導入事例:DeviceSQLをデジタルカメラに組み込む
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キャッチアップ 2011年11月30日
人気カメラ パナソニックLUMIXにみるDeviceSQLの導入事例
(株)ユビキタスの組み込み向けデータベース「DeviceSQL」は,小さい,軽い,速いが特徴だ.そこで,旅行に快適なデジタルカメラ「LUMIX」に「DeviceSQL」を導入した,パナソニック(株)にお話しを伺った.伺ったのは,植田 慶輔氏,曽我 順二氏,大須賀 恭輔氏の3 名.
● LUMIX シリーズについて
──今日はありがとうございます.さっそくですが,LUMIXシリーズにはいろいろなレンジの商品があると思いますが,やはり小型のものが売れ線になるんでしょうか?
植田:そうですね,国内ではFX77というモデルが一番売れています.価格帯で言えば2万円弱のところが一番売れていると思います.
植田 慶輔
曽我:ワールドワイドですとTZ という,GPS と地名データベース,ユビキタスさんのDeviceSQLを載せたモデルが売れ筋です.
曽我 順二
植田:台数はFH の方が多いですが,事業の柱として今回のGPS搭載モデルがあります.
● GPS 連動で地名を表示
── TZではGPS 連動が一つのアピールポイントだと思うのですが,GPS をどのように使うのでしょうか?
植田:たとえば,ディズニーランドに行って写真を撮ると,GPSから取得した緯度,経度によってカメラの地名データベースを検索して,東京ディズニーランドという地名が出てきます.それがデータとして写真に付加されるので,どこで撮ったかが一目でわかります.
曽我:旅行に行ったときに,いろいろなところで撮った写真に地名が入っていれば,どこをどう回ったか,後で写真を見ながらみんなでワイワイ楽しめます.
──写真を撮ったときに,自動で入るんですか?
大須賀:基本は自動ですが,変更機能で別のものに変えたり,後から編集もできます.
大須賀 恭輔
──たとえば,ディズニーランドに行って,ビッグサンダーマウンテンのところなのに違うものが出てきたら,後からビッグサンダーマウンテンに直せる,と.
植田:ビッグサンダーマウンテンまでは入ってないです.ディズニーランドまでです.
──ちなみに,何件ぐらいの地名がデータベースには入っているんですか?
植田:国内,海外含めて全体で100万件ぐらいです.うち国内は7万件です.
──GPS を載せることで,従来のカメラと差別化できる機能は他にもあるのでしょうか?
植田:海外に行ったときに自動で現地の時間に変わるとか,旅行では便利だと思います.
──TZ ではGPS 連動の他に何か差別化として盛り込んだものはありますか?
植田:コンパクトなサイズに高倍率で画質的にも良いレンズを載せています.それが好評な理由だと思います.
● DeviceSQL 導入の理由
──データベース選定にあたって,フリーツールや他のデータベースではなく,DeviceSQLを採用した決め手は何でしょうか?
大須賀:いろいろありますが,まず開発自体をすごく短納期でやる必要があったこと,それからカメラのメモリサイズは非常に小さいので,軽くて,後は検索などの処理が速いというところが決め手になりました.
──フリーツールよりも,DeviceSQLの方が短納期に適していたのはどうしてでしょうか?
大須賀:フリーツールだと,サポートがまずないです.我々のシステムはμITRON ベースですが,フリーツールの搭載実績があるか分からなかったです.DeviceSQLはITRON の実績もあるということでしたし,サポート体は万全ですと強く言われまして....
ユビキタス:実は,そうだったんですけど,非常に皆さん優秀で,あまりサポートをしないうちにできあがってしまって(一同笑).
──サポートが良いので,というのもDeviceSQLの大きな特長なのに....
ユビキタス:パナソニック様の開発環境をお借りして立ち上がりの部分(プロトタイプなど)で協力させていただきましたが,とても早く実装されたので我々も驚きました.
● 実際の開発にあたって
──デジタルカメラのシステムにDeviceSQLを組み込むにあたって,何か工夫されたり苦労された点はありますか?
大須賀:あまりないんです.意外とあっさり動いて,さすがDeviceSQL,と(一同笑).そのへんは,汎用的なインターフェースをあらかじめ工夫して提供されている部分が大きいと思います.当社では独自のファイルシステムをもっていたので,ファイル回りのインターフェースを作って組み込むということはありましたが,汎用的なものに合わせるのでそれほど苦労せずに入れられました.
──100万件レベルのデータベース構築には,ノウハウとかあるのでしょうね.
大須賀:私たちはデータベースを使ったことがなかったので,まずはユビキタスさんに具体的なソリューションを提案していただいて,これなら行けるねということで導入を進めていきました.
──ユビキタスが出した提案を,パナソニックさんの方で評価,検証してという流れで構築されていったわけですね.
ユビキタス:最初のイントロだけですよ.そこからはパナソニックさんの方で,ノウハウをいろいろと得ながら進めて行かれて...,でも早かったですよね.
曽我:早くしなかったら,商品が出せなかったですから.
──ちなみに,短納期というのはどれぐらいでしょうか?
曽我:実質は2 ヶ月強でしょうか.
──検索の高速化やデータベースの小型化ではチューニングが非常に重要になると思うんですが,導入の時点で的確なサポートがあったことが,結果的に短納期につながったということでしょうか?
曽我:そうですね,はい.
──実際にDeviceSQL を使用されて,これは良かったという点はありますか?
大須賀:DeviceSQL は,必要な機能だけを切り出して使えるという点や,軽い,速いというところで他のSQL とは大きな違いがあります.軽いというのは,メモリが小さい,プログラムサイズが小さい,ということです.
また,普通に作ったらデータベースのサイズが大きくなるんですが,ユビキタスさんから提案いただいた圧縮技術で,ギュギュっと圧縮できたので,メモリサイズも小さくできました.ハードウェアのコストは台数が多いとすごく響いてくるので,これは大きなメリットでした.
● DeviceSQLに期待すること
──今後のDeviceSQL に期待することとか,こういう機能があればいいなとか,そういうことはありますか?
曽我:DeviceSQL のソフトで,我々が使っている部分は実はほんの一部なんですよ.もっとすごいことができるソフトなのに,ちょっともったいないな,と.今後は,いろいろなところで使ってみたいと思っています.
──本日はどうもありがとうございました.