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今回の名称変更は,活動実績を持つUMLロボコンをさらに進化させるためのリファインである.コンテストの対象領域は,UMLだけでなく,組み込み技術全体が対象となることを前面に押し出している.モデリングの効能を活かし,組み込みシステムのNTCR要件注2と呼ばれる課題をクリアするスキルを身につける機会を提供する. 注2:Nはtnature(自然法則),Tはtime(リアルタイム制御),Cはconstrain(制約条件),Rはreliability(信頼性). 昨年までは3月,4月に開催していたが,参加者アンケートの結果から,試験や新入社員教育の時期を踏まえて,7月開催に変更した.さらに,11月にチャンピオンシップ大会の開催を企画し,ソフトウェアのブラッシュアップやリベンジの機会を提供することとした.このチャンピオンシップは組み込み総合技術展ET2005の併設イベントとした.衆目を集める環境となったことにより,参加チームにとっては刺激的な機会になることだろう. 経済産業省管轄の社団法人である日本システムハウス協会(JASA)が主催し,産業競争力として重視される組み込み技術に関する人材育成を支援する.これにより,JASAやSESSAME(組込みソフトウェア管理者・技術者育成研究会)などが提供する人材育成に関する施策や,組み込み総合技術展とのコラボレーションを期待できると考えている.
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本コンテストは同じ制約条件下でのソフトウェア勝負であり,厳しい車検が行われる(写真3).チェックをパスした走行体にはシールが張られ,これ以降は電池すら交換できない.
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午後には開会式が開催された.2月の実施説明会や5月のモデリング教育など,数ヵ月におよぶ教育を経て,やっと本番を迎える.参加者だけでなく,運営サイドも緊張の競技が始まるのである.
競技はインコースとアウトコースの2回走行であり,ベスト・タイムで順位がつけられる.チーム紹介のあと,インコースとアウトコースの2台が同時にスタートする.スピード・スケート的なイメージである.
安定した走りで完走するチーム,危なっかしい走りでどうにか完走するチーム,勢いあまって転倒して棄権するチーム,まったく走り出さないチーム,等々.会場は大盛り上がり.しかし,1回目の走行において完走できないチームが非常に多かった(写真4).
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インとアウトを入れかえて行われた2回目の走行では,完走できなかった1回目を踏まえて,堅実な走りを見せるチームが多かった.そんな中,観客のどぎもを抜く走りを見せたのが,今回の競技部門の優勝チーム「加賀百万石」である.最小限に抑えたステアリングと絶妙なコーナリング速度,どれをとってもスムーズで高速だった(写真5).
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表彰式後の夜は,内田洋行 潮見オフィスの食堂にて懇親会が行われた.競技の結果を喜ぶチームもいれば,悔やむチームもいる.しかし,同じ課題に取り組んできたこともあり,懇親会は大いに盛り上がった.このような組織の枠を超えて親交を深められる機会は少ない.このような場で知り合った技術者たちがいつの日か,現場で競争したり,あるいは協調してしごとをしたりする日が来るのであろう.そのようなことを思いながら,このような教育の機会,さらには交流の機会を提供できる喜びを感じた.
ETロボコンの特徴の一つは,走行時間を競い合うお祭り的な教育だけでなく,モデル審査という“くろうと”好みの教育も実施されることにある.競技会はある意味,結果だけのプロダクト品質を問う機会であるとも言える.これは偶然や外乱によって変化してしまう.一方,モデル審査はプロセスとしてきちんと設計されているかを問うことになる.偶然や外乱は影響しない審査である.
2日目は,最初にモデル審査結果の発表と表彰が行われた(写真7).優勝とも言える「エクセレント」を受賞したのはリコーの「あジャイ子2」である.企業として同社がオブジェクト指向の導入に積極的であることも影響したのかもしれない.
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モデル審査の表彰式に続いて,入賞チームによるモデリングの発表会が行われた.会場にいる同じ課題に取り組んできた参加チームにとっては,有意義な時間だっただろう.通常,開発の現場では,同じ課題に対して別のアプローチを行った設計を見る機会はほとんどない.ほかのチームがくふうしたところや表現方法を見聞きすることで,自分のモデルに対する改善策が見つかることもあるだろう.
ET2005で行われるETロボコンチャンピオンシップでは,この7月の経験を反映し,再度課題にチャレンジする機会を提供する.限られた期間ではあるが,リファインされたモデルによって7月を上回る結果を出してほしい.7月の結果を悔やんでいるチームにとっては,絶好のリベンジのチャンスでもある.
2日目の段階で問題となったことは,競技結果とモデル審査結果の間にまったく相関がなかったことである.モデル審査で表彰されたチームは,いずれも前日の競技会で完走できていなかった.午後から行われた審査員によるパネル・ディスカッションでは,各審査員のコメントや,会場からの質問・コメントが続出した(写真8).
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審査委員会が最後のまとめとして整理したのは,モデリングによる思考法や整理術,そして組み込みシステムを実装する上で必要となる技(ワザ)の融合が必要であるとの見解である(図2).
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すばらしい走りで競技部門を優勝した「加賀百万石」は,さらに洗練した走りを見せるだろう.その一方で,7月の競技部門で1位を取れなったチームも「打倒,加賀百万石!」を合いことばに,万全の準備をしてくるものと思われる.
昨年の競技部門優勝の「ムンムン」は7月の競技会で完走なしの結果に終わったが,リベンジの準備を着々と進めているようだ.同チームは10月に行われた「MDDロボットチャレンジ(飛行船ロボコン)」に金沢工業大学との産学連携チームとして出場し,完ぺきな飛行を見せて総合優勝を果たした.さらに,11月3日に行われた「東海大ロボコンフェスタ」(ETロボコンと同じレギュレーション)では完ぺきな走りで優勝している.
「優れたモデルであれば,良い結果がでる」という命題を背負って参加するモデル審査の入賞チームにも期待したい.今回のETロボコンチャンピオンシップでは,競技規約を少々変更している.比較的タイムが出しやすいアウトコースの走行に最適化したチューニングや競技戦略による入賞を防ぐことが目的である.チェック・ポイント通過によるボーナス・タイムなどを導入することにより,1回目と2回目の両方とも均等に結果を出さなくてはならない規約とした.
7月の競技経験とモデリングの勉強を通して,さらに成長した参加チームにまた会える.どれだけ完走率が高まるか,どれだけ走行時間を縮められるか,結果が楽しみである.
チャンピオンシップの結果は,また後日レポートしたい.
| 参考URL | |
| ● | ETソフトウェアデザインロボコンのホームページ |