AMBA 3.0に追加された高性能バス用のAXI仕様 ―― チャネル方式を導入し従来のAMBAバスから大きく変更
なお,AXIはインターフェース仕様であり,バス仕様ではありません(図5).したがって,インターコネクトの部分は仕様の範囲外です注3.インターコネクトとしては,以下のような選択肢が考えられます.
・ポイント・ツー・ポイント
・シングルレイヤ
・マルチレイヤ
・アドレスはシングルレイヤ,データはマルチレイヤ
〔図5〕AXI仕様の構造
AXI仕様はインターフェースの仕様を規定したものであり,バス仕様ではない.したがって,インターコネクトの部分は仕様の範囲外となる.
注3;AHBの仕様書にはマルチプレクサを使った接続構成が載っているが,後になって考案されたマルチレイヤAHBというインターコネクトの実装方式を使うこともできる.
●特にバースト転送における転送効率を向上
AXIの主な特徴は以下のとおりです.
1)チャネル構造とレジスタ・スライス
マスタとスレーブの間は,アドレス・チャネル,読み出しチャネル,書き込みチャネル,書き込み応答チャネルという四つのチャネルで接続されます(図6).AHB仕様のように,規定されたタイミングでマスタからアドレス信号やデータ信号が一方的に出力されるのではありません.
〔図6〕AXIのチャネル構造
読み出し時には,マスタとスレーブがアドレス・チャネルと読み出しチャネルを使ってデータを転送する.書き込み時にはアドレス・チャネルと書き込みチャネル,書き込み応答チャネルを使ってデータを転送する.
アドレスやデータの情報は,パケットのような形で各チャネルに載せられます.パケットはマスタとスレーブの間で2線ハンドシェイク注4によって転送されます.
それぞれのチャネルの信号は基本的にすべて同じ方向なので(ハンドシェイクのアクノリッジ信号のみ逆方向),チャネルのパス(path)にレジスタを容易に追加できます(図7).チャネルにレジスタを挿入できることは,タイミング設計に大きなメリットをもたらします.バスが高速なクロックに同期して動作する場合,バスのタイミング設計は非常に厳しくなりますが,信号線のパスの途中にレジスタを挿入することで,1クロックで信号を伝播しなければならないデバイスの範囲が減り,配線長も短くなります.したがって,バスの動作周波数を上げることが可能になります.
〔図7〕チャネルにレジスタを挿入する(レジスタ・スライス)
レジスタ・スライスを用いることにより,バス全体の動作周波数を低下させずにバスのタイミング設計を行える.ただし,レジスタを挿入した先へのデータ転送には1クロック余分に時間がかかるので,高速なデータ転送が必要なデバイスはレジスタを経由しない位置(この図の読み出しデータの例で言うとスレーブ#1)に接続する.