身近になった蓄電源や発電機に注目集まる ―― 危機管理産業展(RISCON TOKYO)2011

北村 俊之

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レポート 2011年10月26日

 2011年10月19日~21日,防災,防犯,リスク管理といった危機管理についての展示会「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2011」が,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれに伴う津波,原子力発電所災害,集中豪雨や記録的な豪雪などの自然災害を受けて,「危機管理」という言葉の重要性と,災害や危機への備えについての関心が高まっている.それを受けて本展示会では,停電時にも使 用できる蓄電池や発電システム,衛星携帯電話などが展示され,注目を集めていた.主催は東京ビッグサイト.

 

写真1 会場受付の様子

 

 また,特別併催企画として「テロ対策特殊装備展(SEECAT)'11」と「アスベスト対策環境展(ASREX)'11」が開催された.

 

●蓄電池や発電機で緊急災害時にも電源を確保

 センチュリーは,家庭用コンセントから充電して,非常時に利用できる最大600Wの大容量リチウム蓄電源「BLACKOUT GUARD(BG-600)」を展示した(写真2).本蓄電源は,600Wまでの家庭用電化製品などに対応した非常用の電源装置である.リン酸鉄リチウム電池を内蔵しており,AC出力コンセントおよび,小型モバイル機器などに対応したUSB出力ポートを搭載している.非常時を想定してAM/FMラジオ,LEDライトを搭載しており,電池残量は5段階のインジケータで確認できる.フル充電時間は約30時間で,消費電力が200Wの500l冷蔵庫を約20時間使用できる.充電可能回数は約3,000回.

 

写真2 センチュリーの「BLACKOUT GUARD(BG-600)」

 

 本田技研工業は,片手で持ち運べる小型・軽量,低燃費のインバータ発電機「EU9i」,「EU16i」などを展示した(写真3).「EU9i」の定格出力は900VA.重量は13kgと,片手で持ち運べる重さである.負荷に応じてエンジン回転数を制御できる(エコスロットル機能).連続運転時間は約7.1時間(1/4負荷時)~約3.2時間(定格負荷時).「EU16i」の定格出力は1.6kAVで,家庭用電気製品のほとんどに適用できる.重量は20.7kg.連続運転時間は約8.1時間(1/4負荷時)~約3.4時間(定格負荷時).いずれの発電機も安定性のある形状をしており,コンセントのコードが引っ張られても本体は倒れにくい.また,本体を収納できる防音ボックスも用意している.

 

写真3 本田技研工業の「EU16i」

 

 ネグロス電工は,太陽光発電式非常用電源システム「そらエネ(SENE2)」を展示した(写真4).本電源システムは,本体装置(バッテリ部)とソーラ・パネル,各種付属品で構成されている.本体装置には,二つのUSBポートと,バッテリの残量が分かるメータが搭載されており,過充電,過放電の防止機能付きである.外形寸法は150mm×130mm×200mm,重さは約4.5kg.ソーラ・パネルは,ソーラ設置用のスタンド付きの10W出力のもので,防水タイプであるため屋外に常時設置できる.このほか付属品として,3.5インチのワンセグ・テレビ,2Way LEDライト,USB対応充電器および充電式電池,携帯電話接続ケーブルが付属している.3.5インチのワンセグ・テレビは本体にもバッテリを内蔵しているため,携帯しながら視聴できる.各種アダプタに対応しているので,家庭用電源から充電することも可能.単三電池3本で使用できる2Way LEDライトは,懐中電灯またはスタンド・ライトとして使える.USB対応携帯電話接続ケーブルは,NTTドコモ用,ソフトバンク用,au用が提供されている.

 

写真4 ネグロス電工の「そらエネ(SENE2)」

 

 

●衛星携帯電話2機種持ちで災害時の通信手段を確保

 KDDIは,災害などによって通信手段が限られた状況下でも安定した通信品質を確保できる「非常用衛星通信セット」を展示した(写真5).本通信セットは,全世界をカバーする衛星携帯電話端末「BGAN Explorer 500」と「イリジウム 9555」,ソーラ・パネルなどで構成される.BGAN Explorer 500はインマルサット衛星を中継して通信ネットワーク網に接続できる.音声通話だけでなくメールやビデオ映像の伝送なども可能.また,インマルサット静止衛星3機と低軌道を周回移動する66機のイリジウム衛星がほぼ全世界をカバーするため,より強固で安全な通信手段を確保できる.

 本通信セットは,防水仕様の専用樹脂ケースに格納される.

 

写真5 KDDIの「非常用衛星通信セット」

 

 

●野外手術用の移動手術室を防衛省が展示

 防衛省は,手術に必要な「手術車」,「手術準備室」,「滅菌補給車」の3両で編成される「野外手術システム2型」を展示した(写真6写真7).本システムは,初期外科手術および応急治療に使用でき,戦闘傷者の救命率の向上を目的としている.本システムは,車上および地上開設が可能であり,移動後2~4時間程度で,応急医療施設として使用できる.手術車は拡幅機能(片側)を供えており,手術準備車と連結して利用できる.麻酔器用ガスは,手術準備車から手術車へ供給される.車載時はトラックから非常用電源に充電が可能となっており,非常用電源はシェルタ間で共有できる.変圧トランスを有し,入力電圧は100~240Vに対応可能.

 

写真6 防衛省の「野外手術システム2型」

 

写真7 車内の様子

 

 

●リモコン・キーのサイズで録画を可能に

 サンメカトロニクスは,外観を自動車用リモコン・キーに模した,軽量・小型のディジタル・ビデオ・カムコーダ「ポリスカム PC-300G」を展示した(写真8).500万画素のカラーCMOSカメラと集音マイク,動画・静止画収録可能な録画装置を一体型にした.動画の録画の信号形式は720p(1280ピクセル×720ピクセル)またはVGA(640ピクセル×480ピクセル)で30フレーム/s,静止画像は2952ピクセル×1944ピクセルで保存される.記録方式はH.246/コンテナMOV.録画した動画および静止画は,microSDカード(4G~32Gバイト)に保存される.充電時間は約4時間で,連続撮影時間は約90~100分となっている.外形寸法は71mm×35mm×12mm,重さは50g.

 

写真8 サンメカトロニクスの「ポリスカム PC-300G」

 

 

きたむら・としゆき

 

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