組み込み技術者のための資格試験,傾向と対策(1) ―― どのような資格試験があるの?

久保 幸夫

tag: 組み込み

コラム 2010年7月30日

●それぞれの試験の難易度は?

組み込み系の試験と言っても,各々の試験にはそれぞれ特色があり,出題される分野も異なりますので,一概に比較することはできません.しかし,全体像を見渡すという意味で,各々の試験の位置付けを図1に描いてみました.なお,この図は筆者の主観で描いたものであり,絶対的な尺度を示したものではありません.

図1 各試験の位置付け

 基礎的なものは主に経験が浅い若手エンジニア向け,応用的なものは経験を積んだ上級エンジニア向けやマネージャ層向け,と解釈していただいてもかまいません.また,左側の特定の技術やベンダに特化した試験は比較が困難ですが,右側の特化しない試験(ベンダ・フリーな試験)の場合,いずれも組込みスキル標準(ETSS)※2に準じているので,下から基礎的な部分がETSSのレベル1~2,真ん中から上がレベル3~4に相当します.ETECが基礎的部分を,情報処理技術者試験のエンベデッドシステムスペシャリストやOCRES(OMG認定組込み技術者資格試験)がその上をカバーする形です.そのため,エンベデッドシステムスペシャリストやOCRESを受験する前の1ステップとして,ETECを受験する人もいるようです.

※2 ETSS(Embedded Technology Skill Standards)とは,独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が策定した組込みスキル標準である.詳しくはIPAのETSSのページを参照のこと.

●初めて受験するにはどれがよい?

 もしあなたが経験の浅い若手エンジニアなら,基礎的な知識を確認するためにもETECを受験するとよいでしょう.その次に,エンベデッドシステムスペシャリストに挑戦してみる,または,職場でUMLやオブジェクト指向を取り入れた開発を積極的に取り入れているのなら,OCRESに挑戦してみてはいかがでしょうか.

●自分に合った試験を探そう

 あなたが開発経験4~5年の組み込みソフトウェア技術者で,自分に合う試験を探したいという場合,まずは,あなたが「業務に直結した技術に対する知識やスキルを証明したい」か否かでお勧めする試験が変わってきます.

 あなたが,ITRONやWindows Embedded CEを使ったシステムを開発しており,それらに関する知識やスキルを明らかにしたい場合は,トロン技術者認定試験や,マイクロソフト認定資格試験をお勧めします.職場でUMLやオブジェクト指向を取り入れた開発が行われているのであればOCRES,また,テスト技術者ならJSTQBとなるでしょう.

 逆に,業務に直結する部分は少なくてもよいが,組み込み技術に関する基礎的な知識や幅広い知識を明らかにしたい場合には,特定の技術に特化しないベンダ・フリーな試験である,ETECや情報処理技術者試験などをお勧めします.

 それぞれの試験の勉強法や参考書などについては,次回以降にて,順に解説していきたいと思います.

 

くぼ・ゆきお
組み込み&IT関連資格 講師

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