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TOPPERSプロジェクトがボランティア活動から業界団体へ移行

 企業10社や名古屋大学などは,オープン・ソース版ITRONの開発および普及推進を目的とする業界団体「TOPPERSプロジェクト」を旗揚げした.無償のITRON仕様OSの開発やその周辺環境の整備などを行う.TOPPERSとは,Toyohashi Open Platform for Embedded and Real-Time Systemsの略.これまでは豊橋技術科学大学 組み込みリアルタイムシステム研究室を中心に,手弁当のボランティア団体としてOSを開発していた.今後は会費を集め,正式な業界団体として活動することになった.

 同プロジェクトはNPO法人として活動する予定(すでに申請済み,2003年8月ごろ認可される予定).会員の募集を開始している.すでに,アドバンスドデータコントロールズ,エーアイコーポレーション,ソフィアシステムズ,デンソークリエイト,東陽テクニカ,名古屋大学/豊橋技術科学大学 組込みリアルタイムシステム研究室,日立システムアンドサービス,富士通デバイス,宮城県産業技術総合センター,もなみソフトウェア,リコー,ルネサス テクノロジが参加を表明している.

 TOPPERSプロジェクトでは,だれでも自由に使える無償のITRON仕様OSを開発する.開発したOSをオープン・ソースとすることにより,開発環境やツール,ソフトウェア部品を提供する企業が増え,業界標準のITRON仕様OSとして普及することをねらっている.

 現在,同プロジェクトが開発したOSとして,μITRON 4.0仕様のスタンダード・プロファイルに準拠したOS「TOPPERS/JSPカーネル」,メモリ保護機能を含むμITRON 4.0/PX仕様に準拠したOS「TOPPERS/IIMPカーネル」,ITRON仕様としては定義されていないダイナミック・ローディング機能を追加した「TOPPERS/IDLカーネル」がある.そのほか,これらのOSに対応する開発環境の整備やTCP/IPプロトコル・スタックなどのソフトウェア部品の開発を進めている.

 ライセンス方式については,使用したことを報告するだけでよい「レポートウェア」とする.さらに,GNUのソフトウェアとリンクして使えるように,GPL(General Public License)をライセンス方式として選ぶこともできる.また,開発したOSが他社の著作権などを侵害することを防ぐため,TOPPERSプロジェクトの会員のみで開発を行う.開発にあたっては,会員に著作権の侵害のない開発を義務づける.

 同プロジェクトの会員は,開発中のソース・コードや企画中の情報を参照できる.開発するOSはオープン・ソースだが,OSの派生成果物として各会員が開発したものは自由に販売できる.このようなメリットを会員に与える代わりに,会員にはOS開発などの活動への貢献を求める.

 2年後にはITRONを採用する新規プロジェクトの50%を,4年後には80%を,同プロジェクトのOSに置き換えることを目標とする.現時点で独自開発のITRONを開発している半導体メーカや機器メーカに対して,同プロジェクトのOSに移行するように働きかける.また,海外展開の足がかりとして,中国などのアジア地域での普及を目ざす.


[写真1] 発表を行う同プロジェクト 会長で名古屋大学 教授の高田広章氏


[写真2] 今後の開発計画

■連絡先
「TOPPERSプロジェクト」事務局(トロン協会内)
TEL: 03-3454-3191
E-mail: ohashi@assoc.tron.org
URL: http://www.toppers.jp/

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