Twitterを使って技術系コミュニティを立ち上げよう!(4) ―― Twitterが開く技術系コミュニティの世界

竹内 俊明,柴田 優子

●Twitter×技術系コミュニティの可能性

 MATLABコンテストの話題を通じて,Wikiばなという,Wikiやそれに関連する話題を語り合う集まりと出会うチャンスにめぐり合いました.WikiばなのWebサイトによると,この活動は2004年の第1回の会合で始まり,現在まで続いています.

 Wikiばなの主体はあくまで実際に顔を合わせるミーティングにあり,会合にはポジション・ペーパ,グループ・ディスカッションなどさまざまな形式が採用されているようです.その一つのライトニング・トークは,セミナ形式で行われた最近の会合で採用された手法で,一定時間内で5分程度の短い発表を参加者が順番に行うものです.発表時間が短いので発表者も聞く側も敷居が低くなるというメリットがあると思います.Wikiばなが長く活動を継続しているのも,こうした工夫によるものが大きいのではないでしょうか.

 Wikiばなの活動では,Twitterは参加者同士が利用するツールの一つです.会合の模様はUSTREAMというストリーミングサービスで中継され,Twitter上でも中継を見ている人のつぶやきが流れていきます.準備段階では,Twitter以外にWikiを使ったり電子メールを使ったり,事後報告はブログだったりと,適材適所にSocial Computingツールが使いこなされています.

 MATLAB EXPOでTwitterを始める際に,筆者はまず参考事例を探しました.エンジニアリング・コミュニティを立ち上げる場合も,Wikiばなが有効な参考事例になるのではないかと考えています.

  • 実際に顔を合わせる会合を中核とする
  • 誰でも参加できるオープンなコミュニティを目指す
  • Twitterだけでなく,他のSocial Computingツールをうまく取り込んでいく
  • 参加者が無理なく参加できるように,運営形態を工夫していく

●リアル・イベントを触媒として使う

 コミュニティを形成する上で,参加者が共有できる共通の目的や共有できる体験・活動が不可欠です.また,日本人のコミュニケーション・スタイルを考慮すると,顔合わせの機会というのも重要です.MATLAB EXPOでもWikiばなでも,参加者が同じ場所を共有できるリアル・イベントが中核となっていますし,Twitterがその真価を発揮するのも,リアル・イベントです.しかしコミュニティ形成を考えた場合,こうした要素を兼ね備えたリアル・イベントを新たに企画するのは,なかなか大変です.そこで,既存のリアル・イベントを触媒のように使うということを考えてみたいと思います.

 組み込み系のリアル・イベントでコミュニティ形成のきっかけになりそうな例として,ETロボコンなどのロボット・コンテストがあります.例えば,新たに組み込み系コミュニティを立ち上げたい方々が,ETロボコンのイベントに合わせて会合を開くというアイディアがあります.独自に日時や場所を設定する必要はなく,ETロボコンのイベントに参加した後に集まればよいので,会合の管理が容易で敷居も低くなります.

 会合の呼びかけには,TwitterなどのSocial Computingツールを使います.Twitterであれば,共通ハッシュタグを設定することから始めてはいかがでしょうか.例えば,「#kumikomi」を共通ハッシュ・タグとしてつぶやくことにより,組み込み系のコミュニティをやりたい人がお互いに探しやすくなります.いったんコミュニティの活動が軌道に乗れば,独自に会合を運営していくことが可能になり,ETロボコンのイベント日程に合わせる必要はなくなるでしょう.

 ソフトバンクの孫社長が最近,Twitterなどで,人類の英知の結集を目指す「合脳」という発言をしています.組み込み系コミュニティでは,どのような目標を掲げて「合脳」していくのかも考える必要があります.例えば,ETロボコンでは組み込み系の人材育成という魅力的なテーマを掲げています.ロボット・コンテストというのは,そのテーマに対するアプローチの一つにすぎません.組み込み系コミュニティがもし同じテーマに取り組むとしたら,新たな「合脳」のアプローチが生まれるかもしれません.

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