アジャイル開発におけるドキュメンテーションの実際(1) ―― 本当に必要ですか? そのドキュメント

細谷 泰夫

tag: 組み込み

技術解説 2012年4月 6日

●Face to Faceは最強のコミュニケーション手段

 ドキュメントはたいてい,誰かに何かを伝えるために書くことが多いと思います.しかし,ドキュメントは誰かに何かを伝える唯一の手段ではありません.さまざまな手段の中で最強なのは,やはりFace to Faceで話し合うことだと筆者は考えています.

 しかし,ドキュメント,Face to Faceなどのコミュニケーションの手段は,排他的なものではありません.それぞれを程よく組み合わせることで効果が発揮されます(図2).アジャイル開発では,特にFace to Faceのコミュニケーションに重点を置いています.

 

図2 ドキュメントとFace to Faceのコミュニケーションを組み合わせる

 

 

 ドキュメントは,しばしばFace To Faceのコミュニケーションを支援する手段として活用されます.人間はすべてのことを記憶できるわけではないので,議論の対象となる事柄を思い出すためにドキュメントを使うことはとても有効な手段です.このときのドキュメントの目的は,あくまでFace To Faceのコミュニケーションが有効なアウトプットを生み出すように支援することです.その目的を達成するためのドキュメントは,メモ書きのようなものでもよいかもしれませんし,場合によっては,規格の仕様のような精密な内容が求められることもあるでしょう.それは自分たちが考える「最低限で最大の効果が得られる内容」であればよいのです.

 

●画面遷移のある開発のドキュメンテーション例

 アジャイル開発におけるドキュメントに対しての基本的な考え方を理解していただけたでしょうか.「基本は分かったけれど,実際はどうしているの?」という声が聞こえてきそうなので,ここでは例を交えて説明したいと思います.

 組み込み機器をパソコンのブラウザで設定するためのソフトウェア開発を考えてみましょう.組織によってどのような設計書を作成するのかは異なりますが,今回は従来,ソフトウェア要求分析フェーズとして画面仕様書,およびファームウェアが読み込むファイルのファイル・フォーマット仕様書を作成していたとします.この画面仕様書を例にして,アジャイル開発でドキュメントをどのように作成していけばよいかを考えてみましょう.

 

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