プロセッサ最新テクノロジ2015 シリーズ2

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2015年8月12日

センサ, パワー・マネジメント, ワイヤレスなど総合電子部品メーカのノウハウが組み込み開発を一括サポート

Freedom開発ボードとセンサ・フュージョンで開くセンサ活用の新時代

  フリースケール・セミコンダクタでは,もっと手軽に,自由にマイコン開発を体験してほしいという願いをこめて, 2012年からFreedom開発ボードをシリーズ化している.角を丸くした独特なデザインが目を引き,各種のKinetisマイクロコントローラをサポート,20米ドル未満から入手可能な低コスト,クレジット・カード・サイズの小型フォーム・ファクタ,Arduinoシールドと互換の拡張ピン,OpenSDAによるシリアル・デバッグ環境の提供などスペック的にも申し分ない. だが,Freedom開発ボードのすごさは,実は独自の超高機能オプション・ボードと,豊富なサポート・ツールにある.今回は,Freedom開発ボードとセンサ・フュージョンによる新時代のセンサ活用についてフリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社の岡田 耕太郎氏にお話を伺った.

  

センサ向けFreedom開発プラットフォーム
FRDM-FXS-MULT2-B


 
アナログ&センサ製品本部
本部長 岡田 耕太郎 氏

 

 

Freedom開発ボードでらくらくセンサ活用

 低コストのARM開発ボードは世の中にたくさんあるが,Freedom開発ボードには他社にない大きな特徴がある.それは,フリースケール・セミコンダクタ(以下フリースケール)のもつ高性能のセンサ&アナログ・デバイスを簡単に活用できることだ.
 フリースケールは制御用のマイクロコントローラからサーバ/ワークステーョン向けのハイエンド・プロセッサまで全分野をカバーする半導体メーカの老舗だが,センサ&アナログに関しても長い歴史と豊富な実績をもつ.中でも,加速度/ジャイロ・センサや圧力センサなどモーション系のセンサは,エアバッグなどの車載機器に古くから採用され,またノート・パソコンの落下検知,ゲーム機のコントローラ,デジタル・スチル・カメラの傾き検知や手ぶれ補正,万歩計のようなウェアラブル/ヘルスケア機器など,インダストリからコンシューマまで幅広い分野で使われている.
 Freedom開発ボードは,フリースケールの高性能センサを搭載したオプション・ボードを用意するとともに、それらを簡単に活用するためのしくみをたくさん提供している.


 たとえば,最も手軽で安価なセンサ・ボードとしてFRDM-STBC-AGM01がある(写真1)
これは,3軸加速度+3軸磁気センサ(FXOS8700CQ),3軸ジャイロ・センサ(FXAS21002C)の2個のセンサ・チップを搭載したオレンジ色の小型9軸慣性センサ・ボードだ.フリースケールでは,もともとデモ用のボードとして開発したというが,これをKinetis K64FKinetis K22FのFreedom開発ボードと組み合わせて,センサからのデータの取り込みや,それを用いたデモを簡単に実行できる.

 ソフトウェアのサポートとしては,マイクロコントローラ用CodeWarrior(Eclipse IDE)やKinetis Design Studioをはじめとする豊富な開発環境,誰でも簡単にセンサを利用できるISF(Intelligent Sensing Framework)電子コンパス・ソフト(E-Compass Software)が提供される.さらに,姿勢角推定用などのセンサ・フュージョン・ソフトも利用できる.これはさまざまなセンサを融合(フュージョン)させて,個々のセンサでは不可能だった機能が実現できる.

