有機ELディスプレイに人だかり,ハイビジョン放送を録画できる光ディスク装置も登場 ――CEATEC JAPAN 2001

組み込みネット編集部

tag: 組み込み 半導体 実装

レポート 2001年10月15日

 2001年10月2日~6日,幕張メッセ(千葉県千葉市)にて,情報,通信,エレクトロニクス分野の展示会である「CEATEC JAPAN 2001」が開催された.今年の出展企業および団体の数は833,来場者数は158,830人だった.

 今年は,BSディジタル放送や携帯電話,パソコン関連機器,家電などを扱った「Home &Personal」,企業向けのネットワーク関連機器などを扱った「Business Solution」,ブロードバンドに向けた機器などを扱った「Network Society」,電子デバイス,産業用機器などを扱った「Industry」の4ステージに分かれて展示が行われた.BSディジタル放送の視聴コーナや,携帯電話,パソコン関連機器などに多くの来場者が集まった.

●有機ELディスプレイと青紫色半導体レーザを用いた記憶装置

 今回のCEATECでは,ソニーが13インチの有機ELディスプレイを展示した.2003年ごろに製品化する予定である(写真1).まずはテレビやパソコンのディスプレイとして製品化していくという.

 本ディスプレイの輝度は300cd/m2.テレビとほぼ同じ明るさである.駆動方法は,低温ポリシリコンを用いたTFTアクティブ・マトリクス方式を用いている.色温度(ホワイト)は9300K.画面サイズが13.0インチ(264mm×198mm)のものと,10.2インチ(225.5mm×125.3mm)のものの二つを展示した.13.0インチ品の画素数は800×600で,画素の大きさは0.33mm角.10.2インチ品の画素数は864×480で,画素の大きさは0.261mm角である.

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[写真1]ソニーが展示した有機ELディスプレイ(13.0インチ品)
消費電力は液晶ディスプレイとほぼ同じだという.本展示会の中で,もっとも注目を集めていたものの一つ.

 また,同社は,波長405nmの青紫色半導体レーザを使用した光ディスク・レコーダ「DVR-Blue」を展示した(写真2).約2時間のディジタル・ハイビジョン番組も1枚のディスクに録画できる.本ディスク・レコーダも2003年ごろに発売する予定だという.光ディスクの記憶容量は,片面1層が約23Gバイト.レンズの開口数は0.85,重量は65mg.有効径は3.0mm,動作距離は150μmである.

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[写真2]ソニーが展示したDVR-Blue
データを読み書きするのに青紫色半導体レーザを用いている.

●CCDカメラ搭載のMPEG-4携帯電話

 三洋電機は,11万画素のCCD カメラを2個搭載した携帯電話を展示した(写真3).動画像データはMPEG-4方式で圧縮する.CCDカメラは,ディスプレイ側とディスプレイ側面に付いている.

 本携帯電話は,26万色,2.2インチの有機ELディスプレイを採用している.電圧をかけると自ら発光する有機ELを使用しているため,バックライトが不要になり,表示パネルが軽く,かつ薄くなる.そのため,ディスプレイ自体を上下にスライドできるコンパクトな筺体を実現できた.また,一般に,液晶に比べて有機ELディスプレイは応答速度が速い.

 実際に操作してみたところ,カメラを二つ搭載しているため,一個のカメラを回転させて使うタイプと比べると,撮影方向の切り替え操作がスムーズだった.また,スライド式のディスプレイを採用しているため,折りたたみ式よりもコンパクトにまとまっているという印象を受けた.ただし,試作機だったこともあってか,操作途中でフリーズすることがまれにあった.

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[写真3] 三洋電機が展示したカメラ付き携帯電話(左:表側,右:裏側)
有機ELディスプレイを採用している.また,ディスプレイ部分が上下にスライドする機構になっている.

●USB On-The-Goに準拠したデバイス・コントローラ

 今回のCEATECでは,USB On-The-Go関連の製品に関する情報が公開された.On-The-Goは,USB規格の新しい仕様である.従来のUSBでは,パソコンがつねにホストであり,そのほかの機器はスレーブとしてのみ扱われている.On-The-Goでは,各機器がホストとしてもスレーブとしても機能する.これにより機器同士の直接接続が可能となる.

 セイコーエプソンは,USB On-The-Goに準拠したデバイス・コントローラ「S1R72005」を展示した.サンプル出荷を2002年第1四半期に予定している.このチップは,USB On-The-Goに必要なマスタ,スレーブ両方の機能を備えている.転送速度は12Mbpsである.

 また,同社は,IEEE1394-1995,P1394a Draft2.1に準拠したリンク/トランザクション・コントローラ「S1R72803F00A」と,IEEE1394-1995および1994a-2000に準拠した物理層IC「S1R72900F00A」のデモンストレーションも行った.2001年12月から量産する予定.両製品を組み合わせると,400M/200M/100Mbpsの転送速度を持つIEEE1394転送システムを実現できる.さらに2002年第1四半期には,UDMA100リンク層処理の機能と物理層処理の機能を1チップに集積した400Mbpsの転送速度に対応するLSI「S1R72901」のサンプル出荷を予定している.

●バラのチップ部品を実装できるバルク実装機

 バルク実装という実装方法がある.これは,テーピング・リール品のチップ部品を使わずに,バルク・ケースに入った極性のないバラのチップ部品をバルク・フィーダに装着し,通常の実装機を用いて実装する方法である.

 今年のCEATECでは,太陽誘電がバルク・フィーダの新製品を展示した(写真4).この製品は,チップ吸着部の工夫により,テーピング・リール品の実装のときの部品飛びがまったく発生しないという.また,チップの吸着部において,金属部品を突き当てて位置決めして実装を行っているため,テーピング・リール品に比べて高密度実装に適している.バラで部品を必要な数だけ購入できるので,開発コストの削減につながるという.

 供給方式をホッパー方式からDD(dual disc)供給方式にすることにより,1分間の最大部品供給数を従来の約600個から約860個に改善した.また,黒色化対策のために,部品かくはんを低減している.搬送方式は,ベルト方式からエア方式(エア・シリンダ内蔵エア搬送方式)にすることにより,1分間の最大搬送数を従来の約600個から約1000個以上に改善した.対応するチップ部品のサイズは,0603のチップ・コンデンサと1005,1608,1608のチップ抵抗,チップ・コンデンサである.1個のバルク・ケースにテーピング・リール品の2~5倍の部品を収納できる.

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[写真4] 太陽誘電が展示したバルク実装機
テーピング・リール品でなくても機械で実装できる.

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