グレープシステム,地上波ディジタル放送の普及を見込んでミドルウェア製品群を市場に投入

組み込みネット編集部

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インタビュー 2003年5月30日

 近年,インターネットを利用した制御やサービスの提供が求められている.また,DVDやハイビジョン・テレビといった家電製品をパソコンや携帯機器と連携させ,インターネットを介して制御するディジタル家電も話題に上っている.グレープシステムは,こうした市場に焦点を当てたミドルウェア製品群「携帯・家電機器向け制御・サービスソリューション基盤(GR-XCBASE)」を2003年5月に発表した.本製品群の詳細について,同社の企画開発部 統括部長の今敷隆氏らに聞いた(写真1)

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[写真1] グレープシステム 企画開発部 統括部長の今敷隆氏(写真左)と同部サブマネージャの森和彦氏(写真右)
森氏はGR-XCBASEのデモンストレーションを担当した.

――GR-XCBASEの概要を教えてください.

今敷氏 GR-XCBASEは三つの機能をミドルウェアとして提供します(図1)

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[図1] GR-XCBASEの各機能の位置づけ
GR-XCBASEは「GR-XFUNC」,「GR-XCTL」,「GR-XCOM」の三つの機能からなる.

 一つ目は,携帯機器や家電製品の機能拡張および連携の基盤となる「GR-XFUNC」です.WebサイトやUSBモジュールを用いて機能拡張を行えます.WebサイトやUSBモジュールには「拡張機能情報」として,メニューやアイコン,どのように連携を行うかといった制御定義情報をあらかじめ入れておき,各機器にこの情報を独自のプロトコルを用いて送ります(図2)

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[図2] GR-XFUNCの拡張機能登録・拡張メニュー表示機能

 二つ目は,拡張機能の制御定義や制御トランザクション管理を行うための「GR-XCTL」です.ここでは,処理を実行と表示の二つを定義します(写真2).記述はXMLベースです.

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(a) ホーム・ゲートウェイに接続した際,ユーザIDとパスワードを入力する. (b) ビデオ録画を携帯電話から制御するメニュー画面.

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(c) 前回のトランザクションが途中で切れた場合や,ほかのユーザによる操作があった場合,警告画面となる. (d) ユーザによってアイコンの色などを変えることも可能.操作機器がリモコンなどの場合は文字だけを表示することもできる.
[写真2] GR-XCBASEを用いたデモンストレーションのようす
GR-XCTLを用いて処理や表示情報を定義する.また,操作機器からのトランザクションが正常に終了したかどうかや,複数ユーザによる重複操作を防ぐといった管理機能も備えている.

 三つ目の機能は,通信機能を提供する「GR-XCOM」です.GR-XCOMでは独自のプロトコルを定義して,TCP/IPのプロトコル・スタックを取り除き,Web/IP通信の軽量化を図りました(図3).ただし,GR-XFUNCとGR-XCTLは通常のTCP/IPを利用しても問題なく動作します.

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[図3] GR-XCOMCによる家電・携帯機器からインタネットへのIP通信
TCP/IPのプロトコル・スタックを取り除いて軽量実装を実現した.

――ターゲットとなる顧客というのは?

今敷氏 製品名として「携帯・家電機器向け」としているので,もちろんそういったメーカがメインです.しかし,インターネットを介した制御はFA機器でも利用されるでしょう.また,Webサイト運営者の方などもターゲットとして考えています.

――本製品を販売するには,まずインフラ作りが重要になると思うのですが.

今敷氏 現時点では,まずホーム・ゲートウェイが普及していないという問題があります.これから1~2年の間は,例えば,本製品を搭載した家電機器を購入されたエンド・ユーザに対して,パソコンをホーム・ゲートウェイとして利用できるようなソフトウェアを,無償あるいは低価格で提供するなどの対応が考えられます.

 また,なぜ本製品をこの時期にリリースしたかというと,今年(2003年)末に地上波ディジタル放送が開始される予定だからです.これに伴うテレビの買い換え需要をねらって,各家電メーカが新製品の開発を始めます.そのとき,テレビにホーム・ゲートウェイの機能を搭載したり,あるいはセットトップ・ボックスを介してネットワークに接続される可能性があります.このとき,本製品を採用してもらえれば,2年後には普及するのではというねらいがあります.

――ECHONETとは競合の関係になるのでしょうか.

今敷氏 ECHONETはホーム・ゲートウェイで信頼性やセキュリティを保証したり,機器オブジェクトの定義を明確にしているなどの利点があります.その一方で,機器ごとにプロトコルを定義する必要があったり,ホーム・ゲートウェイで機能変換を行っているため,新しい機器への対応が難しいと言えます.本製品の通信部分は基本的にWebベースです.機能拡張やその制御は通信部分の上位(各機器)で行っているため,新しい製品に対しても通信部分を変更する必要はありません.競合するというよりも,そいういった本製品の通信部分の柔軟性をECHONETへ提案したり,あるいはECHONETの機器オブジェクトを本製品で利用するといったアプローチがあると思います.

――コンソーシアムを自社で立ち上げるといったことは?

今敷氏 弊社だけで立ち上げることは考えていません.大手の家電メーカが集まらなければ無理でしょう.このような製品の場合,具体的なアプリケーションを顧客にしっかりと理解してもらう必要があります.今は,家電メーカを一つ一つ回り,各メーカの方の意見をとり入れながら,製品を普及させていくことがたいせつだと考えています.

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