暮らしに役立つ新QC七つ道具(2) ―― マトリックス図法:「行列」で「整理」する

国広 洋一

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2009年9月16日

この連載では,品質管理(QC:Quality Control)において利用される七つの技法「新QC七つ道具」について解説している.「QC七つ道具」が定量データの分析に利用されているのに対し,「新QC七つ道具」は主に定性データを対象とした分析に用いられる.今回は,物事の関連を行列の層別に分けて問題を整理することで,全体の構成と個々の要素の両方を一目で確認できる「マトリックス図法」を取り上げる.(編集部)

● 新QC七つ道具その2: マトリックス図法

 この連載では,主人公のZ(ツェット)くんが問題にぶつかりながら,それを「新QC七つ道具」を使って対応していく様子を通して,それぞれの道具の使い方を紹介していきます.

 

前回までのあらすじ
 新入社員のZ(ツェット)くんは,猪川課長に製品アンケートの解析を命じられました.どうやって,まとめるか悩んでいるところで,先輩の部下A(アー)さんに親和図法を使うことを教えてもらいました.よい方法だと思ったZ(ツェット)くんは,親和図法を使って製品アンケートをまとめることにしました.

 

 

[登場人物]

Z(ツェット) : アルファベットの最後の文字を割り当てられた永遠の新人.素直でまじめな性格.

  猪川課長: フルネームは 「猪川将佐(いのかわまさすけ)」.
あるキャラクタに少し似ていることと名前の読みから,"少佐"のあだ名を持つ.仕事に関しては謹厳な態度を貫き通す.
   部下A(アー): 猪川課長の部下.
実直な人物であり,極めて温厚.若干背が低く童顔.有能なプロジェクト・マネージャである.

 

● 問題と原因がこんがらがっている時,どうやって整理する?

 Z(ツェット): 「似たようなものをまとめていくと,なんとなく製品の課題が見えてきたような気がするな.思ったよりも早くできそうだ.これをまとめていけば解析は終わりかなぁ….猪川課長,製品アンケートの解析ができました」
  猪川: 「ほう,早いな.それでは見せてくれ…(レポートのページをめくる).問題点が列挙してあるが,これらのすべてが独立した要因ではないようだな.それぞれの問題点の関連はどうなっているのかね.それと,重要度や緊急性,実施した場合の効果などについての考察もないようだな.それらは,どのように考えたのかな」
 Z(ツェット): 「えー,それは…」
 猪川: 「まるっきり,考えてなかったのか.バカモンーー!!! 解析が不十分だ.やり直してこい! 問題点どうしの関連性の解析と,問題点を重要度と緊急性,効果によって分類してくるんだぞ!」
Z(ツェット): 「はい,わかりました.(ヒェー~)」

    猪川課長にさんざん怒鳴られて,席に戻ったZくんでした.
 

Z(ツェット): 「うーん,問題点どうしの関連性か.考えたことがなかったな.どうやって関連を見つけるといいんだろう.言われてみると,確かに多くの問題は,似たような原因で起きているような感じなんだけどなぁ.うーん…」

 前回と同じく,数時間が過ぎました.

 部下A(アー)さんがZ(ツェット)くんを見に来ると,どうやら頭をかかえて悩んでいる最中のようです.

部下A(アー) : 「何を悩んでいるんだい? Z(ツェット)」

Z(ツェット) : 「あ,A先輩.少佐,いえ,猪川課長に問題点どうしの関連性の解析ができてないと言われて,どうやろうかと考えているんです」

部下A(アー) : 「で,どうやろうと考えているんだい」

Z(ツェット) : 「そこのうまいやり方が思いつかないんです.何かいい方法がないでしょうか」

部下A(アー) : 「うーん,そうだなぁ.問題点をまとめることはできているんだね」

Z(ツェット) : 「はい,できています」

部下A(アー) : 「で,それらの発生した原因は解析したのかい」

Z(ツェット) : 「はい,やってみました.結構,似たような原因が多いのは気がついたんですけど…」

部下A(アー) :「ふーむ,それで一つの問題に対して原因は一つなのかな?」

Z(ツェット) : 「いえ,一つの問題に対して,原因と思われそうなことが複数あるものが多いです.もちろん,問題に対して一つの原因しかないものもあるんですけど.それで,問題と原因が絡まった感じになってしまって,よく分からなくなってしまったんです」

部下A(アー) :「そうか.問題と原因が絡まった感じなんだね」

Z(ツェット) : 「そうなんです.そこが,よく分からなくなってしまったところなんです」

部下A(アー) :「問題に対して複数の原因があるようなら,それらの関係をマトリックスにしてみたらどうだい」

Z(ツェット) : 「え,どういうことですか?」

部下A(アー) : 「つまり,こういうことさ.問題を横軸に,原因を縦軸にとって,それぞれがどういう関連があるかを表にしてみるんだよ.ある問題に対して,その原因があてはまるのなら○,当てはまらないのなら×,どっちか分からない場合は△というようにしてみるのさ.こんな感じになるのかな(図1)」

 
 



[図1] マトリックス図の例


 

Z(ツェット) : 「あ,なるほど.これだと,確かに整理できますね.やってみます」

 

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