USB On-The-Goに準拠したミニコネクタが早くも登場 ――MITSUMI SHOW 2002

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 実装

レポート 2002年2月15日

 2002年2月14日~15日,ホテルセンチュリーハイアット(東京都新宿区)において,ミツミ電機のプライベート・ショーである「MITSUMI SHOW 2002」が開催された.半導体,電子部品,RFデバイス,電源,ホーム・ネットワーク,周辺機器,アミューズメント,精密加工の8分野の展示が行われた.USBの新規格である「On-The-Go」に準拠したコネクタや,環境対応のリチウム・イオン電池保護用モジュールなどが来場者の注目を集めた.

●USB On-The-Goに準拠したコネクタを展示

 今回のショーでは,USB On-The-Go(OTG)に準拠したコネクタが展示された.OTGは,USB2.0規格を補完する形で2001年12月に公開された新規格である.従来のUSBと異なり,一つの機器がホストと周辺機器の両方の役割を果たせる規格である.これによりホスト(パソコン)を介さず,機器間で直接データをやり取りできるようになる.

 OTGで新しく定義されたコネクタは,Mini-ABレセプタクルとMini-Aプラグ/レセプタクルである.従来のコネクタに比べ小型になっている.同社では,Mini-Bプラグ「IAM-E45」とMini-Bレセプタクル「CAM-E42/E47/E48」は2000年末から量産している(写真1,2).Mini-Aプラグ「IAM-E44」とMini-Aレセプタクル「CAM-E41/G53/G54」については,2002年4月から量産を開始する予定.Mini-ABレセプタクル「CAM-E43/G55/G56」を出荷するには,OTGのロゴ認証が必要となる.USB-IF(USB Implementers Forum)はOTGのロゴ認証を2002年第2四半期に開始する予定であるため,Mini-ABレセプタクルの量産開始はそれ以降になるという.

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[写真1]Mini-Aプラグ(左)とMini-Bプラグ(右)

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[写真2]Mini-Aレセプタクル(左:中のプラスチック部分が白),Mini-Bレセプタクル(中央:同部分が黒)
Mini-ABレセプタクル(右:同部分が灰色)

●電池モジュールは鉛フリー,ハロゲン・フリーへ

 同社は,鉛フリー,ハロゲン・フリーに対応したCOB(chip on board;プリント基板上にベア・チップを実装する方式)のリチウム・イオン電池保護用モジュール「MM5775XA」を展示した(写真3).MM5775XAは,小型携帯機器のバッテリとして使用されるリチウム・イオン電池の過充電,過放電,および過電流を検知する1セル直列接続用モジュールである.

 従来のCOBのモジュールは,部品を実装する際のはんだには鉛が含まれていなかったが,抵抗やコンデンサの電極部分に鉛が含まれていた.さらに難燃剤中に含まれていたハロゲンを除去したハロゲン・フリーの基板を採用した.

 本モジュールの検出電圧誤差は,0~50℃の範囲で±30mV.外形寸法は2.8mm×16.7mm×1.5mmである.2002年前半に量産出荷を開始する.

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[写真3]MM5775XA

●待機電力10mW以下のACアダプタ2次側制御ICを展示

 さらに電源関連では,待機電力10mW以下のACアダプタの2次側制御用IC「MM1529」も展示した.本ICには,待機電力を削減するため,1次側スイッチングを停止する回路を追加してある.これにより,スイッチングを停止して省電力モードに移行できる.このほか,負荷検出抵抗とフォトカプラを追加した.同社の従来製品と比べて,待機電力を1/40にできたという.

 通常の消費電流は1.7mA,省電力モードの消費電流は60μAである.また,定電圧制御部の電圧は1.25V±0.025V,定電流制御部の電圧は114.4mV±3.2mVである.省電力モード時の検出電圧は115mV±18mV.パッケージは8ピンSOP(small outline package)である.

 これとは別に,今回のショーでは6ピンSOPの製品「MM1548」も参考出展されていた.MM1529に二つ内蔵されているフォトカプラを一つにまとめた.また,新たに電流検出回路を内蔵している.これらのくふうにより小型を実現した.製品化は2002年内の予定である.

●携帯機器向けBluetoothモジュールに人だかり

 Bluetooth関連では,小型Bluetoothモジュール「WML-C11」と「WML-C09」を展示した(写真4).WML-C11はBluetooth Class1(通信距離100m)に,WML-C09はClass2(通信距離10m)にそれぞれ対応している.WML-C11の外形寸法は,13.2mm×24.8mm×2.05mm(アンテナ付き)と13.2mm×18.8mm×2.05mm(アンテナなし)の2種類.WML-C09の外形寸法は,11.8mm×12.6mm×1.9mmである.両製品ともUARTやUSB,PCMCIAインターフェースを備えている.本モジュールは2002年6月以降に量産を開始する予定である.

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[写真4]Bluetoothモジュール「WML-C11(左:アンテナなし,中央:アンテナ付き)」と「WML-C09」

 このほか今回のショーでは,Class1に対応したBluetooth-USBアダプタ「WIF-0403C」の試作品が展示されていた(写真5).この試作品には同社のClass1対応のBluetoothモジュール「WML-C07(外形寸法は15mm×32mm×2.55mm)」が使用されているが,製品として出荷する際にはWML-C11を搭載し,同社のClass2用Bluetooth-USBアダプタ「WIF-0402C」と同等の大きさにするという.WIF-0403Cは2002年中に発売する予定である.

 今後はモジュールの小型化を進め,外形寸法5.5mm×5.5mm×1.9mmのClass2対応RFモジュールや,同8.5mm×8.5mm×1.9mmのClass2対応HCIモジュールを出荷(2003年以降)していく予定である.

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[写真5]Bluetooth-USBアダプタ「WIF-0430C(左)」と「WIF-0402C(右)」

●視感度補正フィルタを内蔵した光センサICを展示

 今回のショーでは参考出展として,視感度を補正するフィルタを内蔵した光センサIC「MM1616」が公開された(写真6).携帯電話やPDAなどの表示バックライトの調光用光センサとして利用できる.

 本センサは,視感度を補正するフィルタを内蔵しており,紫外線の成分を取り除くことができる.これにより,光源の種類に関係なく表示バックライトの光を自動調節できる.一般にフォトダイオードは同じ強さの光であっても,紫外線を含む光に対してより感度が高い.このため,太陽光のもとでは,正しく表示バックライトの調節が行えないことがあった.

 本ICの消費電力は1μA,電源電圧は2.8V~5.0Vである.また,外形寸法は2.4mm×3.2mm×1.0mm.発売は2002年9月の予定.

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[写真6] 視感度を補正するフィルタを内蔵した光センサIC「MM1616」

●自動引き込み/排出のできるメモリカード・ユニットを参考出展

 今回のショーでは,モータ駆動で自動引き込み/排出のできるフラッシュ・メモリカード・ユニットが参考出展された(写真7).本ユニットは,コンピュータ機器やオーディオ機器などに組み込んで使われる.製品化の時期は未定である.

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[写真7] モータ駆動で自動引き込み/排出できるフラッシュ・メモリ・カード・ユニット

 これとは別に,メモリースティック/SDメモリーカード共用のスロット・モジュール「CIM-G26」も参考出展されていた(写真8).カード挿入部の手前側にSDメモリーカードの接点を,奥側にメモリースティックの接点を設けている.製品化の時期は2002年9月~10月の予定である.

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[写真8] メモリースティック/SDメモリーカード共用スロット・モジュール「CIM-G26」

ミツミ電機のホームページ
http://www.mitsumi.co.jp/

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