測距センサや光の向きを検出できるカメラに注目が集まる ―― '07国際画像機器展

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 電子回路

レポート 2007年12月14日

 2007年12月5日~12月7日,外観検査や計測,リモート・センシング,ロボット・ビジョン,生体認証などの画像アプリケーションに関する展示会「国際画像機器展」が,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で開催された(写真1).会場では,対象物までの距離を測るセンサや光の向きを検出できるカメラに注目が集まった.

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[写真1] 国際画像機器展の会場入り口付近の風景
2007年12月5日~12月7日,パシフィコ横浜にて開催された.

●被写体までの距離や形状を測定できる画像センサを展示

 松下電工は,被写体までの距離や被写体の形状を測定できるセンサ「距離画像センサ」を展示した(写真2).24本の赤外LEDから照射した光が反射して返ってくるまでの時間を,同社が開発した画像センサで測定する.画像センサの画素ごとに距離を測定できるので被写体全体の形状情報も求められる.例えば,1台のセンサで人の振る舞いや対象物の動きをリアルタイムに取得できる(写真3)

 センサで得た形状情報を処理することで,併設した別のカメラで取得した画像から対象物だけを切り取ることもできる.駅の改札や事務所の入り口などで特定の身長の人だけを検出するといった使い方が考えられる.

 距離画像センサの検出画素数は,水平128ピクセル×垂直123ピクセル,画角は水平60°,垂直45°.検出距離が1.2~7.5mと0.8~3mの2品種を用意する.前者(EKL3101K)の応答速度は15フレーム/s,後者(EKL3102)の応答速度は36フレーム/s.

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[写真2] 被写体までの距離や形状を測定できる距離画像センサの外観
会場では,カメラから一番近い距離にある黄色いボールを認識していた.併設したカメラ画像のなかに黄色いボールの遷移を映し出すデモンストレーションを行った.

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[写真3] 距離画像センサが対象物(人)までの距離を認識した例

●偏光フィルムの偏光の度合いを測定

 フォトニックラティスは,偏光フィルムの偏光の度合いを測定できるカメラ「PI 100」を展示した(写真4).市販のCCD画像センサに同社独自の技術で製造したフィルム状の偏光子を取り付けた.

 画像センサの画素数は100万画素で,偏光子は画素ごとの偏光方向を持つ.偏光方向は0°,45°,90°,135°の四つ.この4方向(4画素)から得られる偏光成分の振幅,平均値,光の向きなどから透過光の偏光ベクトルを算出する(写真5).例えば,液晶ディスプレイに用いられている偏光フィルムの偏光方向が分かり,フィルムの傷や厚さむら,特性むらなどを検出できるという.

 価格は,カメラとブラウザ・ソフトウェア一式で170万円.同社は,独自のフォトニック結晶生成技術を持っており,今回の偏光子もこの技術を利用して製作した.

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[写真4] 偏光フィルムの偏光の度合いを測定できるカメラの外観

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[写真5] 偏光フィルムを通過した光のベクトル

●色情報をXYZ 10ビットで出力するカメラを展示

 池上通信機は,色情報をXYZ 10ビットで出力するカメラを展示した(写真6).XYZ信号は従来のカメラで扱われているRGB信号よりも広い色域を持つ.血液の色や患者の顔色を判定する医療用途および芸術品のディジタル・データの保管などに向くという.

 現在,XYZの色域を持つモニタは販売されていない.そのため会場では,XYZ 10ビットのディジタル・データをパソコンに取り込み,同社の専用ソフトウェアでRGBデータに変換して,業務用モニタに表示していた.

 撮像素子には,2/3型インターライン型CCDを3個利用する.色情報を特殊フィルタに通し,それぞれの色情報を三つのCCDに入力している.有効画素数は1280ピクセル×1024ピクセル,フレーム・レートは15フレーム/s,感度はF5.6(2000lxのとき),SN比は50dB.電子シャッタは1/15~1/16000.出力インターフェースとしてCamera Linkを採用した.2008年度中の出荷を目ざす.価格は未定.

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[写真6] 色情報をXYZ 10ビットで出力するカメラ(上側)

●ハイビジョン映像を250Mバイト/sで記録できるデータ・レコーダ

 ミッシュインターナショナルは,データ・レコーダ「LTX2」を展示した(写真7).会場では,1920ピクセル×1080ピクセルのハイビジョン・カメラから60フレーム/sで送出される映像を250Mバイト/sで8台のHDD(合計4Tバイト)に取り込んだ.

 米国Conduant社のHDDコントローラを搭載する.市販のRAIDカードを利用したデータ収集システムなどに見られるPCIバスの速度制限やホストへの割り込みなどによる遅延は生じない.

 LTX2の最大記録/再生データ・レートは400Mバイト/s.最大接続HDD数は16台,記録容量は合計8Tバイト.データの入出力はフロント・パネルに設けられたFPDP2(Front Pannel Data Port)インターフェースにより行う.現在,光によるSerialFPDPインターフェースやLVDSインターフェースも開発中.

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[写真7] ハイビジョン映像を250Mバイト/sで記録できるデータ・レコーダの外観

●内部の信号処理をRGB 14ビットで行う高精細ディジタル・カメラ

 日本ビクターは,15フレーム/sで画像を表示する高精細ディジタル・カメラ「KY-F760」を展示した(写真8).1/1.8型,201万画素のCCD画像センサを三つ搭載し,1600ピクセル×1200ピクセルの画像を取得できる.

 内部信号処理における量子化ビット数がRGB 14ビットと高い(市販のビデオ・カメラの量子化ビット数は8ビットないし10ビット).本カメラからの出力は,RGB 8ビット,10ビット,12ビットを選択可能.感度はF8(2000lxのとき).部品検査装置や医療機器などに使用できる.

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[写真8] 内部の信号処理をRGB 14ビットで行う高精細ディジタル・カメラの外観

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