WACATEファン有志がソフトウェア技術者向けのトーク・イベントを開催 ―― WACATE Short Short vol.1レポート
2009年4月18日,TKP表参道ビジネスセンター(東京都港区)にて,ソフトウェア技術者向けのトーク・イベント「WACATE Short Short vol.1」が開催された.ソフトウェア・テストに関する若手技術者向けのワークショップ合宿「WACATE(Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers)」は,若手技術者が議論する場として,また,ベテラン技術者の知見を若手技術者に伝える場として企画され,過去3回開催されている.
今回は,企画から当日の運営に至るまで,すべてが自称WACATEファンによるイベント形式のオフ会という位置づけで開催された(写真1,写真2).
●全員が参加者であり発表者
本イベントでは,「参加申し込み=発表申し込み」という仕掛けが導入されている.通常,このようなイベントでは発表者と聴講者が分かれてしまうことが多く,これはWACATEの理念の一つである「全員参加」に反する.本イベントでは,全員が発表を通して一歩成長してほしい,という主催者の想いがあり,この仕組みが取り入れられたという(写真3).
実際,「今回が初めてのプレゼンだ」という参加者が半分以上を占め,文字どおり全員が成長をとげることができたようである.
●ユニークな発表が相次ぐ
本イベントでは,「役に立ったで賞」,「頑張っているで賞」,「面白かったで賞」の3賞が設けられている.「役に立ったで賞」を受賞した永田敦氏は,組み込みソフトウェアの開発スタイルの変遷に触れながら,「不況である今だからこそ,技を磨こう」と訴えた.「頑張っているで賞」を受賞した入社3年目という草川 導弘氏は,今まで自身が実施してきた「経験ベースのテスト技法」をもとに同技法を適用する上でのポイントやコツを紹介した.また,「面白かったで賞」を受賞した小田部 健氏は「常在せんじょうのテストのすすめ 【番外編】 テスト技法な魚達」というタイトルで発表した(写真4).釣りたい魚によって戦略と戦術が変わり,それはテスト技法を適切に選択することと似ているとし,そのユニークな発想に会場は大きな笑いに包まれていた.
そのほか,惜しくも受賞を逃した発表にもそれぞれ趣向が凝らされており,質疑応答が活発に繰り広げられた.
●成長するために“凝り性”になろう
1日の終わりには,池田 暁氏(WACATE実行委員会 実行委員長)による「若手からWACATEになるためには」と題した特別セッションが行われた(写真5).これまで池田氏自身がスキル・アップのために取り組んできたことや,現在取り組んでいること,また,新人指導のために書きためているという通称「池田語録」から,「成長したいと思うならば覚悟を決めよ」などいくつかが紹介された.講演の最後に池田氏は,「スキル・アップのために一番必要なことは凝り性であること.ぜひ皆さんも凝り性になってください」と締めくくった.
「自身の経験と実感に基づく」という池田氏の金言の数々に対して,参加者は熱心にメモをとっていた.
●WACATEとWACATEファンをつなぐ取り組み
一日を終えた参加者からは,「1万円以上の価値があった」,「自分もお世話役デビューしてみたい」など,前向きな声が上がっていた(写真6).
WACATE実行委員会ではこのようなWACATEファンからの声に答え,今後も「WACATE Short Short」を継続して開催していく予定である.