 


写真1 小型9軸慣性センサ・ボード
FRDM-STBC-AGM01(参考価格:1,617円より)

 


 最新の開発向けセンサ・ボードとしてFRDM-FXS-MULT2-Bがある(写真2)
 これは,3軸加速度+3軸磁気センサ,3軸ジャイロ・センサ,2個の3軸加速度センサ,3軸磁気センサによる12軸センサ・フュージョン,圧力センサ.Bluetoothモジュールを搭載した超高機能のオプション・ボードだ.さらにモーション・センシング・プラットフォームは,センサとマイコンを統合するデバイスで,アクティビティ,歩数,歩行速度,歩行距離,消費カロリーを計算する歩数計ソフトが入っている.
  実際にセンサを利用するには,個々のセンサの設定・データ処理から複数のセンサを組み合わせた,より高度なデータ処理まで,複雑なプログラミングを必要と する.たとえば,一般的な3軸加速度センサで姿勢検出するには,3軸のセンサ出力値を読み込み,個別に加速度を算出してから姿勢を求める.フリースケール では,このような処理をCodeWarriorベースのKinetisマイクロコントローラ向けフリースケール・センサ・フュージョン・ライブラリでフルにサポートする.ソースコードも開示しているので,開発の負担は大幅に軽減される.
 また,Android対応アプリであるフリースケール・センサ・フュージョン・ツールボックスを用いれば,Freedom開発ボードとAndroidスマートフォンを連携したアプリケーションを簡単に開発できる.もちろん,ISFにも対応している.

 



写真2 フリースケール・センサ向けFreedom開発プラットフォーム
FRDM-FXS-MULT2-B(参考価格:13,393円)3軸磁気センサ(MAG3110)
3軸加速度センサ(MMA8652FC
圧力センサ(MPL3115A2
3軸ジャイロ・センサ(FXAS21002C
3軸加速度+3軸磁気センサ(FXOS8700CQ
3軸加速度センサ(FXLS8471Q
モーション・センシング・プラットフォーム(MMA9553L

 

誰でも簡単にセンサを利用できるツール ISF
(Intelligent Sensing Framework)


 最近のスマートフォン,携帯電話,デジタル・カメラなどモバイル機器は多数のセンサを内蔵しており,それを利用してさまざまな便利なアプリケーションが使われている.その点では,センサはきわめて身近な存在となったが,センサ・デバイスを直接マイコンにつないで自分でプログラミングしようとすると,困難な問題がたくさんあることに気付く.
 たとえば,回路設計・実装から自分で行うには,使いたいセンサ・デバイスのデータシートで電気的特性やI/Oプロトコルを調べて,適切なマイコン・ポートに割り付け,配線しなければならない.FRDM-FXS-MULT2-Bのようにセンサが実装された開発ボードなら,まずこの問題を回避できる.だが,センサのレジスタ構成やデータのリフレッシュ・レート,読み込みのタイミングなどは自分で決めなければならないし,読み込んだ生データを適切に処理しないと加速度など所望のデータは得られない.
 これらの処理をすべて自動化して,困難な問題を解決してくれるツールがフリースケールのISFだ.ISFの統合環境で,使用したいセンサを選び,いくつかの項目を選択するだけで,センサからのデータの読み込みやデータ処理に必要な情報が自動的に集められる.Processor Expertテクノロジを利用したISF 2.1では,その情報に従って,必要なソースコードを自動生成してくれるので,開発者はより上位のアルゴリズムやアプリケーションの開発に専念でき,センサ・データを簡単に利用することができる(図1)
 さらに,ISFには取り込んだデータを可視化してグラフィックに表示(図2)する機能もあり,センサ開発の強力なツールとしてとても役立つだろう.
 ぜひ,フリースケールのFreedom開発ボードを活用して,さまざまなセンサを自由に活用してもらいたい.

 

図1 ISFの統合環境画面の例


図2 ISFによる加速度グラフ表示の例


 ------------ 第2話 終了 ------------

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インターフェース誌 巻頭企画プロセッサ・メーカにテクノロジ・シリーズの
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この記事に関するお問い合わせ先


 

フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社 http://www.freescale.com/ja/
〒153-0064 東京都目黒区下目黒1丁目8-1 Tel:03-5434-1411


 

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