三洋電機，ノイズ・キャンセル機能を備えたイヤホン・マイク用信号処理LSIを発売

　三洋電機は，ノイズ・キャンセル機能を備えたイヤホン・マイク用信号処理LSI「LC70701LG」を発売した．イヤホン・マイク用LSIは，発声時に鼓膜から生じる音声をアナログ信号からディジタル信号に変換し，DSP（Digital Signal Processing）を使用してエコー・キャンセルなどの処理を行った後，再度アナログ信号に戻して音声を出力する．本LSIは，騒音の大きい場所で使われる業務用通信機器のほか，民生用機器などでも利用できるという．

　従来，ノイズ・キャンセル用のLSIを別に用意する必要があったが，今回のLSIではこの機能を内部に取り込んだ．2チップで実現する場合と比べて，基板上の面積を82％削減できる．0.15μmプロセスの採用と回路の低消費電力化により，消費電流も70mAから18mAへと削減できた．また，A-D/D-Aコンバータやマイク・アンプの改善により，SN比を約10dB改善した．内蔵するDSPのビット幅は16ビット．1枚の振動板で音声の取り込みやエコー・キャンセルを行えるSTFD（Single Transducer Full Duplex）方式の信号処理やフィルタ処理，ノイズ・キャンセル処理を実行する．

　周辺機能として，4線式のCPUインターフェース（スレーブ），4線式のシリアルPCMインターフェース（マスタ/スレーブ，2系統），I2S，16ポートのGPIOなどを備える．ロング・フレーム同期とショート・フレーム同期（Fs＝8kHz，16kHz）に対応する．また，Δ-Σ方式の16ビットA-Dコンバータ（8kHz，16kHz）とΔ-Σ方式の16ビットD-Aコンバータ（8kHz，16kHz），マイク・アンプを備える．動作電圧は，I/O部が1.8V （1.7V～3.6V），アナログ部が2.8V（2.7V～3.6V），ロジック部が1.1V±10％の3電源．外形寸法は6.0mm×6.0mm×0.8mm．

　2009年3月中にサンプル出荷を開始する．

[写真1] LC70701LGの外観