携帯型ゲーム機(ニンテンドーDS,PSP),iPhone/iPad,パソコン,業務用ゲーム機などのサウンドの制作に利用できる.プラットホームごとにサウンド・データを作り分ける必要がなく,各種ハードウェア用のサウンド・データを一つのソースから生成する.
BGMやセリフ,環境音に加えて,効果音のオーサリングも行え,ゲーム・サウンドを一括して制作・調整・管理できる.CODECには独自フォーマットの「HCA(High Compression Audio)」を採用する.高音質,高圧縮ながら,低CPU負荷で省メモリを実現しているという.
同社では,今後これらの技術をゲーム機向けだけでなく,組み込み機器向けにも提供していく方針.
きたむら・としゆき