「世界は,すごいことになっていた」って知っていました? ――『インターネット白書2002』

八谷祥一

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書評 2002年10月 8日

「世界は,すごいことになっていた」って知っていました?

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財団法人インターネット協会 監修
インプレス 刊
ISBN:4-8443-1659-1
A4変型判
272ページ
4,800円(税別)
2002年7月



「2002年.世界は,すごいことになっていた(インプレスのバナー広告より)」

のだそうである.「あーこんなにADSLがはびこってしまったか,こりゃ確かにすごい」という感想を持って読み始めた本書である.もちろん「7年の実績」と帯にも書いてあるわけだから,今さらデータの信用性うんぬんを言うつもりはない.

 まさか「インターネット白書2002」を娯楽のために読む方はいないであろうから(たぶん,プレゼンテーションや企画書のための調査の取っ掛かりや,手っ取り早い補強資料として手に取る方が多いのではないだろうか),この本の実用性について考えてみよう.

 まず,日本のインターネットの現状のスナップ・ショットとしては網羅的にまとまっている(詳しい内容についてはインプレスのサイトにある目次を参考にしていただきたい).ニュースなどで断片的にわかっているこの1年の動向が,各分野の専門家の目で簡単にまとめられているのは参考になる.「とても」簡単ではあるが,自分のよく知らない分野について調査を始める取っ掛かりには十分だと思う(参照URLも示されている).

 また,第1部の「インターネット利用者動向」(今年の調査の分析.209データ)と第5部の「世界」(同じく今年の調査の分析.21データ)については,調査資料データのダウンロード・サービスがある.データについては出所を明記することを条件に,個人のレポートや社内文書への自由な引用が認められているため,かなり便利に使えるはずである.

 ダウンロードできるのは,白書の中に掲載されているグラフや表をGIFファイルにしたものであり,数値データではないので,グラフ化の手間はかからない.GIFファイル中に前記の出所の表記が埋め込まれているので,そのまま使うことができる.

 さらなる実用性を追求するうえで残念なのは,将来予測がほとんどないことであろうか(第5部「世界」の中に若干あるが...).

 もちろん,他人の予測をそのまま使っては企画書の独自性,ひいては企画そのものを疑われてしまうだろうが,第三者の予測というのも参考にはなるものである.インターネットの動向を,3年後や5年後といった長期にわたって予測することは,地獄の鬼をすべて笑い死にさせるくらいのことであって,とても難しいことは承知している.が,銀行や投資家など,インターネットにあまり詳しくない人たちのため,あるいは彼らを説得しようとしている技術屋のための道具として,将来の予測データが欲しかった.


八谷祥一
(株)アプリックス

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