システム技術者のための測定ワンポイント・テクニック(5) ―― RFIDタグ・カードの共振周波数測定
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技術解説 2009年1月26日
● シミュレーションで特性を確認する
図3にシミュレーションによる特性を示します.左上のグラフが周波数特性です.図2に示した実機による測定結果とよく似た特性が,シミュレーションできているのが分かります.このように電磁界シミュレータによるシミュレーションでパターン形状を確認しておくことが,製品の短期開発や試作コスト削減に効果的です.
図3 電磁界シミュレータによる共振点のシミュレーション結果
Microwave Office(米国Applied Wave Research社)を利用
図2の共振点を拡大したものが図4です.測定に用いたRFIDタグ・カードはICが実装されていないため,20MHzと高い周波数で共振していますが,ICが実装されるとICの容量分によって13.5MHzの実際の使用周波数になります.このときパッケージの浮遊容量も共振周波数を低くしてしまいます.複数の誤差要因を考慮し,最終製品で13.5MHzにしなければならない点が,この製品の難しいところです.
図4 RFIDタグ・カードの共振点
参考・引用*文献
(1)* 非接触ICカード技術方式「Felica」,ソニー(株).
http://www.sony.co.jp/Products/felica/pdf/data/FeliCa_J.pdf
つの・とおる 横河電気(株)
<筆者プロフィール>
津野 徹.1971年,東海大学通信工学科卒業.1976年,安藤電気計測技術部にて特注測定器の設計に従事.1981年,KENWOOD測定事業部にてオシロスコープの設計に従事.1996年,横河電機にてアナログ半導体テスタの高速高周波モジュールの設計に従事.1998年,横河デザインエンジニアリングにて特注回路設計制作に従事.1999年から横河マニュファクチャアリングにて横河電機技術部のサポート中.