癒やし,筋トレ,生活習慣病治療,こんなところでも使われている電子技術 ―― 健康博覧会2010レポート

北村 俊之

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2010年3月19日

 「健康産業の大集結 見せろニッポンの底力!」をテーマに,2010年3月17日~19日の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて,健康産業の専門展示会「健康博覧会2010(Tokyo Health Industry Show)」が開催された(写真1).本展示会は,健康食品やサプリメント,健康機器,ビューティ商品,メタボ対策商材,フィットネス,オーガニック・エコ商材など,健康産業の商品やサービスが一堂に会する展示会で,今回で28回目を迎える.会場はメタボ対策,ウェルネス,ヘルス・フードなど,カテゴリ別に八つのゾーンに分類されていた.また静岡,新潟,沖縄など,地方自治体が地場産業の魅力を全国に発信する展示も多く見られた.主催はUBMメディア.


写真1 健康博覧会2010の受付の様子

 


 

●さまざまな安全機能を備えた1.3気圧のヒーリング・カプセル

 カワサキモータースジャパンは,1.3気圧の環境を実現するヒーリング・カプセル「Dream-Plus i」を展示した(写真2).設置にはおよそ1畳半程度のスペースが必要となる.本ヒーリング・カプセルは,カプセル本体,空気を送るコンプレッサや制御装置が入った制御盤,これらをつなぐコネクタ・ボックス,1本の電気ライン,2本のエア・チューブで構成される.

 カプセルの内外に液晶タッチ・パネルを備えている.外部の液晶タッチ・パネルは操作器を兼ねており,残り時間や現在の気圧,その他の状況を確認できる.内部の液晶タッチ・パネル(操作パネル)は気圧の変更や耳抜き支援などの機能を備えている.制御盤にはバックアップ用の予備電源が付いており,停電やコンセント抜けが発生した場合にも安全に動作する.またカプセル内には緊急停止ボタンを装備しており,これを押せば作動を停止して減圧を開始する.

 カプセルの開口部は60cm×80cm.厚さが8mm,重量が8kgのアクリル製の大型の透明スライド・ドアを備えている.このスライド・ドアは,傾斜を利用したレール構造により,軽い力で開閉できる.


写真2 カワサキモータースジャパンの「Dream-Plus i」

 


 

●低周波パルスでリラックス

 医療機器メーカであるディーブイエックスのブースでは,手のひらの中央部を低周波の電気パルスで刺激する機器「パルスエッグ」(製造元はホーマーイオン研究所)が展示されていた(写真3).本機器の電極は,握るだけで手のひらの中央にあるポイントに接触するように設計されている.リラックス・モード(1Hz~14Hz)とアクティブ・モード(14Hz~73Hz)の2種類のパターンを用意しており,場面に応じて気分をコントロールできるという.リラックス・モードは緊張感やストレスを感じたとき,安眠できないときなどに効果がある.アクティブ・モードは意識を集中し,処理能力を高める場合などに効果がある.電源にはDC3V(リチウム電池 CR2032)を使用し,約80回使用できる(1回の目安は15分程度).

 同ブースでは,親指をセンサに当てるだけで心拍数がチェックできる「ヘルシーPodJR」のデモンストレーションなども行っていた.


写真3 ディーブイエックスの「パルスエッグ」

 


 

●電気信号で体の気になる部分をシェイプアップ

 伊藤超短波は,筋肉トレーニングなどに利用するEMS(Electrical Muscle Stimulation;電気的筋肉刺激)運動機器「TWIN BEAT III Turbo」を展示した(写真4).EMSとは,一定の周波数(本機器の場合は2.5kHz)の電気信号で筋肉を刺激することにより,筋肉を効率よく動かし,筋肉中でエネルギーを消費して運動効果を得る運動法である.

 干渉波とロシアン・カレントの2種類の電流刺激を用意する.腹部や背中,太ももなど,七つのプログラムから部位に適したトレーニングを選択できる.外形寸法は143mm×75mm×30mm,重量は約290g.電源にはDC3.6Vのニッケル水素(NiH)2次電池を採用している.フェイシャル専用ローラが付属しており,スキンケアにも利用できる.


写真4 伊藤超短波の「TWIN BEAT III Turbo」

 


 

●遠赤外線輻射熱を利用して脚を温める

 フジカは,ふくらはぎの温熱にこだわった脚温器「スマーティ・レッグホット」を展示した(写真5).

 足の疲れやふくらはぎのむくみの原因は,ふくらはぎの筋肉が収縮せず,静脈の循環がうまくいかなくなり,脚の細胞や血管の隙間を埋めている「間質」と呼ばれる部分に余分な水分が溜まることにある.脚の疲れやむくみを解消するには,足先からふくらはぎをマッサージして筋肉を収縮させ,静脈の流れを人工的に促してやる必要がある.

 本脚温器は,足の膝から下全体を遠赤外線の輻射熱で温める方式を採用している.遠赤外線面状カーボン・ヒータによって脚全体を刺激し,全身の血行を促進する.これにより,冷えやむくみを抑え,のぼせやほてりの原因となるうっ血を解消できるという.また,遠赤外線が膝下からつま先,48のツボが集中している足裏までを温めるため,温灸効果で全身の活性化が期待できるという.


写真5 フジカの「スマーティ・レッグホット」

 


 

●3軸加速度センサでカロリ測定

 二プロは,生活習慣病患者に合った運動療法が行えるカロリ・カウンタ「ウェルサポート(Welsupport)」を展示した(写真6).病院での使用を念頭に開発した.

 本カロリ・カウンタは,病院や医療施設内での糖尿病患者などの運動による消費エネルギーを測定・管理する.3軸加速度センサと気圧センサ(高低差センサ)を搭載しており,平地歩行や走行だけでなく,階段やエレベータを利用したときの上下運勤の消費エネルギーも算出できる.また,ダイエット・プログラム機能を搭載しており,計画的な減量を支援する.付属の専用ソフトウェア「Professional」とパソコンを使用して,データ管理や長期間にわたる健康管理を行える.


写真6 二プロの「ウェルサポート」

 


 

●採血せずに血流を観察

 フジワークのブースでは,多機能,ズーム対応の非接触型血流観察装置「BSCAN-Pro」(製造元はGOKOカメラ)が展示されていた(写真7).本装置を使うと,採血しなくても血流を観察できる.100倍~300倍のズーム機能を備える.

 外観は顕微鏡タイプで,重量は450g以下.持ち運びが容易なので,肌,頭皮,手足の指先など,体表面のさまざまな血流変化を観察できる.高輝度LED照明を採用しており,メンテナンスなどは不要.同社推奨の16インチ専用液晶モニタのほか,手持ちのテレビやDVDプレーヤに接続して血流の画像を見ることもできる.

 本装置は,健康・美容・ダイエット業界のほか,自動車の塗装検査など,産業分野の品質管理でも利用されているという.


写真7 フジワーク(GOKOカメラ)の「BSCAN-Pro」

 

きたむら・としゆき

 

 

 

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