リムーバブルHDD規格「iVDR」対応機器の展示が相次ぐ ――DISCON JAPAN/センサ総合展レポート

組み込みネット編集部

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レポート 2002年4月23日

 2002年4月10日~12日,東京ビックサイト(東京都江東区)にて,ディスク・ドライブの製造技術に関する展示会「DISCON JAPAN」,センサ技術に関する展示会「センサ総合展2002」など,5種類の展示会が同時開催された.リムーバブル(着脱可能な)ハード・ディスク・ドライブに関する規格の標準化を進めている「iVDRコンソーシアム」のブースでは,iVDR規格に対応した機器の展示が行われた.このほか,最大80Mサンプル/sの速度で光ディスクのデータを解析できるタイム・インターバル・アナライザが展示された.

●電機メーカ8社が設立したiVDRコンソーシアムが存在を誇示

 キヤノン,三洋電機,シャープ,日本ビクター,パイオニア,フェニックス テクノロジーズ,日立製作所,富士通は,「iVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)ハードディスクドライブ・コンソーシアム(iVDRコンソーシアム,http://www.ivdr.org/)」を2002年3月5日に設立した.DISCON JAPANの会場では,iVDRコンソーシアムに参加している企業がiVDR対応機器の展示やデモンストレーションを行った(写真1)

 「iVDR」は,車載機器やAV(audio visual)機器,ホーム・サーバなどで使用できるリムーバブル・ハード・ディスク・ドライブの規格である.同コンソーシアムでは,ハードウェアやインターフェース,ファイル・システム,コンテンツ保護セキュリティなどの規格を策定する.

 iVDRコンソーシアムの会員には,規格策定に参加できるExecutive会員(年会費50万円)と一般会員(年会費30万円)がある.現在,インターフェース仕様とファイル・システム仕様,2.5インチ型のハード・ディスク・ドライブのハードウェア仕様が策定済みである.会員になると,iVDR規格の仕様書を入手できる.今後,ロゴ認証やライセンスの方式を決定する.また,1.8インチ型ハード・ディスク・ドライブのハードウェア仕様や2.5インチ型ハード・ディスクとの互換性テスト,コンテンツ保護セキュリティの仕様について検討していくという.

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シャープのiVDRビデオ再生機

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複数のiVDRハード・ディスク・ドライブを接続できる三洋電機のiVDRマルチユニット

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単一のiVDRハード・ディスク・ドライブを接続するミツミ電機のiVDRソケット・ユニット

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三洋電機のiVDRビデオ再生機

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日立製作所のiVDR対応ハード・ディスクを内蔵したパソコン
[写真1] iVDRハード・ディスク対応機器

●80Mサンプル/sと高速な光ディスクのデータ解析装置

 横河電機は,最大80Mサンプル/sの速度で光ディスクのデータを解析できるタイム・インターバル・アナライザ「TA720」をDISCON JAPANの会場で展示した(写真2).本計測器は,データ周期とデータ・クロックの時間差を2チャネル分,同時に測定できる.また,パルス幅の両極性のヒストグラム(データをいくつかの範囲に分け,その分布をグラフ化したもの)と統計値を同時に表示できる.主に光ディスクのジッタ解析に用いられる.

 測定モードには,タイム・スタンプ・モード(T.S.モード)とハードウェア・ヒストグラムモード(H.H.モード)がある.T.S.モードでは,測定値と測定開始からの経過時間を内部メモリに保存し,全測定データからジッタや測定の平均値などを計算する.符号間の干渉解析にはT.S.モードが用いられる.一方,H.H.モードでは,測定値の個数(ヒストグラムの分布の度数)のみをメモリに保存する.測定値や時間の情報は持たない.ジッタ解析にはH.H.モードが用いられる.

 分解能は25ps,内部ジッタは100ps(実効値)である.電源電圧は100V~240V.インターフェースはGP-IB(general purpose interface bus)に対応する.プリンタと3.5インチ・ハード・ディスク・ドライブを備えている.外形寸法は426mm×177mm×300mm.符号間の干渉解析を行う際にはオプション・ソフトウェアが必要となる.これとは別にEthernetやPCカードのインターフェースを用意している.出荷開始時期は2002年6月の予定.価格は300万~350万円.

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[写真2]横河電機の 光ディスク・アナライザ

●赤外線を熱に変換して測定するセンサ

 ジクシスは,センサ総合展の会場にて,パソコンで赤外線の2次元分布画像を表示するデモンストレーションを行った(写真3).入射した赤外線を熱に変換して測定するセンサ「Infra-RedSensor」を利用している.この赤外線センサは三洋電機から調達した(写真4の左).ジクシスは三洋電機の関連会社で,セキュリティ機器などの開発を行う会社である.2002年4月1日に設立された.

 今回のデモンストレーションでは,上述のセンサを組み込んだカメラ(写真4の右)と遠赤外線カメラ・システムの評価ボードを用いて,赤外線の2次元分布画像をパソコンに表示した.本センサは,入射した赤外線を赤外線吸収膜で熱に変換する.この熱を微小な熱電対の起電力によって電圧値に変換する.電圧値はA-Dコンバータによってディジタル値に変換され,評価ボードのマイコンによって白黒の階調(白黒の濃さ)処理が行なわれる.処理データは,RS-232-Cを用いてパソコンに転送される.このほか,評価用ボードはUSB1.1のポートも備えている.検出範囲は5m.応答速度は25msである.表示画素数は1,536画素,白黒の階調をもとにカラー表示も行える.試作機では,10,800画素の表示が行えたという.

 本センサの素子は,メタルCANパッケージに封止されている.パッケージの中は真空に保たれている.このため,外部に熱が逃げず,熱エネルギを効率よく電圧値に変換できる.三洋電機は,本センサを2003年第1四半期に製品化する予定.価格は5千~1万円になるもよう.

 ジクシスは,三洋電機が本センサの量産を開始した半年後をめどに,本センサを用いたシステムの受注を行う予定.ただし,顧客の要望があれば,本センサの量産前であってもシステムの共同開発を行うことを検討するという.

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[写真3] 赤外線センサを用いたジクシスのデモンストレーション

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[写真4] 赤外線センサ(左)と赤外線センサを組み込んだカメラ(右)

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