バイオ電池や太陽電池を使った「エコ玩具」に注目 ―― 東京おもちゃショー2010

北村 俊之

tag: 組み込み

レポート 2010年7月22日

 2010年7月15日~18日,「おもちゃで世界を笑顔に」をテーマに,玩具についての総合展示会「東京おもちゃショー2010」が東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された(写真1).今回で49回目を迎える本展示会は,親子で手軽に楽しめるイベントとして例年人気を集めている.国内外のメーカ139社が出展し,最新の玩具など約36,000点が展示された.主催は日本玩具協会.

[写真1] 受付のようす

 同協会によれば,2009年度の国内の玩具市場の売り上げ規模は,店頭価格ベースで6494億円,前年度比99.1%と前年実績にほぼ近い数字となっている.また,玩具の中核を占める10分野(カード・ゲーム,ジグソー・パズル,知育教育玩具など)に限るとその市場規模は3923億円で,前年度比100.9%の売り上げを達成している.もともと不況に左右されにくい業界といわれているが,少子化に伴う市場規模の中・長期的な縮小は避けられないと見られている.このためメーカ各社は,ロール・ケーキやポップコーンを親子で一緒に作る「クッキング・トイ」や,天体観測を疑似体験できる「サイエンス・トイ」など,親子で楽しめる点を前面に打ち出して,「大人需要」の掘り起こしにも力を入れているという.

●バイオ電池や太陽電池で「エコ玩具」をアピール

 展示会場の中でもひときわ大きなブースで出展したタカラトミーは,ソニーが開発するバイオ電池や太陽電池を利用したエコ玩具(環境教育トイ)への取り組みを展示し,「発展するおもちゃ」をアピールした.

 バイオ電池は,ぶどう糖で発電する.ぶどう糖を分解する酵素と電子伝達物質を固定化した電極(負極)と,酸素を還元する酵素と電子伝達物質を固定化した電極(正極)で,セパレータを挟んだ構造になっている.負極側で外部からぶどう糖(グルコース)の水溶液を取り込み,ぶどう糖を酵素で酸化分解する際に電子と水素イオンを取り出す.水素イオンはセパレータを介して,負極側から正極側に移動する.正極側で空気中の酸素を取り込み,電子と水素イオンによる還元反応によって水が生成される.この一連の電気化学反応を通じて,電子が外部回路を移動する際に,電気エネルギーが取り出される仕組みとなっている.

 このバイオ電池を利用して,同社は「ene Cargo」や,「ene pocket Drink Cube」などのエコ玩具を開発している.ene CargoはチョロQハイブリッドをベースにしたリモコン・カーで,ジュースを屋根に約8cc注ぐことで約80分動かすことができる.「ene pocket Drink Cube」は,発電キューブにジュースを注ぐと,ジョイントされた風車キューブの風車が回転するという玩具である(写真2).

[写真2] タカラトミーの環境教育トイ(コンセプト・モデル)

 また同社は,太陽電池を車両の屋根に取り付けたプラレールも展示した(写真3).こちらは4時間の充電で,約8時間走行させることができる.ただし現在は,蛍光灯などの光では充電できず,太陽光で充電する必要があるという.

[写真3] 太陽電池を搭載したプラレール

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