μITRONやARMプロセッサ関連の話題が目白押し ――ET(Embedded Technology)2002

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 半導体

レポート 2002年12月 2日

●USB OTGプロトコル・スタック,年内に発売

 グレープシステムのブースでは,USB2.0の追加規格であるUSB On-The-Go(OTG)に関するデモンストレーションが行われていた(写真9).同社のプロトコル・スタック「GR-USB/OTG」とオランダPhilips Semiconductors社のUSB OTGコントローラ「ISP1362」を利用して,USB OTGシステムを構成した.

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〔写真9〕USB On-The-Goのデモンストレーション
写真右のパソコンがUSB OTGホスト(いわゆる「Aデバイス」),写真左のパソコンが周辺機器の役目を務めるBデバイス.どちらのパソコンからも,データ(この場合は色の情報)を送信できる.

 USB OTGの仕様では,一つのUSB機器がホストとしても周辺機器としても機能する(いわゆるデュアルロール・デバイス).そのため,どのUSB機器がホストになるかを決める必要がある.これは,ホスト交換手順プロトコル(HNP:Host Negotiation Protocol)によって実現する(写真10)

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〔写真10〕Bデバイスの動作
Bデバイスはデフォルトでは周辺機器として動作するが,HNPによってホスト役にもなれる.写真のステータス・ログで「B_HOST」となっているときは,Bデバイスがホストとして,Aデバイスにデータ(色の情報)を送信している.その後,再び周辺機器の役割りを持つ.

 GR-USB/OTGはHNPのほか,バス上でなにもやり取りがない場合にバス電源を切断するプロトコル「SRP(Session Request Protocol)」をサポートしている.リアルタイムOSとしてはμITRON OSに対応している.ISP1362向けのGR-USB/OTGは2002年内に,セイコーエプソン製のUSB OTGコントロール「S1R72005」向けの製品は2003年3月に出荷する予定.

●ミドルウェア製品の評価キットとしてボードを用意

 エーアイコーポレーションは,同社のミドルウェア製品の評価キット「プロトタイプキット」を展示した.今回から,ソフトウェアだけでなく,CPUやメモリ,ハード・ディスクなどを搭載した評価用ボードの提供も始めた(写真11)

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〔写真11〕「プロトタイプキット」として提供可能なハードウェアの一例
「プロトタイプキット リアルタイムBSD」の一例.ダックスのボードに搭載したものを展示した.

 販売を開始するプロトタイプキットは,無線LAN関連,Bluetooth関連,IrDA関連,IPv6/IPSec関連,Webサーバ関連,USB 2.0関連,GUI関連,フラッシュ・メモリ・カード関連,Linux OS関連,μITRON OS関連など,22種類である.将来的には,ラインナップを30種類程度に増やす予定だという.

●移動体端末とサーバを利用する音声認識システムを構築できる

 スピーチワークスジャパンは,組み込み向け音声認識ソフトウェア「Speech2Go」のデモンストレーションを行った(写真12).PDA(携帯情報端末)やOMAP(Open Multimedia Application Platform)対応開発ボードの上で動作させた.OMAPとは,米国Texas Instruments(TI)社が策定した,携帯電話やPDA向けのハードウェア/ソフトウェア・アーキテクチャ仕様である.プロセッサとして,TI社のTMS320C55x DSPコアとARMコアを利用する.

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〔写真12〕音声認識ソフトウェア「Sppech2Go」のデモンストレーション
OMAP対応開発ボードの上で動作させた.

 本音声認識ソフトウェアは,携帯電話などの移動体端末とサーバを組み合わせた音声認識システムの構築に利用できる.例えば,携帯電話側で音声認識処理を行い,処理結果のみをサーバに転送する.また,同社は音声認識ソフトウェアだけでなく,音声合成ソフトウェアや声紋認証ソフトウェアも提供している.

●エプソンがCeleron搭載のカード・サイズPCを展示

 セイコーエプソンは,カード・サイズのPC/AT互換コンピュータ「CARD-PCI/Cel」を展示した(写真13)米国Intel社のCeleronプロセッサ(400MHz/650MHz)を搭載する.メイン・メモリは64Mバイト~512Mバイト.ISAやUSB,PCIなどのインターフェースを備える.2003年5月に出荷を開始する予定.

 同社はこれまで,日立製作所のSH3プロセッサや米国National Semiconductor社のGeode GX1プロセッサなどを搭載したカード・サイズのコンピュータを出荷している.今回のCARD-PCI/Celは,これらの機種の高性能版という位置づけである.また,Geode GX1プロセッサを搭載する機種とコネクタ・インターフェースについて,互換性がある.

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〔写真13〕カード・サイズのPC/AT互換コンピュータ「CARD-PCI/Cel」
セイコーエプソンは,CARD-PCI/CelにWindows XP Embeddedを組み込んで展示した.

●メモリースティック専用プロトコル・アナライザを展示

 横河電機横河ディジタルコンピュータは,メモリースティック専用のプロトコル・アナライザを展示した.メモリースティックとメモリースティック搭載機器の間でやりとりする信号のプロトコルを解析する.解析結果は,ホストとなるパソコン上に表示する.

 展示会場におけるデモンストレーションでは,横河電機のディジタル・オシロスコープや横河ディジタルコンピュータのICE「adviceシリーズ」と組み合わせて動作させた(写真14).信号波形といっしょに解析する場合には,ディジタル・オシロスコープと組み合わせる.一方,ソフトウェアのデバッグを行う場合には,ICEと組み合わせる.

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〔写真14〕メモリースティック専用プロトコル・アナライザ
ディジタル・オシロスコープやICEと組み合わせると,プロトコル解析を行いながら信号波形を確認したり,ソフトウェアのデバッグを行える.

●UML+SystemC設計フローに対応したSOC仕様設計ツールが登場

 キャッツは,UML記述からSystemC記述を生成する仕様設計支援ツール「XModelink(クロスモデリンク) Version 1.0」を展示した(写真15).システムLSIの仕様設計に利用できる.例えばSystemCシミュレータを実行しながら,UMLの各種ダイヤグラム上で仕様の問題点を検証することができる.米国Rational Software社のモデリング・ツール「Rational Rose 2001A」,米国Microsoft社のC++開発環境「Visual C++.net」と組み合わせて利用する.

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〔写真15〕仕様設計支援ツール「XModelink」
UML記述からSystemC記述を生成できる.

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