40Gbps,100Gbpsの伝送装置開発に対応したモジュールや測定器が続々 ―― 第10回光通信技術展(FOE2010)レポート

北村 俊之

 光通信技術に関する専門展示会「第10回 光通信技術展 ファイバーオプティクスEXPO(FOE2010)」が,2010年1月20日~22日の3日間,東京ビッグサイト(東京都江東区)にて開催された.本展示会では,基幹系からアクセス系までの光通信システムや伝送装置,デバイス,次世代ネットワーク機器(NGN)に関連する製品・技術などが展示されていた(写真1).主催はリード エグジビション ジャパン.


写真1 会場の様子

 

 今回新たに,通信業界で標準化されつつある40Gbps,100Gbpsの伝送速度に対応した機器を集めた「40G/100G機器デバイス・ゾーン」と,映像伝送に関連する技術を集めた「IPTV/VOD関連技術ゾーン」の二つが設置された.IPTV/VOD関連技術ゾーンでは映像伝送用のサーバ・システムやVOD(Video on Demand)サーバなどが展示され,来場者などの注目を集めていた.

 

●DQPSKに対応した40G向けの受信モジュールを展示

 富士通は,DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)のディジタル変調方式に対応した22Gbaud受信モジュール「40G DQPSKレシーバモジュール(FIM24201)」を展示した(写真2).DQPSKは,変調された四つの位相にそれぞれ2ビットを割り当てるQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)を拡張した方式である.QPSKの場合と異なり,直前の搬送波との差分を利用して情報を与えている.例えばIEEE 802.11の無線LANなどがこの方式を利用している.

 本受信モジュールが対応する帯域は標準20GHz.バランス・タイプのPIN/プリアンプ,および遅延干渉系(DLI)を備えている.44.6Gbpsの光伝送装置やトランス・ポンダなどの開発に利用できるという.



写真2 富士通の「40G DQPSKレシーバジュール(FIM24201)」

 

●40G/100G機器の開発に使われる光変調アナライザを公開

 アジレント・テクノロジーは,40Gbps/100Gbpsの伝送に対応した送信機やシステムの評価,光ネットワークの開発などに利用できる光変調アナライザ「Agilent N4391A」を展示した(写真3).本光変調アナライザは,さまざまな方式で変調された光信号の測定に利用する.オプションとして,ビット誤り率(BER)の測定機能を用意する.

 解析する信号のビット長に制限はない.レシーバの電気帯域幅は37GHz以上,光帯域幅は74GHz以上.DQPSK方式や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)~1024QAMなど,34種類のディジタル変調方式に対応する.また,用途に応じてカスタマイズできる20種類のデータ解析ツールを備える.

 本光変調アナライザは,偏波多重に対応した「コヒーレント光レシーバ」,「Agilent 89600 Vector Signal Analysis(VSA)」,「Agilent Infiniium 90000シリーズ オシロスコープ」から構成される.時間領域解析を採用したコヒーレント検出システムでは,振幅変調および位相変調の光信号の解析を容易に行えるという.


写真3 アジレント・テクノロジーの「Agilent N4391A」

 

●光コネクタ端面検査装置にオート・フォーカス機能を搭載

 NTT アドバンステクノロジは,米国JDSU社製の光コネクタ端面検査装置「FVAシリーズ -Auto Focus-」を展示した(写真4).オート・フォーカス機能を備える.倍率80倍/160倍の「FVA-2080」,倍率200倍/400倍の「FVA-2200」,倍率400倍/800倍の「FVA-2400/FVA-2400-L」など,多くの機種をそろえている.

 また,光コネクタ端面の状況を判定する画像自動判定ソフトウェア「FiberChek2」が付属する.本画像自動判定ソフトウェアは,光コネクタ端面の画像を取り込み,画像解析によって光コネクタの端面の走り傷やビット痕,欠け,汚れを判別し,合否判定を行う.結果をレポートとして出力する機能も備える.すでに発売されている汚れ対策キット「FBP-HD3-PAK」や「FIT-S105-K」は光ケーブルを設置する現場向けであるのに対して,本装置は製造ライン向けのハイエンド機種である.


写真4 NTT アドバンステクノロジが展示したJDSU社の「FVAシリーズ- Auto Focus-」

 

●多様な規格に対応したIPTV用セットトップ・ボックスを展示

 NECは,IPTV技術の標準化/普及推進団体であるIPTVフォーラムの仕様に対応したIPTV用セットトップ・ボックス「IS1050」を展示した(写真5).本セットトップ・ボックスは,1台で多チャネルに対応するIP放送サービスや地上デジタル放送のIP再送信サービス,VODサービスなどに使用できる.500Gバイトのハード・ディスク装置(HDD)を内蔵し,多チャネルのIP放送番組や地上デジタル放送の再送信番組を録画できる.視聴中の番組とは異なる番組の録画も可能.

 製品化の時期は未定.主にIPTV事業者への納入を見込んでいるという.


写真5 NECの「IS1050」

 

●小型のモニタ・ツールで手軽に通信品質をチェック

 創業は,通信回線などの品質管理情報ベース(MIB:Management Information Base)を表示したり,蓄積したりできる小型モニタ・ツール「HD i500」を展示した(写真6).本モニタ・ツールは,汎用装置からのMIBやイベント・ログの表示・蓄積,アラートなどの機能を備えている.外形寸法は18.5cm×20cm×3.5cm,重量は1.5kg.

 サーバなどは不要で,本モニタ・ツールのみでネットワークの状態を監視できる.OSにはLinuxを採用しており,システムをカスタマイズしやすいという.蓄積情報はUSBメモリ,あるいはネットワーク経由でダウンロードする.監視する情報のしきい値を設定することで,正常,軽度障害,重度障害の判定を行い,設定したメール・アドレスに警報通知を送信する.

 本モニタ・ツールは小型でネットワークへの接続が簡単なことから,障害が発生して評価・解析する際に,現場が移動するような状況下でも利用しやすいという.


写真6 創業の「HD i500」

 

●200km超の光ファイバを評価できる光パルス試験器を展示

 アンリツは,ダイナミック・レンジを45dBまで拡大した光パルス試験器「アクセスマスタ MT9082シリーズ」を展示した(写真7).本測定器は,パルス試験や光損失試験,可視光源の試験,IP試験などに利用できる.

 本測定器は,200km以上の光ファイバを評価できる.また,1×128分岐のPON(Passive Optical Network)システムの測定も可能である.さらに,サンプリング・ポイント数は最大150,001で,同社の従来機種と比べると,100kmおよび200kmレンジの測定における障害点検出誤差が1/5に改善している.このほか,短距離ファイバ測定におけるリアルタイム波形品質の測定や0.8m(イベント)の短デッド・ゾーンの測定にも対応している.家庭向けの光データ通信やLAN,ケーブル・テレビなど,光ファイバ通信サービスの用途に応じて,複数の機種を用意している.重量は2.2kg.


写真7 アンリツの「MT9082シリーズ」

 

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