ARMキー・テクノロジー解説01 ―― ついに登場したARM 64ビット・プロセッサ

石田 良平

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2012年11月 9日

●big.LITTLE処理


 big.LITTLE処理は,高い性能に最適化されたCPUと電力効率に最適化されたCPUをペアで用い,それらをキャッシュコヒーレントに組み合わせるARMの省電力方式です.ソフトウェアの実行をパフォーマンス・ニーズに基づいて動的に適切なCPUに移行します.big.LITTLE処理は2011年に初めて発表され,big.LITTLE処理を採用した最初のシリコンデバイスがついに登場しました.


 図4にCortex-A15とCortex-A7によるbig.LITTLE処理のベンチマーク結果を示します.ウェブブラウジング及びオーディオ再生のアプリケーションにおいて,big.LITTLE処理により,Cortex-A15の性能を維持したまま,Cortex-A15の約50%の消費電力を実現しています.


図4 Cortex-A15とCortex-A7によるbig.LITTLE処理のベンチマーク結果

 

 

●Cortex-A50シリーズによるbig.LITTLE処理


 Cortex-A53プロセッサとCortex-A57プロセッサはアーキテクチャ互換性を有しているため,Cortex-A53プロセッサとCortex-A57プロセッサを組み合わせて,big.LITTLE処理を行うことが可能です.これにより,消費電力を大幅に削減しつつ,極めて性能の高いプラットフォームを実現することができます.


●データの激増


 モバイル・コンピューティングの進化は,クラウド・サービスとネットワーク接続を支えるインフラを再定義しつつあります.スマート・モバイル機器の爆発的な増大,それにエンド・ユーザに提供されるサービスの多様化は,コンテンツの生成と消費の増大を引き起こしています.


 データの消費量は,2020年までに120エクサバイト(現在の8倍に相当)に達すると予想されており,各社が現在の技術を使い続けるとすれば,シームレスなモバイル・ライフスタイルがネットワークとデータセンターのインフラに多大な負担をかけることは間違いありません.
Cortex-A50プロセッサ・シリーズは,「トランスフォーメーショナル・コンピューティング」の新時代を想定し,将来のインフラ・ニーズにエネルギー効率の高いソリューションを提供するよう設計されています.改良された32ビット実行機能が既存の32ビットのクラウド・サーバ・アプリケーションを有利にする一方,64ビット実行は,ARMテクノロジー・ベースのソリューションの応用性を高め,ネットワーキング,サーバ,高性能コンピューティングにおける新しい可能性を生み出します.

 

 いしだ・りょうへい
アーム(株) 応用技術部 シニアFAE

 

http://www.event-info.com/arm-seminar2012/

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