ARM Forum 2010 Preview --ARM MCU 解説

富士通セミコンダクター(株)

tag: 組み込み

2010年10月18日

グローバルなニーズに応えて「FM3 ファミリ」を新たに展開

富士通セミコンダクターの汎用マイコン製品に,Cortex-M3 プロセッサを採用した「FM3 ファミリ」が加わりました.この「FM3 ファミリ」の概要について,富士通セミコンダクター(株)マイコンソリューション事業本部の齋藤章史氏にお話を伺いました.

── Cortex-M3 コアをご採用になった経緯を教えてください

齋藤氏:これまで当社は,富士通オリジナルのコアをCPUとする汎用マイコンを展開し,組込機器を開発されるお客様より高い評価を頂いてきました.しかし,現在,16 ビットマイコン,32 ビットマイコン市場でのお客様の要求は,オリジナルコアからグローバル標準コアへと急速にシフトしています.これはマイコンが搭載される最終製品のグローバル展開化,開発期間の短縮化,ソフトウェア規模の増大など,相反する開発要素をまとめ上げる為にはグローバル標準コアの方が適していると判断されている為です.

 このような市場要求に対応すべく,我々はさまざまな選択肢を検討しました.その結論としてARM 社のCortex-M3 コアがお客様のニーズにもっとも適すると判断し,次世代の汎用マイコン用のCPU としてCortex-M3 コアの採用を決定しました.

── Cortex-M3 コアの位置づけを教えてください

齋藤氏: Cortex-M3 コアが持つ「従来の16 ビットマイコンおよび32 ビットマイコン両方のパフォーマンス領域をカバーする」という優れた特徴を活かし,32 ビットマイコン用の「FR コア」と16 ビットマイコン用の「F2MC-16LX コア」両方の後継に「Cortex-M3 コア」を位置づけます.ただし,マイコンの基礎となるプラットフォームはしっかりと作り分け,32 ビットマイコンの後継としては高性能なハイ
パフォーマンス・ラインを,16 ビットマイコンの後継としては機能の最適化と省電力化を図ったローパワー・ラインを,それぞれ展開していきます(図1).

図1 汎用マイコン用コアロードマップ

 また,このCortex-M3 コア搭載マイコンは「FM3 ファミリ」と名付けました.この名称は1980 年代に富士通が開発した8bit パソコンであるFM-8,FM-7 などをご存知の方々には懐かしく受け取って頂けるかと思います.

──ハイパフォーマンス・ラインとローパワー・ラインの特長を教えてください

齋藤氏:簡潔に表現すると,ハイパフォーマンス・ラインは性能重視で,ローパワー・ラインはコストと低消費電力重視です.プラットフォーム設計を例に取ると,ハイパフォーマンス・ラインは,複数レイヤのバスマトリックスを用いてスピードと転送効率の両方を実現するチューニングを行っており,一方のローパワー・ラインは,簡潔なバスマトリックスを用いてバスの面積比率や消費電力を抑えるためのチューニングを行っています.

──「FM3 ファミリ」の製品展開について教えてください

齋藤氏:マイコンの量産設計に先立ち,2010 年4 月に先 行サンプルを公開しました.これは,ハイパフォーマンス・ラインの先行評価用サンプルという位置づけです.この先行サンプルにはモータ制御タイマ,シリアル通信,USB インタフェース,CAN インタフェース,A/Dコンバータ,フラッシュメモリなどを搭載しています.また,この先行サンプルに合わせて2 種類の評価キットもリリースし,すでに多くのお客様にご評価して頂くと共に種々のフィードバックを頂いています.この後に続く製品については,ARM Forum 2010 にて紹介させて頂きます.

──最後にまとめをお願いします

齋藤氏:限られた誌面のため,全てをお伝えできませんでしたが,製品展開の拡充だけでなく,お客様に安心してお使い頂けるサポート体制の充実も進めています.ARM Forum 2010 では,新製品の発表の他,マイコンラインナップ戦略も紹介させて頂きますので,ぜひご来場ください.

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