カメラ,センサ,無線技術を組み合わせてノウハウを可視化 ―― CEATEC JAPAN 2008

組み込みネット編集部

tag: 半導体 電子回路

レポート 2008年10月10日

 「デジタルコンバージェンス,新たなるステージへ」をテーマに,2008年9月30日~10月4日の5日間,幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)において通信,情報,映像技術に関する展示会「CEATEC JAPAN 2008」が開催された(写真1).会場では,センサやカメラ,無線技術を組み合わせたセンサ・ネットワークのデモンストレーションなどが行われた.5日間の来場者は19万人超.

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[写真1] CEATEC JAPAN 2008会場入り口付近の様子

●センサ・ネットワークのデモンストレーションを実施

 富士通は,農業生産のノウハウを可視化して農業経営や生産を支援するシステム「農業ナレッジマネジメントプラットフォーム」を展示した.本システムは複数の農場に設置される複数のセンサ端末および無線電波の基地局,センサ情報を管理するセンタ端末,農業のノウハウを提供するデータベース端末から構成される.農業に関する生産ノウハウを多くの人に提供するのが狙い.

 生産ノウハウは「入力→蓄積→表示→分析→指示」の手順に沿って活用される.入力情報としてセンサ(温度や湿度,照度),カメラ(葉の色や天気,侵入者),パソコン(作業や収穫量)などを取得する.これをセンサ・データや作業履歴などと分けて蓄積し,パソコンに生育推移,作業履歴,収量などを表示する.その後,相関分析や作業のモデル化,異常検知,予兆監視などの分析を,データベースを参照しながら行う.分析結果をもとに,作業案内や作業計画などを作成する.

 展示会場で行われたデモンストレーションでは,複数の畑に設置したセンサが温度や湿度,照度を検知し,IEEE 802.15.4の規格に準拠した通信を行い,センタ端末にそれぞれの畑の状態を表示した(写真2)

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[写真2] 複数の畑の温度や湿度をセンタ端末に表示するデモンストレーション

 さらに同社は,運転手の訓練のために開発した「SaaS型鉄道運転シミュレーターシステム」を展示した.本システムは,主に富士通データセンターに設置されたSaaS(Software as a Service)プラットホームおよび運転シミュレータ管理サーバ,利用者側に設置する運転シミュレータ(写真3)から構成される.富士通のデータ・センタと利用者の間は,インターネットを介して結ばれる.

 これまでの鉄道運転シミュレータでは,CG(Computer Graphics)処理によって作成した画面を利用することが多かった.本システムは,実際のフルハイビジョン映像を可変速再生して利用する(写真4).これにより,リアリティの高い乗務員訓練が可能となる.一方,映像製作コストは従来の約1/10で済む.さらに,各路線実写映像の差分データ(信号や標識のCG処理)の配信や訓練生の運転結果,履歴,成績表示なども行える.

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[写真3] 運転操作技法訓練を目的とした運転シミュレータ

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[写真4] 操作に合わせて変化する実路線映像
運転台の映像はCG.各メータやランプ類などがすべて実物そっくりに動作する.

●無線モジュールを搭載したパネル・コンピュータの開発環境

 WILLCOMコアモジュールフォーラム(WCMF)のブースでは,ウィルコムのPHS無線モジュールであるW-SIM関連の製品展示やデモンストレーションが行われた.

 アットマークテクノは,W-SMスロットを備えたパネル・コンピュータ開発システム「Armadillo-500 FX」を展示した(写真5)米国Freescale Semiconductor社i.MX31プロセッサやSDRAM,USBポート,Ethernetポート,miniSDスロットなどを搭載したCPUモジュール「FXボード」,EthernetポートやUSBポート,SDスロット,オーディオ・インターフェース,SSD(Solid State Drive)などを搭載した「インターフェースボード」,および5.7インチ型タッチパネル付きVGA液晶ディスプレイから構成される.i.MX31プロセッサはARM1136JF-Sコアを内蔵する.動作クロック周波数は400MHz.W-SIMスロットはインターフェース・ボードに取り付けられている.W-SIMを採用することにより,無線機能を一から開発する必要がなかったという.

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[写真5] Armadillo-500 FXの外観(左が裏面の基板,右が表面の液晶ディスプレイ)

 ユーザが実際にパネル・コンピュータ機器を開発する場合,FXボードの機能は変更せず,インターフェースボードをカスタマイズすることを想定している.デモンストレーションとして,米国Google社などが中心になって設立したOpen Handset Alliance(OHA)が開発を進めている携帯電話向けOS/ミドルウェア/開発環境「Android」を動作させ,Googleマップを表示していた.

 このほか,WILLCOMコアモジュールフォーラムのブースでは,工事現場などの騒音環境向けイヤホン・マイクの試作機が展示された.日鉄エレックスがBluetooth通信機能を備えた騒音環境向けイヤホン・マイク「【e耳くん 無線タイプ】」を発売している.今回の試作機は,この製品のいわばW-SIM版.本イヤホン・マイクは声を出すときに耳の中で発生する空気振動をとらえ,これを音声信号に変換する.片耳のイヤホンを使い,ハンズフリーで会話できる.

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