組み込み企業のUML教育に利用されるETロボコン ――2006年7月1日~2日に競技会を開催

組み込みネット編集部

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レポート 2006年5月19日

 LEGO MINDSTORMSで作成したロボットの走行タイムとUML(unified modeling language)などのモデルの良し悪しを競う競技会「ETロボコン(Embedded Technology Software Design Robot Contest)」の参加チーム数が,年々増えている.2006年の参加チーム数は106(2005年は53)で,そのうち47チームが企業からの参加である.コンテストは東京都内で行われるが,宮城県や福岡県などといった遠方からの参加も目立つ.ETロボコンを新人教育やUML教育の手段として活用する企業が増えたことが,参加チームの増加につながったようだ(写真1)

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[写真1] 走行ロボットにダウンロードしたサンプル・プログラムの動作確認を行う参加者たち
走行ロボットは黒線をたどりながら自走する.昨年までのコースは発泡スチロール上に黒いビニール・テープを貼ったものだったが,複製が容易で持ち運べるものをということで,今年から布に印刷することになった.

 ETロボコンは,組み込みソフトウェア開発に携わる若手技術者に分析・設計モデリングの教育機会を提供することを目的とした競技会である.組み込みソフトウェア開発へのUMLの適用を推進するために企画された競技会「UMLロボットコンテスト(UMLロボコン)」を前身としている.競技会は7月ころに開催され(2006年は,7月1日~2日,東京都立工業高等専門学校にて開催),優秀な走行タイムを出したチームは,11月に開催される「チャンピオンシップ大会」(組み込み技術に関する展示会「ET(Embedded Technology)」の併設イベントとして開催)への参加権を得る.競技会は,だれでも自由に見学できる.企画運営を担当する実行委員会はボランティアのメンバで構成されている.

※追記:記事執筆当時は見学自由だったが,当日の混雑が予想されるため事前登録制となった.詳しくはETロボコンの公式ホームページを参照.

 このETロボコンに企業として参加するチームは,当初はUML関連のツール・ベンダを中心に,オブジェクト指向を推進する一部の電機メーカやソフトウェア会社に限られていた.しかし,年々参加企業が増えており,2006年のETロボコンには,アルプス電気やソニーLSIデザイン,パナソニック コミュニケーションズ,日立製作所などが初めて参加する.企業チームの多くが新人研修の一環として,あるいはUMLの実習教育代わりに参加しているもよう.

 ETロボコンが教育手段として利用される理由は,以下のとおりである.まず,モデリング対象が走行ロボットであるため,モデリング結果を実動作として確認できる.競技というゲーム性があるため,学習者のモチベーションを高く保ちやすい.モデリング対象がすべてのチームにおいて同一であるため,別のチームのモデルと自分のモデルを比較して考察を深めることができる.また,モデリングの内容は審査の対象となり,モデルの内容と審査結果が参加者に公表される.さらに,ETロボコンの参加者向けに開催されるUMLの入門講習を無料で受講することができる(写真2)

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[写真2] UMLに関する技術研修会のようす(2006年5月に開催)
技術研修会には,原則として各チームから1名が参加できる.今回は参加チーム数が多かったため,同じ講習を2日に分けて開催した.参加人数は2日合計で86名.講師はオージス総研 ソリューション開発本部 組み込みソリューション部の赤坂英彦氏.

 参加チームの増加に対応するため,7月の競技会では同一のコースを2セット用意し,会場内で並行して競技を進める予定.また,来年以降は,東京以外の各地方でも競技会を開催することを検討しているという.

関連リンク
・ニュース:企業や学生によるロボット走行の競技会「ETロボコン2006」を7月1日~2日に都内で開催
・レポート:"ロボコン"開催で組み込み業界を目指す学生を増やす(ETロボコン2005 チャンピオンシップ大会)
・特別寄稿:組み込み技術者育成を目指す「ETロボコン」(ETロボコン選手権)
・レポート:40チームのUMLモデルとロボットが対決(第3回 UMLロボットコンテスト)
・レポート:UMLモデルと走行タイムを競うロボット・コンテスト開催(第2回 UMLロボットコンテスト)

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