端末競争はほぼ収束,ディジタル化ソリューションも淘汰の時代へ ―― 第17回 国際電子出版EXPO(eBooks)

磯野 康孝

tag: 組み込み

レポート 2013年8月 9日

●印刷された商品画像に基づいてWebページへのリンクを表示

 コトブキ企画は,印刷物にスマホやタブレットをかざすだけで,Web上のコンテンツへユーザを誘導できる画像認識サービス「スピードウェブ」を展示した(写真4).本サービスは,ユーザがスマホやタブレットで専用アプリを起動し,特定の画像(印刷された写真など.マーカ画像と呼ぶ)にかざすことで,動画や画像,地図情報,詳細情報などのWebページへのリンクを表示し,ユーザを関連コンテンツに誘導するサービスだ(写真5).

 

写真4 専用アプリを起動したスマホを印刷物(マーカ画像)にかざす

 

写真5 画像に関連付けられているコンテンツ情報が表示される

 

 本サービスは,専用アプリとマーカ画像を管理するCMS(Content Management System)で構成される.あらかじめCMSに登録されている画像と,スマホなどのアプリを通して撮影されたマーカ画像が同一だと認識されれば,そこに関連付けられたコンテンツ情報が現れる仕組みである.

 CMSでは,マーカ画像や情報コンテンツの登録,どのマーカ画像からどのコンテンツ情報にアクセスしたのかといったアクセス・ログ解析などが行える.一つのマーカ画像に対して,8種類のコンテンツ情報を関連付けられる(既に述べたもの以外で「音楽」や「電話番号」,「メールアドレス」,「PDF」など).

 本サービスの最大のメリットは,商品画像などをそのままマーカ画像として利用できる点である.従来のQRコードやカラー・コードを使った方法では,印刷物に載せる写真などとは全く別物のコードを生成し,掲載する必要があった.また,コードに直接URL情報などを埋め込むため,印刷されてしまうと変更が難しかったが,本サービスではリンク先をCMS上で簡単に変更できる.クラウド型サービスなので,インターネットにアクセスできる環境なら,いつでもどこでも変更や更新作業ができる点もメリットといえるだろう.


●手書きの書き心地を追求したタブレットを展示

 東芝は,2013年6月末に発表したばかりのタブレット「REGZA Tablet AT703」を展示した(写真6).シャープやソニー,富士通といった代表的な端末メーカが出展を控えた中での展示となった.

 

写真6 「REGZA Tablet AT703」
読み込んだ電子書籍上に付属のデジタイザ・ペンで手書き入力を行っているところ.

 

 本機の最大の特長は,紙とペンの書き心地をタブレット上で追求したところにある.付属のデジタイザ・ペンで手書き入力を行うと,紙にボールペンで書いたときのような滑らかさに驚かされる.ディスプレイとペン先の摩擦や表示速度を調整して実現したという.専用の手書きノート・アプリ「TruNote(トゥルーノート)」を標準搭載したほか,電子書籍へのマーキングや書き込みなども行える.ディスプレイは10.1型ワイド液晶,OSはAndroid 4.2.Bluetoothキーボードが付属している.

 同社は電子書籍ストア「BookPlace(ブックプレイス)」を立ち上げており,本機は,電子書籍用端末としての活用も視野に入れていると思われる.他に,ボードや資料を撮影してデータ化できるディジタル・キャプチャ・アプリ「TruCapture(トゥルーキャプチャ)」などを備えている.


●特徴情報を基に画像認識して関連情報を表示

 また,同ブース内では,電子書籍を活用するための画像認識技術「スマホ de かざす UI」が参考展示されていた.これは,スマホやタブレットなどを特定の対象物にかざすと,関連付けられた新たな情報が表示されるというものである(写真7).この画像認識は,対象物の一部領域のエッジ形状や輝度の差などから特徴情報を抽出するという.動作が軽く,撮影時に傾きがあっても高い識別率を持つとのことだ.

 

写真7 雑誌の表紙にタブレットをかざすと動画が再生される
対象物を認識すると動画が動き始め,その後Webサイトへのリンクが表示された.

 

 管理サーバと連動した応用例として,カタログの商品写真からWeb上の詳細情報を表示するデモンストレーションが行われていた.対象物(カタログ写真)の特徴情報と,関連付けられた情報(商品に関する詳細情報)は,管理サーバに登録されている.ユーザがスマホやタブレットで専用アプリを起動すると,管理サーバに登録されている最新の特徴情報がダウンロードされる.次にユーザがスマホ/タブレットを対象物にかざすと特徴情報を抽出し(写真8),ダウンロードされている特徴情報との比較を行い,特徴情報が一致すれば管理サーバから関連付けられた情報が送り返されてくる.そして,ユーザのスマホ/タブレットに,対象物の詳細情報が表示されるというわけだ(写真9).

 

写真8 カタログ写真を専用アプリから撮影

 

写真9 特徴情報が一致し商品の詳細情報が表示される

 

 本認識技術は,画像の一部のみを認識対象にすることも可能だ.例えば,人物の画像があれば,全身,顔,持ち物といった対象ごとに異なる情報をひも付けることができる.対象物を変更したときの再登録や,関連付ける詳細情報の変更作業なども簡単だという.

 

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