Kinect for Windowsで機器を作るヒント(1) ―― ジェスチャも音声も認識できる
●Kinect for Windowsとは
Kinect(キネクト)はMicrosoft Xbox 360専用に開発されたゲーム用の非接触モーション・センシング入力デバイスです.従来のようなゲーム・コントローラを介さず直接ユーザの動きと音声を認識してゲームの操作を行うことができます.Kinectは2010年末に発売後,わずか2ケ月で全世界で800万台以上を売り上げ,コンシューマ機器としては特定期間での発売記録でギネス認定されるほど人気を博しました.このようなジェスチャや音声などの直観的な人間の動作で操作できるインターフェースはNUI(Natural User Interface)と呼ばれ,次世代のユーザ・インターフェースとして大きく注目されています.
ちなみにKinectという名称はKinetics(動力学,運動)とConnect(接続)の合成語と言われています.古くは映画のことをキネマ(シネマ)と呼んでいましたが,キネマには「動き」という意味が込められています.さしずめ“キネクト”というネーミングは「動きでつながる」というデバイスの機能そのものを表していると考えてよいでしょう.
Kinectはゲーム専用の入力デバイスとして登場しましたが,ゲーム以外の用途にも使ってみたいという要求が予想を超える勢いで世界中に沸き起こりました.いわゆるキネクト・ハックという現象です.Kinectが一般的なUSB接続であったことも手伝い,その動作を解析して俗に「勝手API」なるオープンソースのライブラリも出回るようになりました.このような動きに対し,発売元であるMicrosoftは汎用PCでのKinectの商用利用の可能性について検討し,ついに2012年2月,Windowsで利用できるKinectをKinect for Windowsとして発売することになりました.Kinectを使用するための開発キット(SDK)も無償でダウンロードできるようになっており,これでKinectの応用範囲が一気に広がることになりました.
なお,Xbox用のKinectとKinect for Windowsはロゴを除いて外観はほぼ同じで,Kinect for Windowsではハード仕様の一部が機能アップされています.また開発時はXbox用のKinectを使ってもアプリケーションを開発できますが,最終的にWindowsパソコンで商用利用する場合は,Kinect for WindowsだけがWindowsのKinect Runtimeで認識されるように制限されています.