刺しゅうミシンもスクラップ・ブックもディジタル化,パソコンとつながる趣味の世界 ―― 第33回 2009日本ホビーショー レポート
2009年5月7日~9日の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,「HOBBY+みんなでHappy 手づくりライフ」をテーマに,さまざまなジャンルのホビー関連機器を一堂に集めた展示会「第33回 2009日本ホビーショー」が開催された(写真1).主催は社団法人 日本ホビー協会.
今回で33回目を迎える本展示会では,定番ホビー,例えば手芸やクラフト,スクラップ・ブック作成などに関する展示やデモンストレーションが行われた.また,ファミリDIY(Do it yourself)ゾーンや各ワークショップなどの体験型コーナが用意されるなど,世代や性別を問わずに楽しめる展示会となっている.さらに,現在ブームとなっているスイーツ・デコ/フェイク・スイーツをテーマにした「スイーツワンダーランド」というイベントも開催された.20名の作家による作品展示や講演会が行われ,最新用具などを集めたモールが併設された.
主催者によれば,本展示会は,ホビー関連および食関連の各業界からダイレクトに消費者へという「B to C」とともに,消費者が会場で体験・参加してその反応や情報をビジネスに還流する「C to B」を加味した「B to C to B」型の展示会と位置づけているという.
同時開催は「ホビークッキングフェア2009」(主催は流通問題研究協会,日本ホビー協会).
[写真1] 会場受付の様子
●USBポートを備えたミシン,刺しゅうデータをネット経由でダウンロード
ブラザー販売は,刺しゅう作品を思い通りに仕上げることのできる家庭用刺しゅうミシン「Innovis 4000」を展示した(写真2).本ミシンは,自動糸通し機能やミシン・キルト機能,大型カラー液晶タッチパネルなどを備えている.刺しゅう面積は30cm×18cmと大きく,作品制作の際の制約とはならないという.
カラー液晶タッチパネルは,刺しゅうの組み合わせやレイアウト,文字配列設定などの編集に利用する.また,本体側面にはUSBポートを一つ装備しており,パソコンを利用しなくても,本機とさまざまな周辺機器を直接接続できる.例えば刺しゅうデータをUSBメモリから読み出したり,USBメモリへ書き込んだりできる.
別売のソフトウェア「刺しゅうPRO Ver.7」を利用すると,ディジタル・カメラで撮影した写真や,スキャナで取り込んだイラストをパソコン上で編集し,刺しゅうデータに変換できる.また,刺しゅうデータをインターネット経由でダウンロード購入できる「HeartStitches」というサービスも提供している.
[写真2] ブラザー販売の「Innovis 4000」
●デジカメ用写真プリンタを利用してスクラップ・ブックを作成
キヤノンマーケティングジャパンは,デジタル・カメラで撮影した画像を印刷するプリンタ「SELPHYシリーズ」を展示した(写真3).スクラップ・ブックの作成などに利用できる.
デジタル・カメラのメモリ・カード(SDメモリ・カード,MultiMedia Card,CompactFlashカード,メモリースティックなど)を本プリンタに差し込み,液晶モニタに表示される画像を選んで印刷する.用紙とインクが一体となった「イージーフォトパック」を採用しており,用紙とインクが同時になくなる仕組みとなっている.これにより,頻繁なインクの交換やクリーニングの必要がないという.
印刷に際して,マルチレイアウトや多面配置などの設定を行える.また,顔検出と連動する自動補正の機能も備えている.パソコン用ソフトウェア「Ulead Photo Express LE」などが同梱されており,これを利用してフレームや飾りつけ,文字入れなどの写真デコレーションを行える.
[写真3] キヤノンマーケティングジャパンの「SELPHY ES30」
●測定値がディジタル表示されるディジタル・ノギスを展示
シンワ測定は,読み取りやすさや使いやすさを改善し,ホビー用にもプロ用にも使えるノギス「デジタルノギス 大文字 ホールド機能付」を展示した(写真4).本ノギスは,ひと目で測定値が読み取れるディジタル表示モニタを装備している.比較測定や間接測定を可能にするゼロ・セット機能や,表示が見えない場合に利用するホールド機能などを備えている.
従来のタイプでは,ユニット部が濡れると壊れてしまうケースがあったが,本ノギスはユニット部を防滴構造にしているため,ふいて乾かすだけで正常に動作するという.測定範囲は,最小読み取り値が0.01mm.最大読み取り値は150mm,200mm,300mmの3種類に対応する.電池寿命は,通常使用で約3.5年,連続使用で約2年.
[写真4] シンワ測定の「デジタルノギス 大文字 ホールド機能付」
●金属加工からネイル・アートまで対応できる電動リュータを展示
柳瀬は,切削加工や研磨加工のための工具である電動リュータ「ミニコングNX」を展示した(写真5).本電動リュータは,先端パーツを交換することにより,粗研削から光沢加工まで幅広い作業に対応できる.例えばバード・カービングや金属加工,宝飾品加工,銀細工,模型,木工,石細工などに利用可能.
回転数をディジタル表示でき,先端パーツに最適な速度で使用できるという.用途に応じてコントローラのダイヤルやフット・スイッチを使い分けられる.最高回転速度は35,000rpm.このほか,過負荷防止機能(リセット付き)や正/逆切り替えスイッチを備えている.
専用のハンド・ピース(YWE-NX)は200gと軽く,長時間の作業でも疲れにくい.貴金属の手入れやネイル・アートなどの細かい作業にも利用できる.
[写真5] 柳瀬の「MINIKONG NX」