研究者やホビーストがフォトリフレクタ愛と応用例を語る ―― SENSACT 第1回
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レポート 2012年5月15日
●眉間にしわを寄せて情報量を制御
明治大学大学院 理工学研究科の中村 裕美氏は,眉間のしわを検知して視覚情報量を制御するメガネ型の装置「F.A.R. Vision」を紹介した(写真6).本装置は,しわの検知にフォトリフレクタを使用している.
写真6 眉間にしわを寄せて情報量を制御できる装置「F.A.R. Vision」

本装置は,装着した人間の視界に,情報を追加して表示するものである.同氏らが2009年~2010年にかけて提案・開発した本装置を,中村氏は,つい先日(2012年4月)米国Google社が発表したメガネ型コンピュータ・プロジェクト「Project Glass」のWindows版のようなものだと説明した.そもそも視界に情報を重層表示するメガネ型装置は以前から考案されているが,不要な情報が視界に表示されていると人間は不快に感じる.そこで,眉間にしわを寄せたときだけ情報を表示するようにして,表示情報量を制御できるようにした.
写真7 集中して見たい=眉間にしわを寄せる=情報量が増える

眉間のしわを検知するには,フォトリフレクタを顔の中心ではなく,少し横に設置したほうが検知しやすいという.また,眉間のしわの寄りやすさに個人差があるので,キャリブレーション(装着する人に合わせたフォトリフレクタの位置や向きの調整)が難しかったという.
同氏は,本装置を開発するためにフォトリフレクタを使い込んだ結果,フォトリフレクタに強い愛着を抱いたという.そのほかの研究にも活用し,また,壊れたフォトリフレクタを指輪やイヤリングなどのアクセサリとしても活用している.
写真8 フォトリフレクタを使ったアクセサリ

●壁の向こう側の人影を立体的に提示
テクノ手芸部のよしだともふみ氏は,フォトリフレクタを使って壁の向こう側にいる人影を表示するという構想を紹介した.フォトリフレクタを,おおまかな距離を測るセンサとして使い,距離が近ければ赤色のLEDを,少し離れていれば青色のLEDを点灯するモジュールを作成した.このモジュールを壁にびっしりと埋め込むことにより,壁の向こう側に寄りかかった人影や,天井の上を歩く靴底などを表示できる(写真9,写真10).同氏は,赤と青のコントラストで奥行き感を持たせた,立体的な影絵を実現できるのではないかと語った.
写真9 壁の向こう側の人影を投影したところ(イメージ)

写真10 天井の上を歩く人の靴底を表示したところ(イメージ)
