技術知識に裏打ちされた英語力を測定する ――職業分野別英語公開試験「TOPECエンジニアリング」がスタート
2002年4月21日に理工学系のエンジニアを対象とした第1回職業分野別英語公開試験「TOPEC(Tests of Professional English Communication)エンジニアリング」が開催された.試験はlistening(聞き取り),structure&vocabulary(文法・語い),reading(読解),writing(作文)の問題が合計140問出題された.個人の受験者数は300人.これとは別に団体受験も行っており,延べ500人が本試験を受験した. TOPECの主催者である特定非営利活動法人IPEC(Institute for Professional English Communication)の井川道介氏に,TOPECエンジニアリングの目的と意義について聞いた(写真1).
――TOPECエンジニアリングとは何ですか.
井川氏 TOPECとは,自分の専門に関する基礎知識とそれを用いた英語によるコミュニケーション能力を同時に測定する試験です.5年間で八つの分野に関するTOPECを立ち上げる予定です.その一つとして,今年(2002年)4月に理工学系技術者を対象としたTOPECエンジニアリングの試験を実施しました.今後,同ファイナンシャル(金融),同メディカル(医療),同リーガル(法律)などといった公開試験を実施する予定です.
――従来の英語検定試験とどう違うのですか.
井川氏 従来の英語検定試験では,日常生活の中のコミュニケーション能力を測定することが多かったようです.一般に,社会人に求められる要素は,1) ことば,2) 知識,3) 社会への適応力と言われています.しかし,これまでの英語検定試験はことば(英語力)だけを測定するものでした.TOPECはことばと知識の両方を測定します.ここが,大きな違いです.また,成績は5段階で評価します(表1).
レベル
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評価の要約
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1
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職業分野別の英語の聴解力に優れ,文法上の構文を操ることができる.また,文章を読みこなす十分な語い力と読解力がある.基本的な英語文章を叙述でき,口頭での会話もこなすことができる. |
2
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職業分野別の英語を聞いてほとんど理解することができ,文法や構文をある程度操ることができる.ただし,文章を読みこなすには多少時間がかかると思われる.基本的な英語文章の叙述ができ,限られた範囲内での口頭での会話はできる. |
3
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職業分野別の英語の聴解力は許容範囲内にある.ただし,長めの文章や難しい表現は,理解の限界がある.語い力に制約があるため,難しい文章を読みこなすことはできない.英文を書くことや口頭での会話は相当難しいと思われる. |
4
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職業分野別の英語の聴解力,文法,語いに弱く,英語の文章を読むことに時間がかかり,完全には理解できない.英文も書くことも話すことも困難である. |
5
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英語で書いたり話すためには,基礎的な英語の文法や語いを相当時間学習することが必要である. |
――英語力と知識の両方を測定する理由は?
井川氏 海外の企業との商談などで通訳を使用された方はわかると思いますが,通訳のスタッフは英語は流ちょうに話せるのに,専門知識がないために話がかみ合わず,商談が成立しないことがあります.しかし,英語が流ちょうに話せなくても,専門領域に関する知識やテクニカル・ターム(専門用語)を知っている人どうしが直接話したほうが,商談成立の確率は高くなります.ここには,共通の専門知識が存在するからです.
つまり,自分の専門領域のテクニカル・タームやそれを用いた独特の表現方法を知らないのであれば,どんなに流ちょうな英語が話せたとしても,実践では役に立たないということです.
――出題される問題について教えてください.
井川氏 問題は,listening,structure&vocabulary,reading,writingの四つのセクションで構成され,合計140問出題されます.回答時間は2時間です.問題の専門領域のレベルは,高等学校卒業程度の自然科学全般に関する基礎知識です.物理,化学,数学,コンピュータといった分野の問題が出題されます.各専門領域の基盤となる部分の問題です.
試験問題のサンプル(http://www.topec.org/page023.html)と練習問題(http://www.topec.org/sample/smptst.html)はTOPECのホームページで公開されています.
――試験は年に何回行われているのですか.
井川氏 試験は,公開試験と団体受験の2種類があります.公開試験は年に2回開催しています.次の試験は2002年10月6日です.出願期間は2002年8月1日~9月24日.受験料は7,800円です.これとは別に,企業や大学単位で受験者が30名以上の場合,団体受験を随時実施しています(写真3).
参考URL
・TOPECのホームページ
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