車載を意識したELディスプレイやLEDバックライトに注目が集まる ――FPD International 2006
2006年10月18日~20日,パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区)にて,プラズマ・ディスプレイや液晶ディスプレイなどのフラット・パネル・ディスプレイに関する展示会「FPD International 2006」が開催された(写真1).本イベントは,ディスプレイの部材や部品,および最終製品となる家電ディスプレイ製品を扱う展示会である.会場では,例えばデンソーなどが車載用途を意識したELディスプレイを展示し,注目を集めた.
[写真1] FPD International 2006の入り口
2006年10月18日~20日,パシフィコ横浜で開催された.
●視認性の良い車載メータ向け液晶ディスプレイを展示
日本精機は,車載メータなどへの応用を想定して,外光に対する黒の発色性を高めたTFT(薄膜トランジスタ)液晶ディスプレイを展示した(写真2).動作温度範囲は,車載機器向けの品種では-40℃~+85℃,プリンタなどの産業用機器向けの品種では-20℃~+60℃.ディスプレイのサイズは3.5インチ,解像度は320ピクセル×240ピクセルである.
[写真2] 日本精機の車載メータ向けのTFT液晶ディスプレイ
外光に対する黒の発色性を高めて視認性を向上させた.
●表示板が透明な無機ELディスプレイ・パネルを展示
デンソーは,透明無機EL(electroluminescence)ディスプレイ・パネルを展示した(写真3).従来,緑色やオレンジ色しか表示できなかったが,今回は白色と青色を表示できる機種を開発した.今後,赤色の透明無機ELディスプレイを開発できれば,フルカラー画像を表示できるようになるという.
無機ELディスプレイ・パネルには,液晶ディスプレイ・パネルと比べて輝度の劣化が少ないという特徴がある.例えば,劣化の割合を12年で10%以下に抑えられる.また,応答速度がμs(マイクロ秒)オーダと速い.非発光時に透明であるという特徴を生かし,車載向けの表示器としての応用を期待しているという.
[写真3] 車載向けの表示器として利用できる透明無機ELディスプレイ
透明無機ELディスプレイにデンソーのキャラクタである「まめぞう」が表示されている.
●上下左右に180°の視野角をもつ液晶ディスプレイ
三洋エプソンイメージングデバイスは,視野角を広くした携帯電話やデジタル・カメラ向けの液晶カラー・ディスプレイを展示した(写真4).電極の位置を工夫し,斜めから見ても光源を遮らないようにすることで,上下左右について180°の視野角を確保した.会場では,周囲の明るさを検知してバックライトの明るさを最適に調整し,無駄な電力消費を抑えるというデモンストレーションを行った.
また,これとは別に,画像データを一度外付けのメモリに保存してから表示する液晶ディスプレイ・モジュールも紹介した.画面を更新したときのみ画像データの送受信を行うので,静止画像が多い場合に消費電力を抑えられるという.
[写真4] 視野角の広い携帯機器向けの液晶ディスプレイ
周囲を暗くするとバックライトの光量が減り,液晶ディスプレイの消費電力が低くなる.