システム技術者のための測定ワンポイント・テクニック(5) ―― RFIDタグ・カードの共振周波数測定

津野 徹

自動改札を通るときにかざすRFIDタグ・カードの,アンテナ部の周波数特性を確認する.(編集部)

 皆さんが首都圏の鉄道に乗る際に利用できるSUICAやPASMOでおなじみのRFID(Radio Frequency Identification)タグ・カードは,接触型ICカードや磁気カードとは異なり,13MHz帯の電磁結合を利用した非接触カードです.簡単にいうと,電源トランスなどと同じ,電磁結合タイプのトランスとなります(図1)

zu01_01.gif
図1(1) データを送受信するための仕組み

● 13.5MHzで共振するRFIDタグ・カード

 RFIDタグ・カードは写真1のようにいろいろな形状があります.どのカードも配線パターンで生成したコイルと,配線パターンで生成したコンデンサ,ICの入力容量,パッケージの浮遊容量で13.5MHzの共振をさせています.

photo01_01.jpg
写真1 13MHz帯を利用して信号を送受するRFIDタグ・カードの例

 このカードのテストには,電波を利用した433MHz帯や940MHz帯,2.5GHz帯のRFIDタグ・カードと少し異なった測定法を用います.ちなみに電波は距離の2乗に反比例して通信感度が低下しますが,磁気結合は距離の3乗に反比例して通信感度が低下します.従って,通信距離は10cm位が実用範囲です.以下,13MHzの電磁結合を利用したRFIDタグ・カードの,共振周波数の測定方法について説明します.

● コイルを結合させてエネルギやデータをやりとりする

 通常,2.45GHzの電波を利用したRFIDタグ・カード(ISO18000-4)は,1/4λ(30mm)のアンテナとしてのパターンを使用します.しかし,13MHz帯は1/4λの長さが5.77mにもなりますから,名刺大の小さなカード上にはアンテナ・パターンが引けません.そこで,コンデンサを追加してLC共振回路を構成します.この回路は別名タンク回路とも呼ばれ,エネルギを吸収するように動作します.

 このタンク回路のコイルに発振器のコイルを結合させると,発振器のエネルギが吸収されます.昔,通信機のタンク回路の共振周波数を測定する時に使用されたグリッド・ディップ・メータが,この原理と同じになります.RFIDタグ・カードは,このエネルギを整流してカードICの電源としています.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日