ハードウェアの仕組みとソフトウェア処理 ―― マイコンの動作を理解する

宮崎 仁

6.マイコンのシステム

● 1チップ構成のマイコンが一般的

 マイコンとして最も一般的なのは,CPU,メモリ,I/Oを1個のLSIに統合した,1チップ構成のマイコンです(図19).あとは,電源とクロック,リセット回路,必要に応じてスイッチや表示器,インターフェースなどを付けるだけで使用できます.バスが外部に出ていないので,パッケージもコンパクトで,プリント基板上の配線も削減できます.


図19 1チップ構成のマイコンの例
CPU,メモリ,I/Oを1個のLSIに統合している.

 

 最近は,電源レギュレータやリセット回路などのアナログ回路も組み込んだ,外付け部品が極めて少なくて済むマイコンもあります.

 マイコンのメーカでは,さまざまなユーザのニーズに対応できるように,一つの製品ファミリの中でメモリ容量や内蔵するI/O機能を変えた製品を数多くラインアップしています.そのため,マイコンは品種数が極めて多くなりがちですが,それでもすべてのニーズには対応しきれない場合もあります.外部バスを設けて,外付けのメモリやI/Oを拡張できるようにした品種もあります.

● 性能重視のマイコンはマルチチップ構成

 拡張性を重視したファミリや,性能を重視したファミリでは,CPUだけの品種や,CPUとI/Oを1チップにしてメモリは外付けの品種などもあります(図20).ソフトウェアのコード・サイズに応じたROMを選んだり,処理したいデータ量に応じたRAMを選ぶことができます.最近は組み込み機器でもマルチメディアなど大容量のRAMを必要とするアプリケーションも多く,DRAMインターフェースを内蔵するマイコンもあります.


図20 マルチチップ構成のマイコンの例

拡張性を重視したファミリや,性能を重視したファミリでは,CPUだけの品種や,CPUとI/Oを1チップにしたメモリは外付けの品種などがある.

 

 パソコンも代表的なマルチチップ構成のシステムです.一般に,CPU,外付けメモリとしてROMと大容量のDRAMモジュール,メモリ・コントローラやI/O機能を2チップ程度にまとめた専用チップセットによって構成されます.

 パソコンの場合,性能を決める重要な因子として,CPUの処理速度とDRAMの容量が重視されます.また,それによってコストも大きく変わります.そのため,要求される性能に応じてCPUを選んだり,DRAMモジュールの容量を選べるようになっています.


みやざき・ひとし
(有)宮崎技術研究所

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