12月の認証ワークショップに向けて,PCI Express対応IPコアやボードを発表 ―― Intel Developer Forum Fall 2003

組み込みネット編集部

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レポート 2003年10月 6日

 2003年9月16日~18日,米国カリフォルニア州San JoseのMcEnery Convention Centerにて,「Intel Developer Forum(IDF)Fall 2003」が開催された(写真1).携帯機器やディジタル家電,および米国Intel社が策定に携わっている通信規格などについて,基調講演や報道関係者向けの説明会が開かれた.また展示会場では,同社関連企業によるパソコンとその周辺機器,およびPCI ExpressやSerial ATAといった高速インターフェース規格に関連する製品のデモンストレーションが行われた.

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[写真1] McEnery Convention Center
2003年9月16日~18日,米国カリフォルニア州San JoseのMcEnery Convention Centerにて,「Intel Developer Forum(IDF)Fall 2003」が開催された.

●ディジタル家電の普及を目指す

 会場の一角には"Digital Home Lounge"が設けられ,Intel社の組み込み機器向けプロセッサ「XScale」を搭載したディジタル家電などのデモンストレーションが行われていた(写真2).Digital Homeのコンセプトは,パソコンを家電製品と連携させて,家の中のどこにいても映像や音楽などを楽しめる環境である.

 このコンセプトを実現するためには,各機器間の相互接続性を保証する必要がある.2003年6月,Intel社はパソコン・メーカや民生/携帯機器メーカ17社とともに"Digital Home Working Group(DHWG)"を設立した.今後,共同でディジタル・コンテンツの共有や相互接続性のための設計ガイドラインの策定を行い,ディジタル家電の普及を推進していくという.

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[写真2] IDF Fall 2003における"Digital Home"のエリア
ディジタル家電に関するデモンストレーションが行われた.

 DHWGの参加企業の1社である中国のLenovo社は,テレビなどの家電製品とパソコン(またはホーム・サーバ)の間でデータのやり取りを行うための装置"Digital Media Adapter"のデモンストレーションを行った(写真3).会場に設置したホーム・サーバから配信されるビデオ・データを,本アダプタを介してテレビに映していた.本アダプタは,Intel社のプロセッサ「XScale PXA255」を搭載している.

 音楽データとしてはMP3とWindows Media Audio(WMA)に,動画データはMPEG-1/2に,静止画データはJPEG,GIF,TIFFに対応している.次のバージョンでは,DivXの動画圧縮にも対応する予定.

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(a) デモンストレーションのようす


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(b) Lenovo社のDigital Media Adapter

[写真3] 中国Lenovo社の"Digital Media Adapter"
ワイヤレスLANの規格であるIEEE 802.11bに対応してるが,デモンストレーションでは有線で送受信を行った.発売時期は2003年12月ごろ.

 同じくDHWGに参加しているオランダRoyal Philips Electronics社は,オーディオ機器「Streamium MC-i250」のデモンストレーションを行った(写真4).ワイヤレスLANなどを介してインターネットに接続し,音楽データをダウンロードして再生できるほか,外部のパソコンに格納されている音楽ファイルを再生することもできる.なお,本オーディオ機器にはデータ格納機能は備わっていない.ワイヤレスLAN規格としては,IEEE 802.11bに対応している.

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[写真4] Philips社のStreamium MC-i250
デモンストレーションでは有線でデータのやり取りが行われた.今年(2003年)のクリスマス商戦に合わせて売り出される予定.

●12月開催予定のPCI Express認証ワークショップに向けて,各社がデモ

 Intel社は,2004年にサーバやワークステーション向けのメイン・ボードなどのPCI Express対応製品を出荷すると発表した.また,PCI-SIG(PCI Special Interest Group)は,PCI Expressの相互接続性などに関するワークショップを2003年12月15日~17日に開催することを明らかにした.同社以外からも,PCI Expressに対応したIPコアやスイッチ/ブリッジ・ボードなどが出荷される予定.展示会場のPCI Express Communityゾーンでは,約30社の関連企業が製品の展示やデモンストレーションを行っており,来場者の注目を集めていた(写真5)

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[写真5] 展示会場のようすPCI Express Communityゾーンのほか,Serial ATAやInfiniBandなどのゾーンが設けられ,製品の展示やデモンストレーションが行われた.

 NECエレクトロニクスはSerDes,データリンク層/トランザクション層のプロトコル処理回路,エンドポイント・コントローラを1チップに集積したチップを用いてデモンストレーションを行った(写真6).デモンストレーションでは,PCI Expressボードを一つの記憶装置に見立てて,PCI Expressを介してメイン・ボード(下の青いボード,Intel社製)との間でビデオ・データのやり取りを行うというもの.本デモンストレーションにおけるPCI Expressのレーン数は×1(2.5Gbps).

 SerDesからエンドポイント・コントローラまでの回路については,ASICユーザにIPコアとして提供する.ASICユーザはユーザ論理をFPGAなどで実装して,評価を行う.評価を終えた時点で,同社にデータを渡して,ASICを開発する.

 また同社は,PCI ExpressとPCI-Xのブリッジ・チップと,PCI Expressスイッチ・チップを2004年第1四半期に出荷する予定.いずれも,×8までのレーン数に対応している.

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[写真6] NECエレクトロニクスのPCI Express用開発ボード
奥のボードがNECエレクトロニクスのPCI Express用開発ボード.ボードの左下の大きな黒いチップにSerDes,データリンク層/トランザクション層のプロトコル処理回路,エンドポイント・コントローラが実装されている.その上のFPGA(灰色のチップ)はユーザ論理用.手前の小さいボードはグラフィックス処理ボード.

 一方,米国Rambus社は,同社の高速シリアル通信技術「RaSer」を利用したPCI ExpressのPHY(物理層)用IPコア「RaSer PCI Express」のデモンストレーションを行った(写真7).RaSerは1.0Gbps~3.2Gbpsのデータ転送速度に対応しており,PCI Express,InfiniBand,Fibre Channelなどのインターフェース規格に準拠している.本IPコアはハード・マクロとしてASICユーザやASSPを開発する半導体メーカに提供される.

 本IPコアはSerDes,トランスミッタ/レシーバ,クロック・リカバリ,8b/10bエンコーダ/デコーダなどの回路を内蔵している.1レーン(データ転送速度は2.5Gbps)当たりの消費電力は約80mW.

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[写真7] Rambus社のPCI Expressテスト・チップ
チップ自体は×4に対応している.1レーン当たりのアイ・パターンを見ると,きれいにアイが開口していることがわかる.

 また,米国PLX Technology社は,Rambus社からRaSerのライセンスを受けている.PLX社のブースでは,Rambus社のSerDesのテスト・チップを搭載したPCI Expressのスイッチ・カードとPCI-X-PCI Expressブリッジ・カードが展示されていた.また,一つのスイッチ・ボードにブリッジ・ボードを三つ接続し,プロトコル・アナライザを用いて通信パケットをモニタするといったデモンストレーションも行われた.

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(a) PCI-X-PCI Expressブリッジ・ボード

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(b) PCI Expressスイッチ・ボード
[写真8] PLX Technology社のPCI Express対応ボード
いずれのボードもRambus社のSerDesのテスト・チップを搭載している.

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