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Texas Instruments,電磁放射ノイズ・レベルを抑えた携帯機器向けD級アンプを発売
ニュース 2006年9月26日
米国Texas Instruments社は,電磁放射ノイズ(EMI:electro magnetic interference)を抑えた携帯機器向けD級アンプIC「TPA203xD1」を発売した.アンプICから放射されるEMIは,端末の受信感度に影響を与える.本アンプICは,例えば地上デジタル放送の携帯型機器・移動体向けサービス(いわゆるワンセグ)で使用する周波数帯(470MHz~770MHz)におけるEMI放射レベルを,従来と比べて6dB~12dB抑えた(スピーカ負荷8Ω,配線長2.5cm,1kHz信号入力,500mW出力時).ワンセグ受信携帯端末や携帯型メディア・プレーヤ,携帯型ゲーム機などにおける需要を見込んでいる.
EMIを抑えるための設計上のくふうは大きく次の二つ.一つは,出力のPWM(パルス幅変調)のスルー・レート制限である.つまり,PWMのパルスの立ち上がりにおけるオーバシュートやリンギングを抑え,かつ効率を落とさないようにFETのゲート駆動回路を最適化した.もう一つは,パッケージのインダクタンス成分を低減するため,シリコン・チップとはんだボールの接続配線部(再配線層)を取り除いた.このようにしてアンプICとしてEMIの放射を抑えたことで,従来必要だったフェライト・ビーズなどのノイズ対策部品を削減できるという.外付け部品として必要となるのは,電源のバイパス・コンデンサ(パスコン)のみ.
また,4Ωの入力抵抗を内蔵して音質を改善した.本アンプICのPSRR(電源リプル除去比)は73dB(217Hz,代表値),SMRR(同相信号除去比)を69dB(代表値),ノイズ・フロアは27μV(実効値).パッケージは,外形寸法が1.5mm角のWCSP(wafer level chip scale package).電力効率は88%(400mW出力,負荷8Ω時).
すでに量産出荷を開始している.電圧利得の異なる「TPA2032D1」(6dB),「TPA2033D1」(9.5dB),「TPA2034D1」(12dB)の3品種を用意する.
[写真1] EMI低減に関する発表資料
[写真2] TPA203xD1の評価ボード
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